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フローリア

……俺の見間違いか?

がっつりだだっ広い部屋の中心で棺桶の中で寝てる女の子がいるんだけど……



マジでなんだアレ?


しかも棺桶の周りに囲んでるアレはなんだ?


リス?小鳥?シカ?アライグマ?猫?犬?


なんで氷で出来た多種多様な動物達が周りを囲んでるわけ?




いやまぁ……綺麗な女の子を動物達が囲む様は確かに美しいけどさ……


これはアレか?

彼女は白雪姫か?小人いないけど白雪姫なのか?


そして確か白雪姫って毒リンゴ食べて眠りにつき、王子様のキスで起きるんだっけ?







ここには特に王子様らしき存在はいない。




えっ、じゃあ俺が王子様かな!?









馬鹿野郎、俺!!そんな邪な考えを持つな!

俺には心に決めた人達がいるだろう!



それにまだこの女性がフローリアと決まったわけじゃないだろう!!



もしキスなんてしてみろ。それで起きたとしても事実を知れば俺は変態クソ下水魔王に成り下がる。



それだけならまだいいさ。家に帰ればきっと死ぬよりも怖い地獄の拷問が待ち構えており、最終的に死ぬよりも辛い結末が待っているだろう。バットエンド一直線だ。



そしてもしかしたら罠かも知れない。事前に俺の存在を察知し、隙を見せたところで首を掻き切られるかもしれん。



だからそう、ここは慎重に様子を見よう。

そう、慎重に慎重に………




と思っていたら俺の存在に気づいたのか、氷で出来た動物達が一斉に俺の方に首を向けた。




すると一斉に俺に向かって走ってきた。





「えっ、怖っ!?何これ!?どうしたの!?」





いきなり俺の元に集合し、俺の服の裾を噛んで棺桶の元に引っ張られる。それはもうすごい力で一直線に。



あれよあれよと俺は棺桶の中の女性の前まで連れてこられた。



とりあえず罠っぽくはないな。もし罠なら連れてくるときに罠の方向へ誘導できるし。



でも気を抜いてはいけない。いきなり俺の周りにいる氷の動物達が後ろから襲いかかってくるかもしれない。


いきなり女性が飛び起きて、ヒャッハーと隠し持ったナイフで突き刺してくるかもしれない。



もしかしたら城がいきなり爆発するかもしれない!




……………まぁ流石に爆発はしないと思うが、教習所で教わる かもしれない運転のようなかもしれない行動を心がけていないとな。だって怪しすぎるし。





しかしまぁ、近くで見るとこの女性も綺麗だよな。

なんなの?魔王城近辺には美人しか住んでないの?




腰あたりまで伸びた青い髪に、大人の女性を想起させるような幼さの抜けた顔立ち。そして真っ青のワンピースのような服を着ている。青づくしだな。




「………………」





動物達がめっちゃ急かしてくる。足をつついたり甘噛みしたり腰にタックルしてきたり……。


いたっ!誰だ今思いっきり突っ込んできたやつ!




「わかったよ……起こせばいいんだろ?」




動物達が一斉に頷く。


……器用だね、君達。




しかしマジでどうやって起こせばいいんだ?頼むからキスだけはやめてくれよ? 俺が殺されちゃうから。




「お〜い、起きろ〜」




とりあえず無難に声をかけながら揺らして起こす作戦だ。 まぁ案の定起きないがな。



もしかして死んでいるとかないよな?



とりあえず覗き込んでみる。

僅かにだが動いているから息はしているようだな。



でもこの体勢どこかで体験したことあるんだよな〜。

確かネアを始めて見つけた時だ。確かあの時は……




すると今まで閉じられていた目が開き、女性が体を起こした。




「ぐっ!?」




俺の顎に頭突きをお見舞いしながら。






またかよ!?ここの住人達は俺の顎に何か恨みでもあんのか!?



顎に頭突き食らうなんて生きていてそうそう経験する機会なんてないぞ!?この世界にきてからもう2発食らってるんだが……


しかもピンポイントにまたいいところに……




今俺の前には上半身を上げ、棺桶から起き上がった女性が一名。その女性がぼーっとしたまま壁の一点を見つめている。



これ起きたんだよな?起きた割にはピクリとも動かないんだが。


何?そっちになんか見えてんの?あなたにしか見えない何かが見えてんの?ていうかなんで急に起きたの?




とりあえず視線の先で手を上下に振ってみる。


………反応がない。




「おーい」と声をかけてみる。


………反応がない。



氷の動物達と触れ合ってみる。


………反応がない。ついでに手を噛まれた。





全然反応してくれないんだけど……


起き上がった瞬間に天寿を全うしたとかじゃないよな?


……もしくは俺がすでに死んでいる?




考えすぎて思考が変になってきたところで女性がゆっくり俺の方を向いた。


今まで動かなかった女性がいきなり動いたことでびっくりしたが、動いてくれたことによって少し安堵もした。




じっくりと俺を観察した後……






「………………おはよう」






何事も無かったかのようにしれっと挨拶してきた。




「おう、おはよう」




俺もツッコむ間も無くしれっと返していた。

我ながら違和感だらけのとんでもないファーストコンタクトだと思う。




すごいな。人は理解しがたい現象を見たとき、思考が放棄されるんだな。「おはよう」の一言で考えていたことが全部吹っ飛んでいったよ。




「………………………」





その間も謎の女性はじっと俺を見つめてくる。

とりあえず疑問に思うことを質問させてもらおう。





「えっと……名前は?」


「………………………」




はい。ガン無視されました。



泣いていいかな?美人にガン無視されるなんて昔の俺なら粉々になって崩れていたね。今でも気を抜いたら危なかったよ。




「………………フローリア」





すると一泊あけて先ほどの返信が返ってきた。



あっ、よかった。無視されたわけじゃなかったのね。





……っていうか今フローリアった言った!?






「君がフローリアか!?」


「…………はい」


「よかった!探していたんだ!俺は今の魔王のゼノンだ。よろしく。」


「……魔王。………よろしく。」







ようやくフローリアとのファーストコンタクトが出来たな。いや〜、マジで見つかってよかった……!





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