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ネア 2

続きます

前魔王より強いって……えぇ……

俺、飯食ってばっかりなだけだったんだけどな…



もう前魔王よりも強くなっていたという事実に驚愕して、俺は脳がフリーズしていた。


しかし、そんな俺をお構いなしにネアはパンドラやフィリアにぐいぐい話しかけていた。



「パンドラとフィリアはいつからゼノン様に仕えているっすか?」


「ふふん!私はゼノン様が魔王に御就任なされた瞬間からです!!」


「私は〜〜、最近〜〜助けてもらったの〜〜〜〜」





女子が3人集まれば姦しいというが、それは本当だと思う。


あまりに楽しそうに話す3人の喧騒を聞き、俺は我に返った。



気づけば女の子達が楽しそうに話しているではないか。やはり昔からの知り合いだからか仲はいいんだな、少し安心したよ。



「それであのゴリラが、………」


「ゴリラがね〜〜、……」


「そうっすね、あのバル……ゴリラが、……」




聞こえてくる単語がゴリラばかりだ。



いや違うな、多分あれ悪口大会が始まってるな。

やめてやれよ……どんだけバルカンに恨み持ってんだよ……


改めてマグマラット探して、早くバルカンに会いに行かなくてはと思う。ていうか早く会いたい。


そんなことを思ってるとネアが俺に話を振ってきた。



「あの、ゼノン様……」



待ってくれ!?俺をその悪口大会に巻き込まないでくれ!



「お願いがあるんすけど……」



あっ、悪口大会のお誘いじゃなかったわ。よかった…



早とちりせず、そのお願いを聞いてみることにした。




「私は秋景の森を任せられてるっすけど、そこにとんでもなく強い魔物が出たっす。」


「とんでもなく強い魔物?」



まだそんな奴がいるのか。さっき倒したエンペラーローチもなかなか強かったがな。


でもそいつを倒せば俺がもっと強くなれそうだ。

気になるので聞いてみた。



「どんな奴なんだ?」


「そいつは『エンペラーローチ』って言うんすけど、とにかく早くて、攻撃力も高いんす! しかも攻撃しても、傷口が回復するっす!」




と、今思い出したばかりの単語が飛び出した。



あれ〜〜?そいつ知ってるぞ?

さっき倒したばかりだな。

やっぱりあいつとんでもなく強かったんだな。



とりあえず倒したからもう大丈夫と言うことを伝えないといけない。


そう思って伝えようとしたところ、またしてもパンドラが先に話し出した。




「『エンペラーローチ』という名前なら先程見ましたよ?カバンの中に仕舞われていると思います……まさか!いつの間にか倒してしまわれたのですか!?」


「マジっすかゼノン様!? パンドラ確認させてくださいっす!!」


「任せてください!!」



そう言ってパンドラはカバンからエンペラーローチを取り出した。


急いで「見るな!」と言いたかったがもう遅い…


エンペラーローチの全貌を見たパンドラは発狂しながら泡を吹いて気絶した。




「エンペラーローチっす!!まさかもう倒してしまわれているなんて……ゼノン様強すぎ凄すぎっす!!」


「さすが〜〜、ゼノン様〜〜〜〜♪♪」




気絶したパンドラに何のツッコミを入れることなく、ネアとフィリアは俺に話しかけてくる。

パンドラの虫嫌いは周知の事実なのかな?


