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出発の前に

お待たせしました笑

「やばい……まだ足がじんじんする……」


俺は現在自分の部屋で一人なので、ポツリと呟いた。



あの後ドラグノフさんと一緒にこってりしぼられた。それはもう説教が終わった後、里の男達が同情してくれるぐらいにはしぼられた。


俺はそのままバルカンにひきづられる形で里を後にした。ドラグノフさんは以前から余罪があったらしく、引き続き説教が続くそうだ。ご愁傷様です。


魔王城に帰り俺もこれで解放されると思っていたところ、バルカンが残りの3人に報告したことによってこちらも第2ラウンドが始まってしまった。絶望である。


「ゼノン様?まさかもうこの短期間で浮気をするとは思いませんでしたよ?」


「いや浮気してないって!?ていうか女性なんてまだお前らしか会ったことないから!?何処に誰がいるかなんて知らないから!?」


「ゼノン様白状した方が楽っすよ?」


「白状っていうか事実だから!?」



本当に手強かった……。何を言っても聞く耳を持ってもらえないことがこんなにも辛いとは思わなかった。


軽く3時間ほど説教を受けたところで何とか誤解だということが伝わり、俺は無罪放免となった。軽く3時間って…俺の中の軽くのイメージが崩壊しそうだよ。


そして解放された現在……俺は一人ベットに寝転がって足の痺れを治している途中だ。

別に怪我をしたわけではないから自己再生スキルが機能しないので自然回復を待つ。


「それにしても……噂だったからよかったけど、これ有罪だったらどうなってたんだろう?」



無罪の罪で灼夏の火山で1時間、魔王城で3時間正座をしたわけだが、これが有罪となると……


「……俺、死ぬんじゃねえかな?」


どうしよう、ボコボコにされる未来しか見えない。

そして刃物で襲われる未来が鮮明に見える。


まぁ、俺が有罪になりそうなことをしなければいいだけだし?俺、彼女たちを愛してるし?大丈夫かな!

マジで大丈夫だよね?前に見た夢でなんかまだ増えそうな気配があったけど本当に大丈夫だよね?


信じてるぞ俺!!頑張れ未来の俺!!


「さて、未来のことを考えたら急激に自分が殺されないか不安になって来たが、とりあえず今は明日の極冬の冷地探索のためにゆっくり休んでおくか」



足の痺れも治ってきたところでもう疲れたので寝ようと思う。

みんなまだ何処かに行ったっきり帰ってきてないが、本気で殺しにかかる親バカから逃げるリアル鬼ごっこがしんどすぎて本気でもう眠たいんだ。


というわけで先に寝させていただきます。皆さんおやすみなさい。……zzz













「……ゼノン様、やっと寝たっすよ?」


「ええ。では作戦を開始します。みんな明日までには間に合うように頑張るのですよ!」


「「「「おおー!」」」」







ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー








皆さん、おはようございます。

今日はとてもいい天気で、絶好の氷土探索日和です。

誰もが行けないという未開の地に足を踏み入れるということで、ワクワクする反面 謎の恐怖が俺を襲ってきます。


「しっかり寝て体力を回復できたから、よっぽどのことがない限り死なないと思うんだけどな」



でもあの炎竜王ですらヤバいという土地だからな。

急に不安になってきたぞ……


「あのっ……ゼノン様!!」


「ん?」



振り返ると全員が揃っていた。

なんだ?今日何かあったっけ?


