第14話
俺がバルハイムの街に着き、ギルドで詳細な情報を話していた頃、ディーン率いる調査部隊は森のなかの探索を開始していた。
「しかしあなたの子供はすごい逸材ですね、キャスパーさん。」
「ガハハ、そりゃ当然だ。なんたって俺が手塩にかけて育てた一人息子だからな。」
「!!!みんなちょっと待ってくれ。あちらの方向に一際大きな魔力を感じる。ちょうどスヴァン君がグレートファントムメイジを倒したと言っていた場所のあたりだな。」
さすがはB級冒険者で斥候に特化したディーンである。強大な魔力であれば、数百メートル先からでも難なく感知することができるようだ。
名前: ディーン
年齢: 29
レベル: 57
HP: 467/467
MP: 359/378
筋力: 55
耐久: 71
俊敏: 101
精神: 83
スキル: 風魔法7・小剣術4・身体強化6・索敵II1・隠密3・思考加速4
固有スキル: 鷹の目
ディーンの持つ索敵IIは索敵の完全上位スキルとなっており、従来の索敵のスキルが10に到達した時に自然に変化したそうだ。多くのスキルがこのように上位スキルを持っているがほとんどの冒険者がそこには到達することなく生涯を終える。
B級冒険者ともなるとチラホラ上位スキルを持つ者も現れ始めるが、それでも比率としては3割程度と言ったところか。その希少さから上位スキルを得ることは多くの冒険者の憧れであり、自分の実力の誇示のために上位スキルを獲得しと事を公にする上位冒険者も少なくない。
「ここからは最大限に注意を払う必要がある。前衛役のキャスパーとワグマールを先頭に、ゆっくり安全を確認しながら行こう。」
一つ一つ茂みの中までクリアリングをしながら、ゆっくりと魔力の発生源へと近づいていく。
森は異様な静けさを放っており、まるで一団の一挙手一投足を見守っているかのようだ。
そろそろスヴァンが言っていた地点を視界に捉えようかとした時、突然森の中に奇声が響いた。全身の毛をゾワリと撫でるような、不快で存在感に満ち溢れた声。
その声と共に魔物達が動き出した。
「前方から”奴”がくるぞ!それと森の深部からもドデカい魔力反応が一匹近づいてきている!」
ディーンが取り乱した様子で叫び、6人全員が戦闘態勢に入る。
「やっぱりスヴァン君の言っていた通り、僕らの森の中での動向はお見通しみたいだ。もしも手に負えないと判断した時には、予定通り2人ペアの3組に分かれて脱出を図るように!なんとしてでもバルハイムまで情報を持ち帰るんだ!!」
「しっかし、この感じ。今回の大量発生はかなりヤバいのが混じってるみたいじゃねーか?ディーン。」
「・・・分からない。こればかりは。だからこそ俺たちの持ち帰る情報が大事なんだ。」
そう言い放ったディーンの頬には冷や汗が流れていた。本体ならば今すぐにでも撤退を決断している状況、それでも今回ばかりはリスクをとって情報を得なければならない。
加えて今回のパーティーはそれぞれ経験豊富ではあるものの即席パーティー。連携面でも不安が残り、強敵を相手にどこまで戦えるかは全くの未知数だ。
ドンッッ!
周囲の小粒な魔物たちを掃除していると一匹目の大物が姿を現した。こいつはスヴァンのもたらした情報から予想した通り、グレートファントムメイジの更に上位種、キングファントムメイジ。
「さああ。まずはこいつを倒すぞ!みんな。」
日が暮れかかってきた森の中で、長い長い戦闘が始まろうとしていた。




