記憶
ここは夜の道だろう、空は黒く星が輝いてる、どれだけ歩いたかわからない、多分1時はまわっているだろうか、ひとけがなくシーンとしている、電灯が10mくらいの幅で光っている。下を向きながら思い込んでいた(おれの俺のせいで、つばめが死んだ、俺がそばにいれば、戻りたい戻りたい、戻ってやり直したい、でもそれは出来ない)
「なんじ、そんなに戻りたいのか」
急に声をかけられたのは全身黒服で歳をとったおじさんだ、頭には黒帽子を被っている、70歳くらいだろう、今まで気配や人影がなかったのでびっくりした
「あなたからすごく戻りたいという気持ちがわしに伝わってきて、来たのだ、だからなんじの目の前に現れた」
「戻りたいは戻りたいに決まってるじゃん、あんた何者、完全不審者にしかみえませんけど」
引きぎみで答える
「わしは死神、時間を戻すなんてすぐ出来る、その代わり代償が必要だ」
真剣な趣にそう言ってくる、自称死神
「代償って」
つばをゴクリと飲む
「戻り、やりたいことが遂行出来たら、あなたの魂を奪いに行く」
「それって死ぬってこと?」
「そうだ、それでも戻るか」
こんな非科学的なもの信じられるかと思いでも戻れるかもという気持ちが上回ってわたしは即答した
「俺を守ったのはつばめでつばめが死ぬのは理にかなってないもん、このもらった命つばめを助けるために使う、戻るよ」
「それがなんじの答えだな」
「うん」
「ここに契約を誓おう」
「今ここに時のことわりの開放する」
雲が黒くなっていく
周りが光に覆われた
「集、集大丈夫?」
またもや心配そうな顔で聞いてくるつばめ
「う、うん」
汗が滲みながらも笑顔を作る
「さっきから呼んでるんだけど返事ないから」
「ごめんね、ちょっと考え事してて」
そうだつばめを救うために過去に戻って来たんだ
「どうした?つばめ、見つめられても困るんだが」
照れながら言う
「いや〜なんでも〜」
「集、また泣いてる」
「あれ〜、なんで泣いてるんだろ、やっぱり久しぶりに会えたからかな」
「久しぶりじゃないでしょ、なんか悩んでることあったらいつでも相談に乗るよ」
つばめは保健室にあったティッシュを渡した
つばめの肩におでこを当て
「ありがと、ありがと、本当にありがと」
「そこまでいいことしたわけでもないけど」
私は集の頭を撫でた
「よし、元気になった」
元気よく伸びをしてからベットから立ち上がる
「そんな無理しなくても」
「大丈夫、大丈夫だから」
手を添えようとしたが大丈夫と言うので手を引っ込める
つばめと一緒に保健室を出た