バルカン
お待ちかねの登場です
目の前から現れた女性はスタイルが良く、とても女性らしい。身長は170センチはあるだろうか。長い赤髪を垂らし顔立ちは整っているが、つり目がちなため気がきつそうに見える。
そして立っている位置は俺の真正面にいるわけで……
がっつり全身見てしまった。
なかなか大きな胸してるな……じゃなく!?
俺は瞬時に顔を背ける。
「なんだよ、うぶな野郎だな」
「男は誰だってそうなんだよ!!お前がもっと羞恥心持てや!!」
「んだと、テメェ!!」
謎の女は全裸のまま突っかかってくる。
やめろ!!そのままこっちに来るんじゃない!!
それにこんな場所に1人でいるんだ。相当の手練れだろう。だが俺はもうこの人物の名前に目星がついているんだ……
当たって欲しいようなそうじゃないような……複雑な気分だが聞いてみるか。
「なぁ……もしかして『バルカン』って名前じゃないよな?」
「あ? なんでアタシの名前知ってんだよ?」
ビンゴだったよ。
なるほど……やっと会えたな…
まさかこんな形で会うことになるとは思わなかった。
パンドラがゴリラゴリラ言ってたから勝手にムキムキなのかなと思ってたが全然違った。どちらかというと引き締まっており、しなやかだ。
まぁ、確かに喧嘩っぱやそうだが、別にそれが脳筋とは……
「それよりもお前強いだろ? アタシと勝負しようぜ!!」
前言撤回。脳筋だわ。
普通初対面の相手にいきなり勝負を申し込むか?
と思ったら返事を返す暇もなく俺に飛びかかってきた。…………全裸のままで。
「まずは服を着ろよ!?」
「服着る時間がもったいねーだろ!!」
やっぱりヤバい奴だわ!?早くも探していたことを後悔し始めているよ!!
目にも留まらぬ速さで猛攻撃を仕掛けてくる。しかし俺も仮にも魔王だ。部下に簡単に負けるような男ではない。自分に当たらないように的確に弾いたり避けたりする。
弾いた拳が岩に当たると、粉々に砕け散る。相当な威力だな。当たったら痛そうだ。
「なかなかやるな!なら、これならどうだ!!」
すると、バルカンの背中から真っ赤な翼と竜のような尻尾が生えた。
「どうだ!アタシは竜人族、人の力に竜の力と速さが加わるんだ!そう簡単に防げないぞ!!」
そう言ってこちらに向かって上空から突っ込んでくる。そして、その速さは先ほどの比ではない。
普通の人なら避けられないだろう。
そう、普通の人ならな。
スピードが上がった猛攻も俺は先ほど通りいなしていく。さっきの上から降ってきた細かい溶岩の雨を躱すよりも大分楽だ。
前までの俺なら無理だっただろうが、進化してステータスが上がったおかげで今の動きを可能にしている。
進化は俺の可能性をかなり広げてくれていたようだ。
「くそっ、なぜ当たらない!?」
バルカンは悔しがっているがそろそろ終わらせなければならない。今の俺達は全裸で戦っている危ない2人組だからな。俺も我慢の限界だ。主に下半身が……
俺は黒紋印を発動し、盾を形作る。そして盾で攻撃を弾き、怯んだ隙に拳モードに変更。そしてそのまま一発お見舞いする。
「『黒旋風』!」
「ぐあぁぁぁ!?」
そのままバルカンは吹き飛んでいき、湯船に落ちた。
やりすぎたかな?体に当てないように衝撃波を放ったんだが……
するとザバァッと湯船の中から立ち上がって俺の方まで歩いてきた。まだ戦うのか?と思ったが、その考えは杞憂だったようだ。
「アタシが負けちまったぜ!負けるなんて久しぶりだ!お前気に入ったぜ!!」
どうやら気に入られたようだ。本能に忠実というか何というか……
「そういえば名前を聞いていなかったな。アタシはバルカン。お前は?」
「あぁ、俺はゼノンだ。改めてよろしく」
そう言って俺は手を出す。
「おう!」
バルカンはちゃんと握り返してくれた。確かに誤解されそうな性格をしているが、そこまで悪い奴じゃなさそうだ。これは一回帰ってみんなで話し合わないとな。
するとバルカンが覚悟を決めたかのように俺の両肩を掴み、真剣な面持ちで話し始めた。
「そんな強いあんたに頼みがある!頼む!!アタシの家族を助けてくれ!!」
……おっと、いきなり物騒になってきたぞ?
何か訳ありのようだ。
「…何があったのかはわからんがまずは話を聞こう」
「おぉ、ありがとう!ゼノンとアタシが手を組めば百人力だぜ!!」
「とりあえずお互い服を着ようぜ?」
そう、まだ風呂の中だから全裸なんだよ。俺は腰にタオル巻いてるがバルカン普通に全裸だからね?俺の理性が焼き切れそうなんだよ。
お互いに服を着て、近くにあった岩に腰掛けながら なぜそういった経緯になったのかを聞くことにした。
……そういえば、俺が新しい魔王だって名乗り忘れたな。いつ名乗り出ようか?
面白ければブクマ、評価お願いします!!