「ゼノン様が極冬の冷地に行くとおっしゃられたので、『お守り』を作ってまいりました」


「お守り?」


全員の手にはそれぞれのお守りが握られている。

それを一人ずつ手渡してきた。


「私達はついていくことが出来ませんので、代わりにコレを私達だと思って肌身離さず持っていて下さい」


「昨日の夜〜〜、頑張って作ったんだよ〜〜?」



昨日の夜……、あぁ、だから部屋に誰も居なかったのか。


「私達も私達なりに頑張って作ったっす!」


「まぁ、死なれても困るしな……」



パンドラとフィリアは綺麗なお守りの形をしているが、ネアとバルカンは少し歪になっている。

しかし俺のために慣れない作業で頑張って作ってくれたんだなという気持ちが伝わってくる。


みんなそれぞれの良さがこのお守りには詰まっているよ。

ていうか、お守りの文化あったんだな。



「ありがとう、みんな。その気持ちがとても嬉しいよ。」


そう言ってお守りをポケットの中に仕舞う。そしてドラグノフさんから貰った装備をディメンションから出した時に事件は起きた。


「アレ?ゼノン様、その装備一体どこから取り出されたのですか?」


「ああ、コレは俺のスキルのディメンションの中からだ。ディメンションは色々収納出来るから……」



全てを言い切る前に気づいた。気づいてしまった。

パンドラの目が一瞬にして死んだことを。

そして昔、マジックカバンで収納するのが私の役目ですと高らかに宣言していたことを。



「そうですか……、ゼノン様は収納する術を持っていたのですね……。私の存在は狩場にいらなかったのですね…、足手まといでしたって訳ですか……ははっ」



廊下の隅っこでいじけてしまった。

ヤバい、どうしよう。まさか出発前にパンドラの心を壊してしまうとは思わなかった。


そうだよな……ディメンションイーター倒してこのスキルを得た時、報告しようとしたら一瞬で顔が死んでたもんな。そのあとあからさまに安堵のため息ついたもんな。これは俺の気遣い不足だな。


なんとかしていつも通りのパンドラに戻ってもらわなければ……!



「そんなことないぞ?パンドラのカバンにはいつも助けられていたし」


「カバンが便利でも作り手がお荷物ですからね……カバンを持つことしかできないゴミですよ……ははっ」



想像以上に心が病んでるぞ。これ何言っても逆効果じゃねぇか?



とりあえず一旦全員集合。


「どうしようこれ?」

「パンドラ〜〜、落ち込んでる〜〜」

「これ、ゼノン様しか立ち直らせられないっよ?」

「お前が巻いた種だ。お前がなんとかしろよ」



やっぱり俺がなんとかしなきゃならないか〜。

でも何を言えば病み病みパンドラを元気にさせられるだろうか?

まぁ、当たって砕けろだ。



「なぁ、パンドラ?」


「どうしましたゼノン様?このゴミカスに何かご用ですか?」


「いや、お礼を言おうと思ってな。パンドラのカバンは勿論、パンドラ自身にも礼を言っておかなければならない。カバンには何回助けられたかもわからない。上限を気にすることなく収納出来るというのはとんでもないことだと思う。このカバンを作った製作者はさぞかし腕がいいのだろう。」



ピクピク耳が動き出した。これはちゃんと聞いているという証拠だと最近気づいて来た。

もう一足ってところかな?



「それにパンドラが旅にいてくれることによって俺はいつも実力以上の力を発揮できる。守るべき存在がいる男ってのは強いんだよ。大切な彼女を危険に晒すわけにはいかないからな。」


「大切な……彼女ですか?」



食いついた!頑張れ俺!後一足!



「ああ、俺の大切な彼女だ。そうだ!もしよかったら帰ってきた時、また俺とデートしてくれないか?やっぱり俺には支えてくれる人が側にいないとダメみたいだからな。」


「しょうがないですね!私がこれからもゼノン様の側で支えていきますよ!デートの件、喜んで承ります!!」



よかった。無事復活したようだ。さっきまではどんよりとしたオーラが見えたが、今はホワホワしたオーラが見える。



「パンドラばっかりずるい〜〜…」

「そうっすね…」

「これはアタシらも約束してもらわないとな」


逆に3人組がいじけそうになったのでそちらともデートの約束をこぎつけたよ。乙女心って難しいよね。



「さて、大分話が逸れてしまったが、そろそろフローリア探しのために極冬の冷地に行ってくるよ」


「お気をつけくださいね?極冬の冷地へは誰も入ったことがありません。死なないで帰ってきてくださいね?」


「ゼノン様〜〜、死なないでね〜〜」


「頑張ってくださいっす!ゼノン様!!」


「信じて待ってるから、早く帰ってこいよな……」


「ああ、ありがとう。死なずにまたみんなの前に帰ってくることを約束しよう。」



この笑顔を見たら意地でも生きて帰ってやろうという気か湧いてくる。今なら極寒だろうが未開の地だろうが負ける気がしないね。


そして俺は極冬の冷地に繋がる扉を開け、情報が全くない大地に足を踏み入れた。





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― 新着の感想 ―
[一言] >信じてるぞ俺!!頑張れ未来の俺!! あと何話で裏切られるのか楽しみです
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