side ネア
私は生まれながらに不完全な存在だった。
私は猛禽族という背中から翼が生えた種族の生まれだが、私にだけ翼が生えていなかった。
翼が生えているはずの種族なのに翼が生えていない。
たったそれだけの違いだけで、私は一族から忌み嫌われていた。
子供の頃は本当に地獄だったと思う。
ただ翼が無いというだけで友達は出来ず、誰もが近づかない存在。
イジメられたり遠巻きから石を投げられたりもした。
家に帰れば実の親からもバカにされ、ろくにご飯も貰えないから外でいろんな食べ物を集めて食べて飢えをしのいでいた。
ただただ悔しかった……
何故自分にだけ翼が無いのか。
何故私だけこんな思いをしなければならないのか。
考えれば考えるほど涙が溢れてくる。
そんな時、私はやっぱり他人とは違うと気づいた。
猛禽族は生まれつき他人のオーラ的なものが見え、私は人よりそのオーラを見ることに優れていた。
私の目はオーラだけで相手の強さなどを計ることができた。さらに、相手の感情などを読み取ることができる。
さらに私は生まれつき他人より腕力が強く、お腹が空いた時に狩りをしたりしていたから接近戦では負けないレベルに達していた。
そのことを知った村の住人や家族達は、こぞって態度を改めた。手のひら返しというやつだ。
今まで私を無視したりイジメていた奴らが私にペコペコ頭を下げてくる。それがまた気持ち悪くて仕方がない。
しかも私の目は相手の感情などを読み取れるから、全てが口先だけのことだというのもわかってしまう。
私の目から見ると、村人全員のオーラが真っ黒に染まって見える。
黒は悪意の塊なのだ。私を殺しにかかる野生の魔物と同じ色をしている。
そんな真っ黒な色を前面に押し出し、嘘の言葉を投げかけてくる人々を誰が信じようと思うだろうか。
そんな時に魔王と名乗る男が村にやってきた。
魔王と名乗る男は私を勧誘してきた。
しかし、魔王の仲間になったとしても私は幸せになれないだろう。
だって魔王も真っ黒なのだから。
だが私はこの話を受けることにした。
何故ならこのまま村に残ったとしても幸せではないから、少しでも環境を変化したかった。
もしかしたら、私を認めてくれる存在がいるかもしれない…
そのような存在を探すために、私は村を出て魔王について行くことにした。
結果から言えば、私を認めてくれる存在はいた。
私は戦闘力の高さから四魔天と呼ばれるようになったが、同じ四魔天達は私を受け入れてくれた。
しかしやはり魔王は私を受け入れてくれないようだ。
自分は何もしない癖に偉そうに上からものを言い、気に食わなければ暴力を振るう。まるで子供のような男だ。
次第に嫌気がさし、私が管轄されている森に隠れるようになった。
誰にだって我慢の限界はあると思う。
そして予想通り、部下を使って引きずり戻そうとしてくる。
私はそいつらを軽くあしらって森で生活するようになった。
何日も何日もあしらって生活していると、急に魔王の使いが来なくなった。
ついに諦めたか……と思い、私は森の中で100年ほど自由にすごしていたが、ある日突如として強い魔物が現れた。
そして運悪く襲われてしまい、魔王城の近辺にまで近づいたとき、気づいてしまった。
魔王城から魔王の気配がしないではないか。
この出来事が、これからの私の運命を大きく変えた。
もし魔王城から気配がしないと気づかなければ、私は二度と魔王城には戻ってなかっただろう。
まさか久し振りに戻った魔王城で運命の出会いをするとは思わなかった。
初めて会ったその人はとても不思議な存在だと思った。
今まで出会った誰よりも強いオーラを放っているのに誰よりも白い、優しいオーラを出している。
私の知ってる魔王は自分の力をひけらかすような人物だった。
だからこそ、今目の前にいる男がまさか魔王なんて微塵にも思わなかった。
そこからは驚きの連続だ。
私が手も足も出なかった魔物を既に倒しており、その実績をひけらかすこともしない。
そして何より私の事情を知っているにもかかわらず、私を軽蔑したり罵ったりしない。それが何よりも嬉しかった…
そして……
「自分に自信を持て。お前は凄いんだ。どんな逆境をも乗り越え、今この場に立っている自分自身を誇りに思え。これは今までお前が頑張ってきた結果だ。」
私の人生を認めてくれたことが何よりも嬉しかった…
私はこの人に会うために今まで不幸だったんだと思えるぐらいに……
だからこそ、この人の役に立ちたいと心から思う。
そのために今まで頑張ってきたんだ。
ここでその力を使わなければ一体いつ使うんだ。
愛想をつかされないように全力で頑張ろう。
今までの空いた時間分、目一杯甘えよう。
私は狙ったら逃がさないっすよ?
さて、明日からスキンシップをたくさんとってゼノン様にアピールしていくっす!!
そうして明るい明日はやってくる……
面白ければよろしくお願いします!




