桃太郎と三匹の子豚
山の中にお爺さんとお婆さんが仲睦まじく住んでいました
お爺さんは山へ芝刈りに、お婆さんは川へ洗濯に行きました
するとどうしたことでしょう川の上流から大きな桃がどんぶらこどんぶらこと流れてきました
お婆さんは驚きましたが、きっとお爺さんは喜ぶじゃろうとそう思い桃を家に持って帰ることにしました
お婆さんが大きな桃を家の俎板の上に置いて、お爺さんの帰りを今か今かと待っておりました
ほどなくしてお爺さんが帰ってきて、俎板の上の大きな桃を見て「何じゃこれは?」と叫びました
お婆さんは桃がここにあることの詳細を話し、お爺さんは不思議なこともあるもんじゃなぁ、さあどうするかな?と言いながら、桃を切ることにしました
実は、このお爺さんは山の中にある知る人ぞ知る完全予約制のフレンチレストランのオーナーシェフだったのです
そしてソムリエのお婆さんと二人でお客様を心から満足させるために日々精進していました
お爺さんはこの桃を見てフルコースを創作することを思いつきました
そしてよく砥がれたシェフナイフでエイヤーと桃を半分に切ると・・・
なんと、中から玉のような男の子の赤ちゃんが出てきたのです
お爺さんとお婆さんはもう腰を抜かすほど驚きましたが、あまりに可愛い赤ちゃんなので、子供のいない二人は名前を桃から生まれたので「桃太郎」と名付け大切に育てました
すくすくと育つ桃太郎はこのレストランの看板息子となりました
さて、桃太郎が15歳になったころ、山では最近、暴れん坊の狼が出没して、山の中を荒らしまわっていることが問題となっていました
特に家畜として飼われている豚の被害が大きく、みんな頭を痛めていました
桃太郎はお爺さんお婆さんに言いました
「僕がその暴れん坊の狼を退治してまいります」
お爺さんとお婆さんはこのたくましい桃太郎を見てたいそう喜びました
狼退治に行くその日にお婆さんは桃太郎に、一本の藁と、一枚の板切れと、一かけらのレンガを「何か困った時に役立つかもしれないから持って行きなさい」と渡しました
さて、狼退治に出かけた桃太郎は途中で、狼に襲われた豚舎から命からがら逃げてきた三匹の子豚と出会いました
その中のブーと名乗る豚が「桃太郎さん桃太郎さん私にその一本の藁をいただけませんか?」
そしてもう一匹のフーと名乗る豚が「桃太郎さん桃太郎さん私にその一枚の板切れをいただけませんか?」
最後の一匹のウーと名乗る豚は「桃太郎さん桃太郎さん私にその一かけらのレンガをいただけませんか?」
桃太郎はきっと子豚たちは困っているのだから、お婆さんの言いつけ通りあげようと考え、それぞれの豚が望むものをあげました
すると、いきなりいかにも狂暴そうな見た目の狼が現れ、三匹の子豚に襲い掛かろうとしました
桃太郎が「ブーよその一本の藁を狼に投げつけやりなさい!」と叫ぶ・・・
ブーが投げつけると・・・その一本の藁がにょきにょきと増殖して、狼と三匹の子豚の間に藁の家が出現しました
急いで子豚たちはその中に隠れましたが狼は「こんなもの一吹きだ!」言うと、吹き飛ばしてしまいました
「ぶひゃー」・・・逃げ惑う子豚たち
またもや襲い掛かろうとする狂暴な狼
桃太郎が今度は「フーよその一枚の板切れを狼に投げつけてやりなさい!」と叫ぶ・・・
フーが投げつけると・・・その一枚の板切れはどんどん枚数が増えて、狼と三匹の子豚の間に木の家が出現しました
急いで子豚たちはその中に隠れましたが狼は「俺を舐めるなよ!」と言うと、また吹き飛ばしてしまいました
「ぶひゃー」・・・逃げ惑う子豚たち
絶体絶命!
桃太郎が「ウーよそのひとかけらのレンガを狼に投げつけてやりなさい!」と叫ぶ・・・
ウーが投げつけると・・・その一かけらのレンガはどんどん増えて、狼と三匹の子豚の間にレンガの家が出現しました
急いで子豚たちはその中に隠れました・・・もう後がない・・・狼は「なんのこれしき!」と言うと、また吹き飛ばそうと・・・ところがレンガの家はびくともしない
「何?俺様だぞ!そんなはずはない!」・・・狼は続けて吹き飛ばそうとしますが、レンガの家はびくともしない・・・
やがてへとへとになってしまった狼は桃太郎がいとも簡単に素手でお縄にしました
助かった三匹の子豚たち・・・
ここで桃太郎はお爺さんお婆さんに携帯電話で連絡をしました
「狼は無事退治してお縄にしたよ!そして子豚も三匹確保できたよ!今日のディナーは特別メニューでお客様の笑顔が楽しみだね!」
桃太郎と三匹の子豚 終わり