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灼夏の火山

しかしさっきからパンドラがずっと畑にいるので、製作作業がどこまで進んでいるのか気になった。



「それよりも耐熱装備は作れたのか?」


「作れましたよ」



そうか。作れたのか。……………作れた!?



まさかの回答に仰天した。




「もう作れたのか!?」


「はい………というか、灼夏の火山に行くための素材は少しあったので前からちょっとずつ作ってました。

そして今回で素材が揃ったので、その素材を加えて完成しました」



前から素材があったって………たしかに言ってたな。


俺が魔王になってすぐの時だ。

その時にバルカンと仲が悪いことを知ったんだよな…



相変わらずの仕事の速さにいつも驚かされっぱなしだ。



「ところで、ネアはどうした?」


「仕事がもう終わったので、今はそこら辺を走り回っていますよ」



パンドラは草原の奥の方を指差した。

そこにはうっすらと走り回っているであろうネアの姿が視認できる。


聞こえるかわからないが、ここから呼んでみることにした。



「ネアーー、戻ってこーい!」



すると土煙を立てながら凄い勢いでネアが走って近づいてくる。



よく聞こえたな、この距離で……



1分もしないうちにネアが目の前までやってきた。



「およびっすか!ゼノン様!」



相変わらず元気である。



「あぁ、俺達の作業も終わったし、今から装備を見せてもらって、灼夏の火山に足を踏みいれようかなと」


「いいっすね、それ!」



そう、俺は早くバルカンに会ってみたいのだ。

装備が出来たというのなら少しでも早く現地に赴いてみたい。


俺達は全員でパンドラの工房に移動した。








「こちらが完成品となります」



パンドラが手に取ったそれは、ファーがついた赤色のマントのようなものだった。



「こちらのマントには強度な耐熱耐性が付与されています。こちらを羽織ることで全身に付与され、熱さを軽減してくれる仕組みとなっています」




一瞬マントだけで大丈夫か? と思ったが、どうやら大丈夫らしい。


1枚ずつ全員の手に渡ったところで、北側に位置する魔法の扉まで移動していった。



魔法の扉の前に到着した時、パンドラが神妙な面持ちで全員に注意喚起した。



「フィリアとネアはわかっていると思いますが、最新の注意を払っていきましょう。遊び半分では丸焼きになりますので……」



フィリアとネアも緊張で顔が強張っている。


確かに灼夏の火山は溶岩が噴出して、気温1000℃になる場所もあると初めに説明を受けたから俺にも多少の恐怖心はある。


しかしここで進まなければバルカンにも会えないし、未知なる食材を食べて強くなることもできない。


俺は覚悟を決めて扉を開けることにした。



「……開けるぞ」


「「「はい!」」」



俺は一息に扉を開けた。



そこで見たものは、見渡す限り赤い線が入った山。

地面からは溶岩が溢れ出ており、溶岩が固まったのか黒い岩や地面が隣接としている。


そして何よりも、とてつもない熱気。


まるで石焼釜の中にでもいるかのような熱風が俺達を襲う。




「………一旦閉めようか…」


「「「はい…」」」



再び魔王城に戻ってきた。



いや、あれは無理だと思う。

考えてみてほしい。人間が装備1枚で溶岩が吹き出している横を歩くんだ。普通に死ぬと思う。



「私〜〜、ギブ〜〜〜〜…」



フィリアが死にかけの表情で伝えてくる。

フィリアはドライアドだから相性は最悪だっただろう。よく頑張って耐えたと思うよ。



「熱すぎっす…」



元気なネアも今だけはくたびれている。




「装備は完璧なのに熱いです……」




パンドラも汗が服に張り付いている。エロい。




しかし確かに熱かったな…

あの熱さはみんなにはキツイだろう。

今回は俺1人で向かった方がよさそうだ。




「ありがとうな。今回は俺1人で探しに行くよ」


「なりませんゼノン様!万が一の事態が起きたら…」


「大丈夫だ。そうはならないし、熱さ的についてくるのは厳しいだろ?」


「うっ……」




心配してくれるのはありがたいが、熱さで周りの確認が疎かになりそうだからな。


それに、俺に関しては熱さに対して少しアテがある。




「パンドラ、マグマラットの肉は残っているか?」


「えぇ、残っていますが……」


「肉なんて何に使うんすか?」



気になってネアも聞いてきた。



「食べるんだよ」


「「???」」



ネアとフィリアは不思議そうな顔をした。

そういえば2人には説明してなかったな。



「俺は食べたもののスキルを習得できるんだよ」


「さすがゼノン様〜〜、すご〜〜〜〜い♪♪」


「マジパネェっす!!」




純粋に褒めてくれるって嬉しいな。

だから期待に応えて、俺の予想通りのスキルを手に入れることが出来ればいいんだが……



パンドラからマグマラットの肉を受け取り、厨房にやってきた。食べるなら美味しく食べたいしな。


マグマラットの肉を焼いて、塩をかければステーキの完成だ。



出来立てを一口。…………めっちゃ美味いな。

塩と肉の味だけかと思ったが、素材自体にピリっとした辛さがある。なかなか香ばしい。



おっ、スキルを覚えたな。頼むから来てくれよ……




[耐熱耐性]

熱さに対して耐性がつく。




そこには俺の予想通りのスキルの名前があった。



よしっ!やっぱりだ。熱に強い装備が作れるなら、そいつ自身にもそれっぽいスキルを持ってるはずだと思ったんだ。



残りの肉はみんなで食べようと思う。

みんな美味しそうに食べてくれてよかった。




これで準備は整った。俺達はまた灼夏の火山に行くために、扉の前まできた。



扉に手をかけたところでパンドラが話しかけてきた。




「私達は行くことが出来ませんが………どうか無事にお帰りください……最悪あのゴリラはほっといても大丈夫ですので……」


「ごめんね〜〜、ゼノン様〜〜〜〜。早く帰ってきてね〜〜〜〜」


「申し訳ないっす……でも元気に待ってるので無事に帰ってきてほしいっす!!」





それぞれから言葉をもらった。

ここまで言われたら怪我なく無事に帰らないといけないな。



俺は全員の頭を撫でてから3人に向けて言葉をかけた。




「ありがとう。それじゃあ行ってくるよ」




そう言って俺は全てを燃やし尽くす灼熱の大地に足を踏み入れた。




面白ければ、ブクマ、評価お願いします笑笑

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