復活
こんなに綺麗な空を見るのは久しぶりだ。
「僕は死ぬことも出来ないのか...」
今は朝ーー、つまり、昨日の夜に適当なビルの
屋上から身を投げたはずだが、、
「なんだろう。ここ。」
ー、いつも曇った空。荒れ果てた家の残骸。
壁一面の落書き。
そんなものは一切なく、崖下を見ると森が広がっており、所々開けた所がある。
奥の方には川も流れていえ、川をなぞって奥を見ると城壁に囲まれた街の様な物も見える。
そして、僕は森を見渡せる崖の上にいた。
何故こんな所にいるのか。何故生きていられたのか。そんな事はーーー、
(どうでもいいーーー。)
ここが何処だろうが、
何だろうが僕には関係ない。もう一緒にいた
家族もいない。生きる意味もない。
「次こそは、死ねますように、、」
信じた事もない神に祈りながら、崖から身を
投げてーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
何だろう。いままでに感じたことの無いー、
否。家族が崩壊した時に感じた様な消失感。
バラバラになった何かが、自分の元へ近ずいて来る。
(っ!?)
(何!?これ...っ!?)
生きては、いる。また死に損ねたらしい。
だがーーーーー。
(体が...ない!?)
下を見る限り、体の様な物がない。
顔も動かせないーー否。顔そのものがなくなったかの様だった。そしてーーー
(あれは...)
辺りに散らばった赤い石の様なもの。
小さいものから大きいもの、そして、、
形が足の様な石。
(動けないし、どうしよう...)
前方には森が続いており、人の気配も全くない。
(それにしても、何で僕は生きてるんだろう...)
死を覚悟し、実行までした。2度も。
だがそれでも命が尽きる事を許されなかった。
(僕に、神様が生きろって言ってるのかなぁ)
2度も死のうとし、生き長らえたのだ。
いまさら何かをする気にも、考える気にも
ならないがどうせ死ぬなら楽しむだけ楽しい事を最後にするのも悪くないかもしれない。
「そもそも、楽しいなんて最後に思ったのは
いつだったかなぁ...」
いつの間にやら動く様になっていた足を動かして、立ち上がる。さっき体が無いように
見えたが、大丈夫そうだ。
ーー、前にもショックで幻覚や幻聴が毎日の
様に聞こえていた時もある。きっとそのせいだろう。あの、腕の様な形をした様な石も、腕に見えるだけーーー、
「だ、大丈夫ですか!?」
ふと、声がした気がするので前を見ると、、、
誰だろう。見たこともない女性がいる。
「あ、あ、あなたの腕がっ!」
ーー腕...?
全く手の感覚が無い。どうしたのかと
腕を見ーーー、
(えっ?)
ーーー肩から先が、無い。
だが、割れた断面から肉と骨が見えており
ぐちゅぐちゅと蠢いている。
一体、何が起きてーーーー。