プロローグ
「佐藤、お前高校どこ受けんの?」
唐突に後ろの席から声が聞こえ俺は振り向く
こいつは俺と同じクラスで小学生からの友人、身長は俺ぐらいで、顔は普通だ。
ここは一中という中学校の教室の中だ。太陽が教室に降り注いで春にしてはちょっと暑いくらいだ。
「一高校」
俺は即答した、それほど行きたい高校である。ここの中学に入学した時から入りたいと思っていたほどだ。
「やっぱりな、大体の人が近いからここ受けるよな、俺も受けるし」
一中から一高まで徒歩5分で着くほど近くだ、俺の同級生の8割は一高に入ると思う他の2割は違う高校に散らばる。
「良かったぁ、桐谷が一高で」
安心した口調で言う、1番仲の良い友達が同じ高校に行くというのはとても嬉しい
俺たちは小学生の頃から名字で呼び合っていて、それが定着した。
「てか、お前頭悪いじゃん」
前回の期末テストは大体どれも50点だからそこまで悪い方じゃないと思うけど。
「まぁ、桐谷よりはね」
「前回の模試、一高合格率ナンパーだった?、俺は60だった」
自慢しているような表情で言ってくる
そこまで自慢出来るような数値ではないんですけどと言いたくなるが俺が言える立場じゃないので言わない
でも驚いた、俺のちょっと上ぐらいだと思っていたのに、こんなに差がついていたとは、ちょっと心配になる
「俺...50だった」
桐谷は苦笑いをしている
「それは大丈夫でしょう。まぁ頑張れ」
「おう、絶対受かって見せる」
笑顔でそれに答える
(やばい、やばい、どうしよう、話しかけた方がいいかな)
いや無理だもう周りにはグループや人間関係が出来上がってるからその中に割って入るのは勇気や度胸が必要で俺には出来ない
1-3のクラスルームの真ん中の席におれは座っている
周りにも学校にも友達や知り合いがいない
周りから話し声が聞こえてくる。
俺がこういう状態になったには一高校に落ちて併願でとっといた私立で1番頭が良い東高校運良くに入学したことだ一高校に受かったんだがダメ元でここを受けたら受かってしまい最後最後まで悩んだ結果ここを選んでしまった。誰も同中がいない。不幸なことに入学式の直前体調を崩して、入学式とその次の日とで休んでしまって今に至る。桐谷は一高に合格したと聞いている。今では充実した高校生活送っているのかな
扉の開く音がする
「みんな席に着け〜ホームルーム始めるぞ」
黒髪ショートヘアで美人、身長は170cmぐらいで20代後半だろうか
「出席を取るぞ〜」
先生が周りを見渡し声を出す
「秋山」
「はい」
「荒木」
「へい〜」
次々と名前が呼ばれる中、自分の番がやってきた
「佐藤」
「はい」
緊張していて声が裏返った
「あれ〜佐藤初登校だね、何で入学式休んだんだ?」
俺はちょっと困った顔をして
「ちょっと体調崩しちゃって」
周りの視線が気になる、こんなに見られると緊張感上昇すわ
「そうなんだ、でもちゃんと先生に連絡するように」
先生はこれが担任を持つのが初めてらしい
「はい」
今度は声が裏がえず普通に言えた
「それじぁ、立って自己紹介自己紹介」
声を弾ませながら言ってくる
椅子から離れ立った
「入学式の日みんなやったんだから」
俺は椅子を出し立った
「佐藤集です」
席が前の方だったので皆の方を向き自己紹介をした
「よろしくお願いします」
軽くお辞儀をし椅子に座ろうとした時
「もっとないのか〜他には特技とかいろいろ」
早く座らせてくれよ緊張してて手汗はんぱねーから
「いや、特には」
内心では怒りながら表情は笑顔を作る
「そうか〜、みんな仲良くしてやれよ」
(余計なお世話だっつーの、なんか恥ずかしいじゃねーか、転校生ではあるまいし)
「次、進藤」
「はい」
(いい声がするな〜)
後ろを振り返ってみる
そこにいたのは茶髪にロングヘア、誰もが見惚れる顔立ち、いわゆる美少女だ
男子の誰もがにやにやと見ている、女子からには舌打ちなどが聞こえてくる
(こんな美少女がいたら女子嫉妬するだろうな)
(そうゆえば、こいつも一人だったじゃねーか?)
(後ろに誰かいる気配したし、先生が席に着けといったとき、後ろから椅子の音聞こえなかったし)
(まぁこれだけじゃぁ判断できないな)
出席確認が終わった
「次は移動だから遅れないように」
扉の閉まる音がした
(はー、終わった、マジ緊張した)
(やっぱり誰も話しかけてこない、自己紹介の後って話しかけてくるのがふつうだろ)
(よし、話しかけてみるか)
「ねぇー進藤、一緒に行かない」
満面の笑みで振り向く
「なんですのーいきなり呼び捨てとか」
驚いたようにしている
「ごめんごめんダメだった?」
(ミスったやっちまった)
「いや、いいです、いきなりでびっくりしただけですよ、話しかけてくる人が誰もいなかったんでとても嬉しいです」
笑顔で言ってくる
(可愛い〜)
「俺は佐藤集、集でいいよ」
距離を詰めチャンスだ
「私は進藤つばめ」
「私もつばめでいいよ」
「よろしくー」
「よろしくね、集」
「おう」
こうして俺の高校生活が始まった