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第6話 探索の開始

 モンスターと銘打たれた章を読み進めてみる。


 まず目についたのは、人型と書かれた何枚かの絵だ。

 そこに書かれているのは、確かに人型ではあるのだが、容姿が醜く小さな人型のスケッチがいくつか、そして、豚と人間を組み合わせたような大型の人型のスケッチであった。

 小さい人間のスケッチには、“あまり強くはない”、“粗雑な武器”、“ただし、複数固まっていることがあるので注意すること”。大きい人型のスケッチには、“凶暴”、“キケン”、“遭遇を避けること”と書かれていた。

 他にも、いくつかの動物のようなものスケッチ。たとえば、目が3つあるオオカミや、サイズの一回り大きな兎などが書かれていた。それらは、ベースは普通の動物のようなのだが、どこかが奇形であるとコメントされていた。それぞれ、モドキという名を付けているようだった。

 モンスターの種類はそんなに多いものではなかったが、明らかに違う個体のスケッチが多くなされていることを見ると、それなりに数がいるということを容易に想像させ、少し背筋が凍る思いをした。


 ノートの内容はほかにも多岐にわたり、生活に役立ちそうなことも、沢山記載されており、非常に助かりそうだった。

 その内容の多さから、そのすべてに目を通せたわけではないが、ところどころを流し読みつつ、一応最後まで読み終えたところ、ノートの最後にこう記されていた。


“私は、この建物を後にすることにした、私以外の誰かに会いに行こうと思う。このノートが見知らぬ誰かの助けになることを願って。楯無 焔”


 それ以降は、何も書かれていない白紙のページが続いていた。

 たてなし ほむらと読むのだろうか……?


 外の様子をみると、太陽が少し傾きだしてきている。

 建物や倉庫の確認をしたり、ノートを読んでいたりしたら、かなりの時間が経過してしまったようだ。


 実際、建物があるので少し状況はことなるが、サバイバルでは、水の確保、食糧の確保、そして、火の確保が重要だったように記憶している。

 家の外に薪が積んであったが、あれは見るからに使い物にならない。すると、これから必要になることは、薪の確保ということになるのだろう。


 善は急げだということで、ぼくは、まず倉庫に薪の確保に必要なものを調達しに向かった。

 

 ありとあらゆる武器が揃えられているなんて、物騒ではあるが、いまは非常にありがたいと思う。まずは斧だろう。倉庫の中には、バトルアックスとでもいうような、とても片手では扱えなさそうな巨大な斧もあるが、片手でなんとか扱えそうなハンドアックスを取り出した。武器を持つと感じるけれど、金属の重さを実感する。

 ノートによると魔物というような生き物は、家の近くにはほとんどいないらしいが、予備の武器として、大ぶりのダガーも持つようにした。

 寝間着として着ていたジャージを脱いで、倉庫の中にある布製のズボンとチュニックとでもいうのだろうか、丈の少し長い頭からかぶるタイプの上着に着替え、チュニックの上から幅広のベルトを巻いておく。

 ベルトには、小物を入れておける蓋付きのポケットと、ポーション(ボックスの中にあった怪しい試験管が傷を治すポーションであるらしい)を入れておくのに適した細長いポケットが備えられている。

 ボックスに入っていたポーションは3種類、ノートを信じるとすると赤色が怪我などを直すヒールポーションで、黄色が体力を戻すスタミナポーション、青色が精神を回復させるマナポーションらしい。精神を回復といわれてもピンとこないが、集中力でも回復させるのだろうか?

 ダガーも鞘に入れて、ベルトにつるしておく。

 鎧については、いくつか試着をしてみて、しばらく考えてみたけれど、正直鎧を着たまま動ける気がしない(プレートメイルなど持ち上げるだけでもやっとだった・・・・・・)し、いざという時は、逃げることを優先して革製の手袋だけをつけることにした。遠くに行かなければ大丈夫だろう。

 それにしても、鎧などを合わせてみて思ったのだが、重さはともかくサイズがどれも気持ち悪いくらいにぴったりとフィットした、まるで誰かがぼくのために準備したかのうようだ。


 準備をするだけでも結構時間がたってしまった。

 外が暗くなる前に薪を集めないといけない。そう決心を新たにして表に出てみて、太陽の様子を確認したところ、太陽が暮れるまではまだしばらく時間がありそうだった。


 ドアをでたところの正面がきっとこの建物の出入り口なのだろう、そこだけ塀が設けられていなかった。

 出入り口から家の敷地をでて、草むらの中へと入っていく。草むらといっても、生えている草の高さは腰の高さほどもあって、正直な話、かなり歩きにくい。鉈のようなものでも持ってきたらよかったかなと、草を踏み分けながらぼくは思った。


 普通、人が住んでいる場所は、出入りする人によって地面が踏み固められて草が生えなくなるとおもうのだが、目の前の草は自然のままのというか、もう生え放題である。草の生え方から、かなりの間、だれもここに足を踏み入れてないのがわかる。

 その割には、敷地の中は誰かが手入れしたかのように荒れておらず、やはりあの建物には不思議なところがある。


 草をかき分け、斧で草を払いつつしばらく進むと、30センチほどの短い幅だが道ができていた、たぶん獣道なんだろう。幅からいってもそんな大きな動物とはちあうこともないだろうとおもい、獣道にそって森まで歩いて行く。

 とはいえ、両サイドから生えた草が獣道まで迫っているため歩きやすさはましになったという程度ではあったが・・・・・・

 森までは100メートルもないだろうか。獣道を広げながら、森の方までようやくたどり着いた。

 足に付いた草や枝などを払うと、ぼくは森へと足を踏み入れた。

その瞬間、気温が下がった気がした。頭上高く多い茂る葉が光を遮っているからなのだろう。森にたどり着いていま感じているのは、達成感などではなく、不安だ。どこか暗闇を除くのに似ている。

 森林浴とは良く言うものだけど、そんな良いものでは全くなかった。

 道も何もなく奥に続く森は、樹の海、樹海といった様子で、先も見えずずっと続いている。

 奥に5分も進んで、そこで目隠しでもして、ぐるぐる回されたならば、たぶんここに戻ってくるのは不可能だろう。


 腰が引けて、少し建物に戻ることも考えたけれど、先延ばしにしてもなにも良いことがないことはわかりきっているので、観念をすることにする。


 とりあえず、近くの木に斧で目印をつける。木を傷つけることに少しの良心の呵責を覚えたが、この際気にしないことにしておく。これから進む進行方向に対してまっすぐの矢印を刻みその下に”I”と刻んでおく。この矢印を逆にたどることによって戻ってこれるようにする算段だ。

 結局、この日の探索は矢印を3つほどつけたところで終了した。とはいうのも、目的だった薪に使えそうな木がすぐに手に入ったからだ。森に入ったところ、所々に倒木が見られて正直薪の調達に困ることはなさそうだった。

 当たり前のことだが、大きな倒木を運ぼうとしてみてもぴくりとも動かないので、なんとか細めの倒木を見つけると、斧で苦労しつつも運べるサイズに切り出した。

 一つの倒木を3つくらいに分けて建物まで運んでみたが、薪を調達するのも楽な作業ではなさそうだ。往復によって、森までの道がある程度歩きやすくなったことが、今日の探索の成果だろうか。


ようやく家の外へと出ることができました!

明日もこのくらいの時間に投稿する予定です!


まだまだ、話も進んでないし、いろいろあれですが、評価をして下さった方、お気に入りに入れて下さった方ありがとうございますっ!

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