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喰らう者

「そんな!?」


「はぁ!?」



どういうことだ!?

いきなり石碑にヒビが入りやがったぞ!?




「おい、話が違うじゃねーか!?封印ってこんな簡単に解けようとするもんなの!?」


「いえそんなはずはありません!!確かに不安定でしたがまさか今とは………!!」




なんで俺はいつも命の危機に見舞われるかね!?


どんな奴かは分からないけど、封印が解けたら大陸が喰われるんだろ!?



ていうかさっき黒紋印が反応してたよな?

反応し終わってからヒビが入ったよな?





……じゃあ俺がここに来たから封印解けちゃった系?






いやいやいや!流石にそれはないな!心に誓ってないな!天地に誓ってないな!



決して俺は大陸滅亡の立役者じゃないはずだ!!

これは長年の年期のツケが今回ってきただけ。


きっとそうだ。そうに違いない…………はず。



でもライザーが言ってたな?呪いが近くにあれば黒紋印が反応するって……。





えっ、じゃあ今封印されてる奴って呪い?





うわっ……ならギガントヤバいじゃん。


このフローリアの反応と説明を聞く限り、この呪いの強さは炎竜王の時と同等かそれ以上と見積もっていた方がいいだろう。




「因みに、今から再封印することは……?」




何としても、この壮絶な事態を避けたい。藁にもすがる思いで聞くよ。頼むから俺の望む答えを返しておくれ……!!




「ヒビが入った時点で封印は解かれています。顕著するのは時間の問題でしょう。」




だよね、知ってた。

こういう時って希望的観測はことごとく外れるんだよね。



すると石碑全体にヒビが入ってきた。ところどころ壊れてきてるし、さっきから地響きが凄い。





「最悪です……!間も無く厄災が封印から抜け出します!!巻き込まれないように離れましょう!!」


「おう!安全な地帯なんてもう無さそうだけどな!」





この城はフローリアの力で生み出されているため、意のままに操れるらしい。


なので壁の氷を溶かし、俺がフローリアを担いで外に脱出する。



俺達が脱出した瞬間、俺達がいた最上階が謎の光と共に消し飛んだ。


いや、城が建っていた場所諸共消し飛んでいる。あのまま中に残っていたら細胞一つ残らず死滅していただろう。



「危なっ!?おい、意味わからん黒い光の柱が城吹き飛ばしたぞ!?どうなってんだ!?ていうか、山ごと吹き飛んでない!?」


「あぁ……蘇ってしまいました……お母さん、封印を守り通すことが出来なくてごめんなさい……」


「今謝ってる場合じゃない。あんなもん防ぎようがないだろ。急にヒビ入って爆発したぞ。」




さっきから謎の鳥肌が止まらない。

この感覚は前回呪いと戦った時と一緒だ。



う〜ん……、これは戦闘は不可避かな?



だんだんと黒い光が弱まってきた。そして復活したであろう生物の正体が露わになる。





それは巨大な()()だった。




いや、サメと呼んでいいのかすら分からない。真っ黒な体に、形はナウシカに出てくる王蟲を魚にして、巨大な口をつけたような感じだ。


腹ビレが無い代わりに胸ヒレは数え切れないほどあり、尻尾まで続いている。そのヒレを全て不規則に動かすことで中に浮いている。



鋭利な背びれを持っており、全てを噛み砕いてしまいそうな歯を見せながら、目が黄色く輝いている。





なんだよアレ……!今からアレを倒せってか!?

化け物だよ!体長軽く200メートルはあるんじゃないか!?


存在感ハンパなさすぎて一瞬鑑定することすら忘れてたわ。





[ブラックホールシャーク]

全てを喰らう鮫。あらゆる物を食べては消滅させてしまうため大昔に封印されていた。胃袋の容量は底が無いとされているため、一度食事を始めると止まらない。





はい、チートモンスター出ました。

お疲れ様でした俺の魔王人生。




いやいや、こんなもん見たら普通に諦めてしまうって!!何だよコイツ!




でも妙に親近感湧くよな。何でも食べるサメと何でも食べれて強くなる魔王だろ?


共通点ありすぎじゃない?ペットにしようかな?逆に俺がペットにされそうだな。




でも問題はコイツをどうやって倒すかだ。


外に出てきてしまった以上コイツは食事を始めるだろう。そうなればこの大陸はおろか、魔王城も危ない。そしたら俺の彼女達が危ない!!



えっ、人間達はって?

そんなもん気にする必要なんかないだろう。性格も魔王寄りになったのか別に何とも思わなくなった。ていうかこの世界に人間いるの?





フローリアは俺の腕の中で震えている。

俺でさえ吐きそうな程のプレッシャーを放っているからな。



すると何処からか声が聞こえてきた。




『久しぶりの外だな。アイツら……よくも我を封印してくれたな…………!』


「お前喋れんのかよ!?」





【速報】目の前のサメが言葉を話していた件について






『ん?なんだ貴様は。その気配………そうか!貴様が我を封印した魔王か!我は運がいいな!我の仇が目の前にいるのだから!』




おい魔王さん(ライザーさん)や、どんだけ恨みを買ってんだよ……


何にも関係ない俺が標的認定されたんだけど!

しかも思いっきり勘違いしてんだけど!!





『しかし見た目が違うような……』




おおっ!そうだ!勘違いに気づけ!




『まぁ見た目が違うなど些細な問題だ!魔王よ、我を封印したことを後悔するがいい』


「全然些細な問題じゃねーよ!?俺はお前を封印した魔王じゃねーよ!?」


『言い訳は見苦しいぞ。何よりも気配が一緒ではないか!我の目は誤魔化せんぞ』


「誤魔化す以前に根本的に違うんだよ!」





いや、でも気配が一緒?確か俺初代魔王のライザーから黒紋印引き継いだよな?



え?まさかそれで気配が一緒って言われてんの?

なら最悪の置き土産なんだが。




「ゼノン様まさか闘うおつもりですか!危険です!すぐに逃げましょう!」



フローリアが俺を心配してくれる。

でも自分でもわかっているはずだ。もう逃げ場なんて何処にも無いことを。




「大丈夫だ。時間稼ぎぐらいにはなるかな?まぁ俺はアイツを倒すつもりでいるけど」


「アレは初代魔王とお母さんの2人がかりでも倒せなかった化け物ですよ!?」


「フローリアはここから逃げる事は出来るか?」


「私の話を聞いていますか!?」


「質問に答えてくれ。真面目な話だ」


「……氷を伝って私の村にまではすぐに移動できます」


「そうか。ならすぐに村まで避難してくれ。ここにいると巻き込まれるからな」


「しかし……んっ!」






そこで人差し指を使ってフローリアの口を押さえる。

何やら照れているが今は気にしない。



俺は魔王だ。だから部下を危険な目に合わせるわけにはいかない。





「大丈夫、俺、歴代最強らしいから」




一旦地上にフローリアを降ろす。

できれば逃げる方向に攻撃の余波がいかないようにしないと。





「行け!!」


「っ……! はい、ゼノン様!」





フローリアは氷が溶けるようにその場から消えた。多分氷の中を移動しているのだろう。




さて、俺は目の前の腹減らし鮫を何とかしますか!











……カッコつけたけど何とか出来るビジョンが浮かばねーんだよな。










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