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悪食vs暴食

さて、どうするかな……


フローリアを逃したはいいが、俺はどうしよう。

早くも後悔し始めている。





「悪いな。律儀に待ってもらって。話してる途中に襲いかかってこないかひやひやしたよ」


『我がそんな卑怯なことするはずないだろう。いい雰囲気を壊すほど空気が読めない訳ではない。』


「いや、所構わず食い散らかすのかと思った。八つ当たりみたいな感じで」


『今その考えを食い散らかしてやろうか小童。こう見えて我は好き嫌いが激しいのだ』


「えっ、その見た目で?」






全然普通に話せるんだけど。封印されてたからもっと凶暴でどうしようもない奴だと思ってたけどめっちゃ俺の話聞いてくれるんだけど。



しかも好き嫌いが激しい?嘘だろ?

お前全てを喰らい尽くす存在だろ?何好き嫌いしてんだよ。ならその称号俺にくれよ。




「なあ、好きな食べ物ってなんだ?」


『山』




恐れられる理由絶対これだろ。


何山食ってんだよ。もっとマシなもの食えよ。しれっと環境破壊してんじゃないよ。





「なら嫌いな食べ物は?」


『人の形をした生物』




アレ?コイツ以外と俺達には無害なんじゃない?



こんな見た目してる癖に人を食わないとか。大抵こんな見た目のやつって人を襲って恐れられてるんじゃないの?言い伝え間違ってる?





『なんだ?もう質問は終わりか?』


「ああ……あっ!あと一ついいか?お前なんで封印されたんだ?封印される瞬間何か言われなかったか?」


『貴様っ…!我を封印した癖に忘れたというのか!貴様は『これ以上山を食って環境を壊すな』と言って我を封印したのではないか!!』


「それは全面的にお前が悪い。あと封印したのは俺じゃない」


『貴様ぁぁぁ!許さんぞぉぉおおお!!』


「話聞けや!!」





遂にブラックホールシャークが動き出した。

ヒレを器用に使い、こちらに移動しようとしている。

口を大きく開き、俺を地面ごと飲み込もうとしているようだ。





「うおっ!?やべ!?」




瞬時に反応し、そのまま飛び退き空へと逃げる。

俺の立っていた場所は地面諸共大きな歯型がついて抉られている。




『ぬう…避けたか。すばしっこい奴め』


「避けてなかったら丸呑みされてたもんでね。」





図体が大きいからか、先程戦った地蔵飛行モードよりもスピードは遅い。



そのかわり攻撃範囲がアホみたいに広いから結構全力で避けなければいけないのがめんどくさい。



結構体力持って行かれるんだよな……

ほら、また来たぞ。




また口を開けて俺を食べようとしてくる。俺の方がスピードは速いから避けることが出来たが、今度は一口で山が削られた。


山を食らうとか、なんて顎の力してんだよ……





『うむ、やはり久方ぶりに食べる山は美味いな。』


「今思ったけど山と地面の味の違いなんてあるの?結局は土なんだから一緒じゃない?」


『全然違うに決まっているだろ。土は所詮土だ。だが山には栄養が詰まっているのだ。生物の生まれては死に、死んでは生まれる循環エネルギーがな』


「それだったら普通の大地にも詰まってるだろ。空気にも海にも。」


『空気はダメだ。人型生物の近くの空気は澱んでいる。それと海もダメだ。純粋に塩辛い』


「屁理屈と好き嫌いが多いなぁ……」


『始めに言っただろ』





何俺は呑気に俺を殺そうとしてくる奴と話してるんだよ。


でもコイツ敵の割には中々話しやすいんだよな。

食べること趣味として気が合うとか?




『さて、小童よ。逃げてるだけでは何も始まらんことを分かっているか?』


「わかってるよ。だからそろそろこっちからも反撃させてもらう……ぜっ!!」




ブラックホールシャークに向けて急発進し、目の前で垂直に上に飛行する。体が大きい分小回りには対応できないだろ!



「いくぞ!『黒旋風』!」



そのまま急降下し、ブラックホールシャークの頭を思いっきり殴る。




『ぐぅ……!なかなかの威力だ。だがそんな攻撃では我を倒すことは不可能ぞ!!』




ブラックホールシャークは体を半回転させる。しかしそれだけの風圧で俺は吹き飛ばされる。




体を動かしただけで衝撃がすごい…!

