ハロー異世界
和也はざわざわと騒ぐ無数の気配を感じてゆっくりと目を開いた。そして、周囲を呆然と見渡し、自分が今どこにいるのかを把握していく。
どうやら自分達は巨大な広間にいるらしいということが分かった。
目の前には巨大な壁画があった。広間をぐるっと一周する壁画には金髪をなびかせ、中性的な顔立ちの人物が描かれてある。背景には真っ白な城や町、人々が描かれてある。とても美しく、素晴らしい。
よくよく周りを見てみると白い石造りの建築物のようで、これまた美しい彫刻が彫られた巨大な柱に支えられ、天井は吹き抜けになっている。
和也たちは建物の最奥にある台座のような場所の上にいることがわかった。下を見ると教室に現れたあの魔法陣が描かれてある。その魔法陣は光を失っていた。
和也は自分の身に何が起きたのか、不意に聞こえた老人の声で確信した。
「ようこそ、この世界へ。勇者様方。歓迎いたしますぞ。私の名はシュボウトと申す。以後、お見知りおきを」
あぁ、ここが異世界なのかと。
声がしたほうを見ると神官風の老人がいた。彼は 白地に金の刺繍がなされた法衣のようなものを纏い、大きな杖を持っている。真っ白な白髪、顔に刻まれたしわがあり、老人だということはわかるのだが、目が鋭く、老人と言うには強すぎる覇気を纏っており、若く見える。
「こっちへ付いて参れ」彼はそう言って微笑を見せた。
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こうしてシュボウトの先導のもと、国王がいるという《玉座の間》へとついた。和也は周囲をしっかり観察していた。
向かう途中にすれ違った使用人と思われる人物、メイド、所々に配置された兵士らしき人物。髪の毛や瞳の色を見て、やはり日本ではないと改めて認識できた。
先程いた場所は城の敷地内にある建物だということも理解した。
「おお、よくぞ召喚に応じてくれた。感謝するぞ勇者たち」
王座に座っている人物が嬉しそうに言った。
「だが、突然のことで混乱しておるであろう。だが安心するがよい。今からしかと説明するがゆえに」
そういって始めた王の説明を要約するとこうだ。
この世界にはたくさんの種族がいる。そしてその中でも人間族は北に住む魔族と仲が悪いらしい。
だからか何百年も前から戦争している。魔族はひとりひとりが強く戦力は拮抗し大規模な戦争はここ数十年起きていないらしいがこの国は魔族が力をつけてきた。だから人間族が滅ぼされる前に、逆に魔族を滅ぼそう、ということで異世界から俺たちを召喚したらしい。
「どうか、どうか頼む。人間族を救ってくれ。」
そこで一人の女子が立ち上がった。
「ふざけないで下さい! 結局、私達に戦争させようってことでしょ! そんなの絶対嫌です!私達を早く帰して下さい!家でママやパパが待っているんです。」
彼女の名前は小上愛花。身長は約150センチ程の低身長で童顔、このクラスの学級委員だ。いつもクラスのみんなのために頑張っているが、だいたいからまわってしまう。
そして今回もクラスのみんなのために勇気を出して立ち上がったのだ。
「それはできぬ、帰し方がわからないのだ。本当に済まなかったと思う。」
この言葉にクラス全員が凍りついた。
「嘘だろ?嘘だと言ってくれ!」
「いやよ!すぐに帰してよ!」
「戦争なんて冗談じゃねぇ! ふざけんなよ!」
「どうして私が、どうして私が……」
生徒たちはパニックになった。
和也も例外ではなかった。
「みんな、僕の話を聞いてくれ。王様に何を言っても帰れないんだ。俺はこの世界の人間族のために戦おうと思う。みんなも僕についてきてくれ。」光星正輝が言った。
光星正輝は身長180センチのイケメン。カリスマ性あふれるこのクラスのリーダーだ。
「我が国が帰り方を探しておこう。」
「王様もこう言っている。僕を信じてくれ。人々を救い、皆が家に帰れるように俺は戦う。俺が世界も皆も救ってみせる。」正輝はそう宣言した。
同時に、彼のカリスマは効果を発揮した。絶望の表情だった生徒達が活気と冷静さを取り戻し始めたのだ。
「俺もついていくぜ。」
「私も。」
そういう正輝に賛同する声が多く上がってきた。
「世界を救うには力が必要である。ステータスと念じてみよ。」
王様の話を聞いたみんなはステータスと念じるのだった。