第0話 プロローグ
<第0話 プロローグ>
「ああ、これは夢なんだ」
夢の中でそう気づくことはないだろうか?
年を取るとともに現実的な夢、どこかで友達に会ったとか、学校で勉強をしていたとか、仕事に行っていたなど、そんな夢を見る機会が増えてはきている。
しかし、ぼく、相良 樹のみる夢の多くは、いまでも突拍子のないものばかりだった。
夢の中では、どんなことでも出来た。翼を生やして空を飛ぶことなんて、本当に序の口で、テレキネキシスで遠くのものを破壊すること、また、ある夢では、魔法を使うことさえ出来た。
夢の中では、なにも自分が特別になるわけではない。時には世界が変化して、例えば、ゾンビにあふれかえり、友達がどんどん食べられていくなかひたすら逃げ惑う夢を見たかと思えば、いろいろな異性から迫られて、幸せな学生生活を送る夢をみて悦に入ったりもする。
しかし、夢の中では、大抵のことはあるがままに受け入れてしまう。
例えば、カラオケに行った夢を見たとする。そこで一緒に歌を歌った友達がずいぶん前に会わなくなってしまった小学生の頃の友達だったとしても、全く不思議には思わない。空を飛ぶ夢だったら、なんの疑いもなく空を飛べることを信じていて、大空を自由に飛び回っているだろう。
時々、自分が夢を見ていること、夢の中にいることを気が付くことがある。ぼくはその瞬間が好きだった。自分が夢の中にいることを知っていると、その夢を自分の思い通りにすることが可能だった。
でも、夢は、自分が夢だと気づいた瞬間急激に色褪せて行ってしまう。自分が夢を見ていることに気がつくこと、それは、もうじきに自分が目を覚ますことも意味していた。
目を覚ましてしまうと、その夢の記憶も薄れてしまい、ほとんどの夢は覚えていることができない。でも、ぼくは、その夢の中を楽しむのが好きだった、現実とは違ってそこでは、無限の可能性が広がっていた。
そうそう、そういえば、夢の中で足を滑らせた時とか、落下する時って、体験してもいないのに実際に浮遊感とか感じるよね、ちょうどこんな感じで……えっ?
ドサッ
「うっ」
突然、体に伝わってきた衝撃に思わず声が漏れた。目を軽く開く。
でも、部屋の中は真っ暗で何も見えない。ぼくは、夜寝るときは、明かりは全部消して寝る派だった。
ベッドから床に落ちてしまったのだろうか?そこで、はたと思い当たる。
ぼくは、家では布団で寝ていたはずだ。手探りで辺りを探ると、まず手が壁に突き当たった。
「冷たい」
これは石だろうか?なめらかではない感覚とその冷たさはあまり経験をしたことがある感覚では無かった。
まずは、明かりを……
ぼくは、そう思って壁に手をついたまま、電気のスイッチをさがす。電気のスイッチ?それってなんだっけ?
さらに壁を手探りで探っていると、ぼくの手が何か、といってもこれは窓だろう、を探り当てた。
それは、いわゆるガラス窓ではなく、木作られた雨戸のような窓なのか、良く知った感覚ではなかった。それから少しの時間をかけて窓を閉じたままにしている閂を見つけ出し、僕は、窓を開いた。
窓を開けると、外はまだ夜だった。
森の中にぽっかりとあいた空間の中、空には大きな月と小さな月が、並んで浮かんでいた。
後書きつらつら
リアル事情でしばらく離れてましたが、比較的時間がでてきましたので、新作など、詳しくは活動報告にでも書いておこうかと思います。
前作(べたな異世界物語はハーレムもので)も、時間を見つけて区切りの良いところまで手を入れていきたいと思ってます。お暇つぶしにでもどうぞ!(宣伝)http://ncode.syosetu.com/n9430bp/
前作は、ベタにチートでハーレムものをテーマにしてましたが、
今作は、逆にチートなしで少し厳しい世界をテーマにしています。
暗い話は嫌いなので、暗い話にはならないはずです。
前作の教訓(更新に追われる)を糧に、自分の中で区切りのいいところまで、それなりのストック(20万字ほど)があるので、誤記とかの修正をしつつなるべく毎日投稿していくつもりです。
経験的に、誤記(変換ミスなど)とかちょっと多めなので、そっと教えていただけるとたすかります。
感想には、十分返信できないかもしれませんが、その辺りはご容赦ください。しっかり読ませてはいただきます!
更新の状況はTwitterアカウント@YoHozuki
でも報告させていただくよていです!