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嘘告なのか?・・・

「え?」

 

 河北さんは、そういった。

 そして二十秒ほど、沈黙の時間がたち、河北さんは重い口を開いた。


「本当ですか?ほんとに付き合ってくれるんですか・・・ほんとに?」


 河北さんが尻尾をふる子犬のようだ。

 でもわからない。なんでこんなに喜んでいるふりをしているんだ?もしかしてふられて笑いものにされることがなくなった安心からか?

 考えれば考えるほどよくわからない。

 とりあえず、俺は、


「ああ」


 そういった。まあこれで何とかなるんだろう。あとで笑われるのは俺だし・・・。


「本当ですか。」「やった」「うれしい」と小声で言っている。

 いや、なんでだ?嘘告やらされているんだぞ。そうか、動画とか撮っているんだな。だから演技をしているのか。


 まあ一旦いいや。

 朝のホームルームが始まるまで寝たいんだが・・・。

 

「そこ・・・どいてほしいんだが・・・」


 そこをどいてくれないといつもの睡眠スポットにいけない。


「いいですよ、村寺先輩。」


 俺の名前を言うときに少し恥じらっている。

 俺は、少し頭を下げスッといつもの場所に向かった。

 すると、河北さんは、俺の後ろをついてきた。俺は、足を止めた。

 俺は、つい


「河北さん、なに?」


 と、言っていた。河北さんは、


「いやーこの時間になんでここにきてるのかなーて思って・・・あっそれと河北でいいですよ」


「それは、河北さん、あなたもでしょ?」


「あーもう、さん付けしなくていいです。」


「あっそっか。それで何で?」


 俺は、話を流した。


「・・・先輩。モテないですよ」


 河北は少し機嫌を悪くしている。なんでだ。


「私は、入学式の日、早く着きすぎちゃって、教室に荷物おいてぶらぶら歩いていたんです。そしたらなんか屋上入れんのかなーって急に思ったんですよ。自由に出入りできるんだったら、読書とかしやすそうだしいいかなーって感じで。まあほんとに、まさか扉が壊れてるとは思いませんでしたよ?たぶん壊したの先輩ですよね?(笑)」


 笑いながら聞いてくる。

 いやあれは、不可抗力だったんだ。


「イヤ、俺以外ノヤツジャナイ?」


 言葉がカタコトになっている。

 それを聞いて河北は、腹を抱えて笑っている。 


「それで先輩は、なんで?」


「寝たいから・・・」


「はい?それだけ?」


「ああ」


 「ぷっ」とふきだして一人で大笑いしている。

 俺は、イラっとしながらもいつもの場所に足を運んだ。

 なぜか、このたわいのない会話が懐かしく感じる。

 まあいいやとりあえず、寝るか。


 なんだろう。これ嘘告なんだよな・・・。

 いや、この考え方は、ダメだ。

 気を引き締めていかないと。


 そんなことを思いながら、優しい暖かい風にあたり、意識が途切れた。

次回は、河北かわきた 麗奈れいな視点の物語です。楽しみにしていてください。

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