氷の城の秘密
「助けてくださいって……何かあるのか?もしかして、前魔王に何かされたのか!?」
確かにお願いを聞くとは言ったが、流石にどんな状況に立たされているのかを聞いておかないとな。
もっとサラダ見たいな軽い感じのお願いが来ると予想してたけど、天ぷら並みの重い願いが来てしまった…
「いえ、何もされてないですよ?前魔王のゲスカスとはあまり関わっていませんので」
よかった……前魔王に何かされたわけでは……
今、何て言った………?
「ごめん、一瞬だけ耳が100歳ぐらいまで老け込んで聞こえなかったわ。前魔王の名前もう一回教えて?」
「?? 前魔王の名前はゲスカスですが?」
何その漫画見たいな名前!?
ゲスでカスってことだろ!?
俺がこんな名前だったら発狂してたね。
よし、一旦彼女達の話をまとめてみよう。
パンドラ曰く、別にどうでもいい奴。
フィリア曰く、クソ野郎。
ネア曰く、大嫌いな奴。
バルカン曰く、クソカスゲスザコ。
フローリア曰く、関わりない興味ない奴。
それを踏まえて、名前はゲスカス。
うん。これが名は体を表すってことなんだな。
初めてだ。人の名前を聞いてここまでしっくり来たのなんて。
「ごめん、ありがとう。それじゃ話を戻そうか。助けてくれとはどういうことだ?」
「ええ。私達 雪女一族は代々この城を守る役目をしています。」
雪女実在したんだ。すげぇ、生雪女だよ。鬼太郎になった気分だ。
いや、今はふざけてる場合じゃないな。
「城を守る?」
「はい。正確には城の中にある封印を守る役目をしています。」
「封印?それが解かれたらヤバイ感じか?」
「ヤバいどころではありません。激ヤバです。大陸が喰らい尽くされます。」
おい、仲間を探しに来たはずが世界の危機に直面したぞ。俺、危機に巻き込まれすぎじゃない?
「その封印を守るために私はずっとこの場所で見守っていたのです。封印が壊れないだろうと思う時は魔王城の仲間と話をするために出かけていたりしたのですが………」
「ですが………?」
「そろそろ封印が解けそうなんですよね」
「そうか、封印が解けそうなのか……………ヤバいじゃねーか!?」
とんでもない事実をさらっと言うな!!
今の感じは今日の晩ご飯何にするって聞くのと同じ感じだぞ!!
「というわけでゼノン様。封印が解けないように私に協力してください。」
「ならもっと危機感を持てや!!何さっきまでぐーすか寝てんだよ!?」
「ヤケ寝です」
「こんな大事な時に寝るな!!」
まさか出来るお姉さんじゃなくて、のほほん系お姉さんだったとは……
「これでもかなり焦っています」
「ならさっき二度寝しようとするな!!」
おい大丈夫かよ……でも願いを聞くって約束しちゃったからな〜。とりあえずその封印とやらがどんなものかを確認しないとな。
「とりあえずその封印がどんなものかを見せてくれないか?」
「わかりました。こちらへどうぞ。」
フローリアの後ろに着いて行く。彼女が手を振り上げると、部屋の真ん中辺りの天井が円形に開き、氷で出来た螺旋階段が降りてきた。
ちょこちょこ出てくるこの謎の近未来感なんなんだろ?頑張れば俺も魔王城に取り入れられるのかな?
「この階段から、この城の最上階まで上がります。」
「最上階?3階と4階は?」
「外観を綺麗に見せるためのフェイクです。特に何も使っていません。」
ここでも出たよ。魔王城といい、この城といい、いい加減3階4階が可哀想になってきたな……
何なの?作って使わないのが流行りなの?
帰ったら使い道考えよ。
「フローリアは一人でここを守ってきたのか?」
「ええ。代々守ってきましたが、ここ1000年は私が守る番です。1000年ローテーション制です。雪女一族は雪や氷さえあれば寿命気にせず生きられるので」
話の規模がデカすぎて反応できなかったけど、これかなりブラックなんじゃない?
いや、ブラック通り越してベンタブラックなんじゃない?
1000年も守り続けるなんて狂気の沙汰だろ。
フローリアはたまに魔王城に遊びにきてたみたいだけど。
「ていうかフローリアは四魔天なんだよな?」
「はい」
「この土地は誰も入ったことがない未開の土地と聞いてきたんだけど、どうやってフローリアは魔王と知り合ったんだ?」
ここが疑問。前魔王がここにこれるはずはないだろうし、フローリアが進んで前魔王の部下になるとは思わないからな。
「それはですね。雪女一族の先代の族長は初代魔王様の妻の1人だったのですよ。そこから代々魔王様には雪女一族から1人お仕えするのが決まりとなりまして、私はこの封印を守りつつ、部下にもなりました。」
まさかの初代魔王と雪女族長が結婚していた件について。
ライザーよ、そんな大事なことは前に教えといてくれよ……
まぁ、前は急いでいてそんな時間なかったかもしれないけどさ……
じゃあフローリアは封印を守りつつ、魔王に使えるというハードスケジュールをこなしていたわけか。
「大変だったんだな」
「いえ、前魔王に会ったのは1〜2回程度なのでそこまで大変ではありませんよ?基本ここでのんびり封印を守ってましたし」
前言撤回、そんなに大変でもなかった。
でも俺としては誰もこないところでぼーっと待ってることも大変なんだけどな。
「ですが……」
「ん?」
「……もう待っているのが疲れまして……」
「………そうか」
多分こっちが本音だろうな。
さてフローリアの願いを叶えるために封印をどうしようか……
いろいろ話しているうちに、とうとう最上階まで辿り着いた。
殺風景な円形な部屋。その真ん中に石碑のような物がポツンと立っている。これが封印とやらなのか?
「こちらが封印となっています。この封印を媒体として、モンスターはこの城の下に眠っています。」
この石碑で押さえつけている感じか。
ん?なんだ?石碑から感じる気配……何処かで体感したような……
僅かだが黒紋印が反応したような気がする。
その時………
ピシッ
石碑に亀裂が入った。




