10 姉妹
今回はゆるゆるな回です。あまり進展がありません。
え?いつも通り?吸血姫派遣しますよ?
私は"ルベリー・ヴァンピィ"、"ルベリー"だ。
ふむ、元日本人の私なのだが、特に恥ずかしげも無く名乗れてしまう。これも吸血姫になった変化の1つなのかしら。
…未だに女言葉になってしまう自分が恥ずかしい。こればかりは治りそうもない。
しかし、
ーーー人間、慣れてしまうと大抵の事は気にせず生きることが出来るのだーーー
と、いつかの似非医者がほざいていたが、確からしい。
今の私は高度何千フィートを悠々と飛行出来てしまっている。
そう、自分の翼でだ。
有名合唱曲のような白い翼では無いが、自由に空を舞い踊ることが出来ている。私は幸せだ。
幸せなのだが、問題がある。
今どこに向かっているのか、分からないのだ。
私は我慢できずに、先行する同族へ問う。
「ねぇ、今どこへ向かっているの?レット姉………なぁっっっ////」
「「えっ」」
進行が止まった。顔を手で覆う私の前で2人はやんややんやと騒ぎ合う。
「ねぇリン、聞いた聞いた?ベリーが私のことを"レット姉"って!」
「うんうん、聞いたよー!お姉ちゃん!ベリーがはっきりとレット姉って!」
「かぁ、からかわないでよ"リン姉"………ぬぁぁぁあっっ///」
自爆した。盛大に自爆した。私は紅く染まった顔を再び手で隠しふるふると震える。
「お姉ちゃんお姉ちゃん!私も言われたよ!"リン姉"って!お姉ちゃんって!」
「聞いたわ聞いたわァ!ベリーがしっかりとリン姉って呼んでたわね!」
「もうやめてぇ…やめてくださいぃ…」
私は涙目で首を横にブンブンと振る。
自分で言ってしまった!無意識に言ってしまった!
あまりにも強い羞恥心に今にも逃げ出してしまいたくなる。
中学生の頃の話をしようとすると度々焦っていた彼も、こんな気持ちだったのであろうか。
だとしたら地に頭を擦りつけたい。
レット姉はニンマリという効果音が聞こえてくる笑みを浮かべ言ってくる。
「私たちの血が多く混ざっているところに、私たちの家名が加わったから、貴女の魂も少し変化したのかもしれないわね!私の可愛いベリー!」
「ベイビーみたいに言うなぁっ!」
レット姉の平らな胸をポカポカと叩く。
しかし、そんな私をレット姉は抱きしめて頭を撫で始めた。
「あら、ベリーの髪、とても撫で心地がいいわね〜それにあったかぁい…」
「あ、あの…ううう…」
やばい。これはやばい。レット姉の吐息がありえぬほど近くで聞こえてくるし、何よりもいい匂い…
吸血姫なのにお天道様のいい匂いがしてくる。そして、恐ろしく強烈な姉オーラ、私は骨の髄まで溶けてしまいそうだった。
しかし、そんな天国に終焉を告げたのは、けたたましいエンジン音であった。
不本意にも解放された私は、あからさまに怒りを込めて、音の鳴り響く方向を睨みつける。
そこに見えたのは接近してくる戦闘機群の姿であった。
「なにこれ」
私の怒りは跡形もなく消失し、私は迫り来る人間共に呆然とした。
戦闘機については詳しくないので機種名云々は省略する予定です。