第3話 いざ、温泉へ!
勇者エルダムが死亡してから半年が過ぎたが、まだ勇者は見つかっていない。
そんな中、私は家族と一緒にとある辺境の街まで来ていた。
私だってたまには仕事をサボりなるし、家族サービスだってするのだ。
ちなみに今回はお忍びである。
シルヴィアにも話していない。
だって話したら絶対に拘束されて溜まっている仕事をさせられるんだもん。
彼女は真面目すぎる。サボっていたことがバレたら、後で大変怒られるだろう。
私って国王なんだがなぁ。
彼女は私が頭の上がらない女性のひとりだ。
シルヴィアとは学生だった頃からの知り合いだが、彼女は昔から変わっていない。
彼女はとある子爵家の娘だったのだが、頭がとにかく良かったので上級貴族の子どもが通う学園に特待生で入学してきたのだ。
当時悪ガキだった私は、『下級貴族のくせに』と彼女につっかかったのだが、彼女は王子だった私に対して、
『例外を除いて貴族は成人してからなれるものですので、私は貴族ではなく貴族の子どもです。そんな事も知らないのですか、先が思いやられますね』
と言ったのだ。
私はちょっとした気持ちで彼女にイヤミを言っただけのつもりだったのだが、そのイヤミが何倍にもなって返ってきた。
この時、私は思った。
こいつにケンカを売るのはやめようと。
そんな事件があり、彼女は私のことを『ルドルフ』と呼び捨てで呼ぶようになった。
彼女曰く、敬う必要性を感じないから、だそうだ。
もちろん、人の目がある場所ではちゃんと『陛下』と呼んでいるが。
そんな事もあり、私は彼女に頭が上がらない。
「父上、温泉楽しみですね」
城に帰ったらくらうであろうお説教に思いを馳せ、憂鬱な気分に浸っていると、横から可愛らしい声が聞こえてきた。
「あぁ、そうだな。とっても楽しみだよ、リーン」
今年で8歳になる私の娘、リーンはとても良い笑顔で私と喋っている。
母親譲りのぱっちりとした目、可愛らしい鼻や口。まさに天使だ。
生まれて、初めて目にした時は可愛すぎて自分の子どもか疑ったほどだ。
私にはあまり似ていないが、王族の証である銀髪と蒼い目の色は私譲りと言っても良いだろう。
逆にそう言わないとあまりに似てなくて悲しい。
まぁ、シルヴィアには『似ていなくて本当に良かったです』と言われたが。
流石に言い過ぎだと思うのだが、側近のセバスまで頷いていたからな。
ちゃんと気付いてるぞ、セバス。
そんなどうでも良いこと、いや私のリーンについて考えることがどうでも良いわけない!
ん、ん…とにかくそんな事を考えているうちに、温泉の街ホスプにたどり着いた。
第4話は4月25日に投稿予定です。
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