真実の愛を知ったという王太子殿下に婚約破棄されました。その相手は私をいつもぼろ令嬢といい虐め、引きこもりにさせた腹違いの妹でした…。
私の幼い時に母は亡くなり、私は独りぼっちになりました。
侯爵の父は母が死んだときも家によりつかず、すぐ再婚し、母の財産すべてを取り上げ、私を離れの屋敷に住まわせ、無視し……そのあとに生まれた妹をかわいがりました。
捨て置かれた私をいつも妹と継母は離れにたまにやってきては、ぼろを着たぼろ令嬢と馬鹿にしました。
母から受け継いだ財産をすべて盗まれ、私はばあやと二人だけでつましい生活を送ってきたのです。
母の形見もすべて取り上げられました。
ぼろ令嬢と言われても、一応父の娘です。
社交界へ誘いがきて、一応デビューをすることになりました。
けれども、ぼろ令嬢は妹のおさがりのつんつるてんのドレスで舞踏会にでてみなのわらいものになりました。
私はそれから外にでることもおっくうになり離れの屋敷からでることもなくなったのです。
しかし、私がなぜか王太子殿下の婚約者に選ばれました。魔力の一番強い15~20歳までの令嬢が集められ、その中で私の魔力が一番高かったからです。
妹は15,私は17でした。妹は私が王太子の婚約者に選ばれたことで大層怒ったそうです。
王太子殿下は私をみて嫌そうに顔を歪めました。妹のほうがよかったとため息をつくのです。容姿は確かに妹のほうがよろしかったので、私は地味女と呼ばれ殿下には無視される日々が続きました。
私は引きこもりから脱出し、なんとか彼に相応しい婚約者になろうと努力しましたが……。
「リオーネ・テンペスト、お前は妹がお前のことをいじめたと嘘をいい、館に引きこもっていたそうだな、その罪によりお前との婚約を破棄する! 私は真実の愛に目覚めた、憐れなお前の妹と婚約する!」
嘘ではなく、妹が私をぼろ令嬢といいからかっていたのは本当です。しかし私は家の恥を他人に言ったことはありません。
殿下の横にいるのは腹違いの妹でした。
「ぼろ令嬢などとお姉さまのことを言ったことはありませんわ、なのに館に引きこもってしまうなど、私とお母様にたいする嫌がらせですわ」
私は違うといいましたが、言い訳だとされ、妹をいじめた罪により、修道院送りになりました。
私は修道院の中で監視の目を盗み、あることをしました。
そして……。
「ごきげんよう」
「ど、どうして、隣国の王妃がお姉さまですの!」
私はにっこりと笑い、再び二人の前に立ちました。
「引きこもりのぼろ令嬢ですが、ただたんに引きこもっていたのではありませんのよ」
私は実は館に引きこもっていた間にお母様が残したある魔法を発見し、使ってみました。そうすると、あるかたと魔法のパスが繋がり、お話することができたのです。
悲しいとき、辛いとき、私はいつもその方に励まされました。
「私の愛しい王妃をぼろ令嬢とからかっていじめてくれたそうですね、このことはよく覚えておきますよ」
にっこりと私の隣にいる王が笑いました。実はいつも私とお話してくれていたのは隣国の王子、実はあの魔法は運命の相手とお話しできる魔法だったのです。お母様は政略結婚することが決まっていたので、生涯使わなかったそうですが。
私は隣国の王子とずっとお話ししていたのです。そして彼は私を修道院から脱出させてくれました。
私たちは婚姻し、幸せに暮らしていましたが、元の祖国で王太子が婚姻するというのでそれに招待されたのです。いつか復讐したいと思っていたときの台詞を私はいってやりました。
「同盟はこれで終わりです。嘘つきの女の言うことを信用する王太子のいる国なんて信用できませんもの、ねえ?」
「王妃の言う通りだ、同盟は破棄させてもらう」
私たちはにっこりと笑い彼らに宣言しました。さて、隣国のほうが大国であるという自覚はあったようで青い顔でこちらをみている二人。
これから復讐ははじまるのですわ。
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