直に攻撃をくらえばヤバそうだな。

まぁ攻撃当たる=即死なんだけどね。




『今度は我から行かせて貰うぞ!』




するとブラックホールシャークはその場を動くことなく口を開いた。



まさかあのバカデカイ口からブレス撃ってくるつもりか!?



と思ったけど心配は杞憂に終わった。

しかしブレスよりもめんどくさい事態になる。


ブラックホールシャークの口の中から、何かが飛び出てきた。それは2体のモンスターだった。






[レオドラゴン]

ライオンのようなドラゴン。口からは火を吹き、強靭な爪はあらゆるものを切り裂く。たてがみは固くなかなか千切れない。現在は絶滅している。



[ダイナマンモス]

鋭い牙と強靭な鼻を巧みに使い、全てをなぎ倒す象。

踏みつけると地面が爆発したかのような爆炎と衝撃を上げる。現在は絶滅している。






『どうだ。何も敵は我一人ではない。古代種の力をとくとその身に受けるがいい!』


「今更だけどお前の腹の中どうなってんだよ!?」


『我の腹の中がどうなっているかなど、我にも分からん!』




クソッ!ただでさえブラックホールシャーク本体が化け物級の強さと耐久力を誇るのにまた強そうな奴が増えやがった!



口からモンスター出せるとかチートかよ!?

俺以外にもチート野郎がいやがるのかよ!?



でもこの鑑定結果を見るに、口から生み出した訳ではなさそうだな。


だって現在は絶滅しているって書かれているから。


ということは、アイツは大昔に丸呑みにした生物を腹の中に飼っていて、そいつらを自由に吐き出せると見ていいだろう。




………想像した10倍めんどくさい状況なんだけど。




てことはアイツの腹の中にはまだまだモンスターがいるってことだろ!?そいつらをぽこぽこ吐き出されたら俺に勝ち目ねぇじゃねーか!?




「グオォォォォォォォォォ!!」




危なっ!?めっちゃ火を吹いてくるんだけど!?追いかけながら火を吹いてくるんだけど!?




「パオォォォォォォォォォン!」




こっちも危ねぇ!!地面すれすれを飛んでた踏み潰されそうになったんだけど!?しかも踏みつけた場所が爆発するんだけど!?





『どうした?逃げてるだけでは我らには勝てんぞ?』


「うるせーんだよ!!3対1とか卑怯だろ!?」


『貴様だって昔に我を2対1で襲ってきたではないか!?それのやり返しだ!!』


「だからそれは俺じゃねーって言ってんだろ!!」


『嘘つけ!その左手の紋様に覚えがあるぞ!昔もその左手の紋様で我を攻撃してきたではないか!忘れたとは言わせんぞ!!』





左手の紋様?あー……これか。初代魔王から受け継いだこれか……。



やっぱりあの魔王のせいかこの野郎!!

これのせいで俺恨みを買ってんのかよ!!



この紋様がある限り俺が封印した本人で確定されてんだろうな……



じゃあもう倒すか、何とかして説得するしか道は無いのか……



すると突然俺のいる辺りが暗くなった。

何事かと後ろを見ると、口を開けたサメが真後ろまで迫っていた。




バクン!!





「あっぶねぇぇぇぇぇぇぇ!!」




ほとんど口の中だったじゃねーか!もう少しであのどうなっているか分からない闇の中に放り込まれるところだった……!



しかし前からはレオドラゴンが!




「何でこんなに全員強いんだよ!『黒紋印・帳』!」



全身を黒紋印で覆い身体能力を爆上げし、尚且つ剣を片手に創り出す。



「どけぇぇぇ!!」




高速で移動し、レオドラゴンの首を両断する。

絶滅した魔物だから倒したくはなかったが、このままでは先に俺の方が殺されそうだったからな。

後で美味しくいただきますので。





バクン!





「ああああああああああ!!」





だが先にレオドラゴンの死体をブラックホールシャークが美味しくいただきやがった。




俺の楽しみを奪いやがって!!

何がなんでもあのマンモスは俺が食ってやるからな!





さて残りは2体。

もしかしたらまた増えそうな気がするが、増やす前にさっさと倒してやるよ!





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