クリスマスにはサンタが来るってよ
メリークリスマス!
今日は12月25日。
リア充の祭典、クリスマスってやつだ。
爆ぜてしまえ。
ちょっと大きい繁華街で右を向けばカップル、左を向けばカップル、後ろには……まあ男同士ってのも今のご時世悪くはないだろう。うん。
少し前にバイトの後輩の女の子に
「クリスマス予定ある?」
「ないけど? (こりゃもしかしてもしかするぞ……」
「暇ならシフト変わってもらえない?」
「あ……うん……」
なんていうテンプレをぶちかましたところだ。
まあいいし!
デートじゃないかもだし!
でも午前シフトだったからデートだったら1日中…… 下手したらイブから……
「ああ……虚しい……」
まあいい、バイトも終わったし友達の家に行くとしよう。
『バイト終わったら来い』って言ってたしな。
◇◇◇
「よく来たな、我が同胞よ……」
「おう、否定したいが事実だからな。 これ、お土産」
「ふむ、コカトリスの揚げ物か供物としては最適だ……」
とまあこいつが俺の友達だ。
不治の病にかかってしまったが根はいいやつなんだ。
呼び出した以上当たり前だが一人で家にいたか。
「で、急に呼び出して何の用だ?」
「とある儀式を取り行おうとな。 お前ならば来てくれると思っていた…」
「はぁ!? 俺にだって彼女ぐらいいるしぃ!」
「画面の中から出てこなければそれはいないも同義なのだ」
「くっそ…… それならお前も似たようなものだろうに……」
何か受けなくてもいいダメージを負った気がするぞ……
◇◇◇
「ついたぞ。 ここが儀式場だ」
「そんなオドロオドロしく言うほど遠くは……
どうなってんだこれ……」
ここは2階のあいつの自室のはずなんだが……
変なヤギの頭蓋骨とかは前からだが少なくともこんな鉄臭い赤い魔法陣はなかったぞ……?
「なあこれ人の……」
「安心しろ、豚だ」
「何だ良かったってちげぇよ! 何をやろうってんだよ!」
「何、サンタでも呼ぼうと思ってな。そこのローブを着るがいい早速儀式を始めるぞ」
こうなったら腹をくくるしかないみたいだな。
ちくしょう、何がサンタ召喚だ!
せめてリアルが充実してるクリスマスがしたかったっていうのに!
「さあ、始めるぞ…… Iä! Shub-Niggurath! The Black Goat of the Woods with a Thousand Young!」
「ええっと……いあ、しゅぶにぐらす、ざ、ぶろーく、ごーとおぶざうぉーど、うぃふ、あ、さうざんど、やんぐ……?」
◇◇◇
呪文を3,4回唱えた頃だろうか?
「おいおいおい! 魔法陣が光ってるぞ!」
マジかよ。
「はっはっはー! 邪神召喚の儀、大成功だ!」
「邪神ってオマ!」
道理で何か聞いたことのある単語が呪文にあると思ったよ!
ちきしょう!
何がサンタじゃ!
「これじゃあサタンさんじゃねぇか!」
「なかなかに面白いことを言うな」
「わらってる場合じゃねぇー!」
そうこうしてる間にどんどん光が強くなってやがる。
「え?」
◇◇◇
何だあの魔法陣から出てきたよくわからない生物は……
どうやら俺はあれを見た瞬間に気絶したらしい。
そういえばあいつはどうなった?
「おーい大丈夫かー」
「ああ、問題はない」
何か声変わってね?
「ってお前……」
俺の目の前にいたのは俺の友達の服を着た銀髪の女の子だった。
「ふむ、召喚の代償は肉体の変化か、女でなければならない技もいくつかあったからな…… おい。 もう帰っていいぞ」
「大丈夫なのか……?」
「特にはな、それではやりたいこともあるのでさっさと帰ってくれ」
◇◇◇
そんなこんなで俺はそのまま外までつまみ出されてしまった。
「……帰るか」
ちくしょう!
踏んだり蹴ったりのクリスマスだバカヤロー!
続きそうだけど続かない