VS ??
バトル始まります!
呪いに触れると、呪いが空中の一点に集中していく。
次第に呪いは形作っていき、人のような姿になった。身長は俺と同じくらいだが、つま先から頭身まで全てが闇でできているため表情も模様も何もない。全身が真っ黒だ。
[太古の呪い]
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鑑定を発動させても情報が全く読み取れない。こんな事は初めてだ。本当に前魔王よ……余計なことをしてくれやがって…
得体が知れないが、これを倒さなければハッピーエンドは迎えられないからな。
俺と呪いとの距離は約5メートル。これぐらいなら一歩で行けそうだ。
俺は両足に力を込め、一気に呪いに肉薄する。その勢いを殺すことなく強烈な一撃を見舞う。そしてその一撃の衝撃波で土埃が舞う。
土埃が晴れた時 俺の目に映ったのは、片手で軽々と俺の拳を受け止めている呪いだった。
呪いも捕まえた俺に向かって拳を振るってきたが、俺も負けじと拳を片手で受け止める。
重っ!!慣れない事はしないでおこう……カッコつけてたらこっちがやられてしまう。
一度距離を取り、全く隙を見せない相手をどう倒そうか考えようとしたところ、目の前から呪いが消えた。
すると左腕に衝撃が走り、気づけば遠方の壁に叩きつけられていた。
「ゼノン!!??」
バルカンの声が聞こえだが、俺は事実確認に必死だった。
( 速い!?反応しきれなかった!)
俺が先程までいた場所に目を向けると、蹴りを放ったような態勢のまま鎮座する呪いがそこにいた。
(まさか一瞬で移動して俺を蹴り飛ばしたのか!! ははっ……忘れてたよ……あいつは炎竜王と同じくらいの強さだってことを……!)
改めて震撼させられる。進化して強くなったと自惚れていたが、世界にはもっと上には上がいる。考えを改めなければ簡単に殺される、と。
さっきは呆気にとられて反応しきれなかったが、速さ的には俺と同じくらいだろう。だからこそあいつから目を離せば避ける事は難しくなるだろう。
じゃあ、どうやって倒すか………
答えは先手必勝! 相手に攻撃の隙を与えない!!
俺は黒紋印を剣に変え、そのまま跳躍。短時間なら少しは飛べるのでそのまま呪いに向かって剣を振る。すると剣からは三日月に黒色が混じったような斬撃が飛ぶ。
黒紋印 + 風刃
『黒閃・乱舞』
斬撃が雨のように呪いに降り注ぐ。
一振りするごとにMPが減っていくが【魔力回復】のお陰ですぐに回復する。本当にこのスキルを覚えていてよかった。
呪いに向かって縦横無尽の斬撃が飛んでいくが、見切っているようにことごとく交わしていく。だが俺の目的は当てることではない。
呪いはそのまま後ろに避けていくが急遽逃げ道が塞がれていることに気づいた。そう、斬撃を飛ばしていた目的は当てるではなく誘導だ。壁まで追い詰め逃げ道を塞ぐ。
俺は剣を振りながら左手に槍を創造する。黒紋印は一度に2つまで武器に姿を変えられるが、その代わりに2つ出している状態では1つ出している状態に比べて強度は落ちる。
だが今は強度を気にしている場合ではない。そろそろ飛べなくなるし、確実に一撃を与えていかなければならない。
『黒槍・影撃』
左に持った槍を全力で投擲する。だがこれは避けられるだろう。そして左右は斬撃が飛び交っているから避けるためにこいつは前に飛び出してくるはずだ。
予想通り呪いは前に飛び出してくる。
よし、ビンゴだ!
俺は黒紋印を全て解除し俺の右腕に纏わせる。そして急降下して呪いに近づいていく。
あいつは今前に飛び出してきている。俺自身も近づく。そしてあいつと俺の速さは同じぐらい。
先程俺が避けられなかったように、あいつも俺のスピードの載った攻撃はこの状況も相まって避けられるはずがないだろう!
『黒旋風』
ドオォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!
俺の渾身の一撃が呪いの腹部に炸裂する。そのまま吹き飛んでいき、壁に衝突する。
「やった!!勝ったぞお袋!!」
バルカンが遠くで喜んでいる。俺もこれで勝ってくれたらな〜と思うけど、なんかフラグっぽく聞こえる…
そして何よりもまだ炎竜王の呪いが解けた気配がしない。
ボトッ……
気づけば俺の左腕が落ちていた。
「ガっ…!ぐうぅぅ………」
「ゼノン!!??」
全く見えなかった……!?俺は一体何をされた!?
吹き出してくる血を抑えながら俺は呪いが吹き飛ばされた方向に目を向ける。
そこで俺は目を見開いた。
煙が晴れて現れたのは悪魔のような姿になった呪いそのものだった。
背中からは翼、頭からは角が生えている。体格も一回り大きくなり腕が4本になっている。そしてその腕全てに禍々しい剣が握られている。
まさか………進化したのか…!?
俺が剣を使った戦い方をしたからそれに合わせるために!?
すると突然呪いの顔に1つの目と大きな口が出現し、高らかに咆哮した。
入り口で感じた殺気がまるで赤子のようだ。全身に剣を突きつけられているような、体に纏わり付くような殺気に吐き気がする。
ひとまず俺は切られた左腕を引っ付けて再生させる。本当に自己再生があってよかったと思う。
左腕を失ったままだと まず勝てないからな。
勝つビジョンが思い浮かばないが、ひとまずここを踏ん張らなければならない。
さぁ、第2ラウンドスタートだ。
異形の姿になった呪いは、壁を踏み砕き俺に向かって剣を振り下ろしてきた。
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