っていうか、ネアとフィリアはエンペラーローチを見ても怖がるそぶりを見せないな。



「お前らはこれが気持ち悪くないのか?」


「え?何でっすか? 虫嫌いなのはパンドラぐらいっすよ。虫は美味しいっすよ?」



虫を食うのかよ……

まぁ、鳥はよく虫食べるけどさ……




「外で寝てたら〜〜、虫なんていっぱいいるよ〜〜」



虫を嫌ってない女の子なんてなんかすごいな。

今どき男の子でも虫嫌いなのに……



そんなことを思ってると、ネアがはしゃぎながら話しかけてきた。



「こんなに強くて頼り甲斐のある魔王様は聞いたことないっす!!ぜひ私も側に居させてくださいっす!」


「ああ、もちろん。っていうか初めからそのつもりだったしな。」


「やったっすーーー!!」



そう言って飛び上がりながら喜んでいた。

しかしすぐに表情が暗くなった。



「でも……なんか申し訳ないっす……」


「ん?何がだ?」


「私は猛禽族だけど羽がないから飛べないっす…… もっと有能な人材がいるんじゃないかって……」



その時朝にパンドラが言っていたことを思い出した。

多分いろいろ辛い思いがあったんだろうな。


だから安心してもらえるよう言葉をかけた。




「羽が無いからなんだ。羽が無かったら部下にしちゃいけないのか?」


「えっ…」


「昔に何か言われたのかもしれんが、俺はそんなの気にしない。俺が見ているのは今俺の目の前にいる明るくて無邪気なネアだ。」


「目の前にいる…私」



俺が伝えられることなんてたかが知れてるがそれでも言わずにはいられない。



「それにパンドラから聞いたぞ?接近戦ではすごく強いらしいな。頑張って強くなったんだろう?何もしてない奴が強くなるわけないしな。」



俺みたいな例外もいるが……



「だから何も心配しなくていい。羽が無いからって差別もしない。努力を知っている子にそんなことを言うはずもない。」


「……っ」


「だから俺から言えることは……」



そう言って次の言葉を紡いだ。




「自分に自信を持て。お前は凄いんだ。どんな逆境をも乗り越え、今この場に立っている自分自身を誇りに思え。これは今までお前が頑張ってきた結果だ。」




そして俺は手を前に出し……



「だから、これから一緒に頑張っていこう。不甲斐ない魔王かもしれないが支えてくれると助かる。」



笑顔でそう伝えた。

ネアはじっくりと俺の手を凝視してから手を取った。



「はいっす!!このネア、この命ゼノン様のために使うっす!!ですので、よろしくお願いしますっす!」



ネアはそのまま手を離して抱きついてきた。



「む〜〜、ゼノン様の天然たらし〜〜〜〜」



何故かフィリアに睨まれているが今はよしとしよう。



とにかく第2の四魔天、ネアが仲間になった。




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜




ネアといろいろ話していたらいつの間にか夜になっていた。



「さて、もう夜だし明日に備えて寝るか。」


「「おお〜〜!」」


パンドラは未だに気絶している。

本当にどれだけ虫嫌いなんだよ……



とりあえずパンドラを背負ってネアとフィリアとともに自室に帰ってきた。



「あれ?パンドラとフィリアはなんでゼノン様の部屋に入るっすか?」


「ゼノン様の部屋は〜〜、私達の部屋なの〜〜〜〜」



お前のものは俺のもの感がすごいな……

気づいたら自室が改造されてただけなんだが……



「じゃあ、私の部屋でもあるっすね!!」



と、またわけのわからんことを言い出した。



「ちょっと待て…お前はそれでいいのか!?」


「えっ……ゼノン様は嫌っすか?」



と、この世の終わりのような顔をした。



そんな顔されたら断れないじゃないか!

まぁ、2人も3人もあんまり変わらないか……

なんかそういってだんだん増えてくるな……



「……いいぞ」


「ありがとうっす!じゃあ荷物取ってくるっす!!」



そう言って急いで自分の部屋から荷物を持ってきた。


なんか音がするなと思ったら、クローゼットを担ぎながら運んできた。



マジか…クローゼット担いでくるとかどんな力してんだよ。俺もできるかな?


ってか、ガッツリ俺の部屋で生活する気満々じゃん!



俺の部屋を少し模様替えした後、やっと寝ることになった。俺の部屋なのに俺の荷物がまるで無いってどういう状況だよ……



「ゼノン様の隣で寝るっす。」


「私も〜〜〜〜、パンドラはもう寝てるからこっちね〜〜〜〜」



フィリアがパンドラを端っこに寄せてから2人が隣にやってきた。


なんかもう少しずつ慣れてきたな……

それでも隣で美少女が寝ているのはかなり緊張する。



「ゼノン様、明日からよろしくっす!じゃあ、おやすみなさいっす!!」


「おやすみ〜〜、ゼノン様〜〜〜〜」


「はい、おやすみ。」




そしてやっと静かになった。




本当に今日もいろいろあったな。

まぁ、基本毎日いろいろあるんだが……


明日はもう一回秋景の森に行って、マグマラットを探そうと思う。



そうして、今日も夜が更けていく……





よろしくお願いします!

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