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成り立たない関係

作者: 藤野称

「はむ」


「どう?おいしい?」


「はむ」


「そっかあ!嬉し~」


私の彼氏はハムだった。だから何でも「はむ」としか言わない。でも私だけは、言ってることがわかるんだ。

私の彼氏はハムだけど、私の作った料理は食べてくれるし、私とたくさん旅行にいくんだ。

この間も、ディズニー・シーに行ったんだ。彼氏がハムだから入場料は半額だったんだ。ラッキー。


こんな感じだから、私は毎日楽しいんだよ。


「はむ」


「え~また?しょうがないなあー」


私の彼氏はハムだから、実は結構さみしがりやなんだ。夜寝るときは必ず一度、頭を撫でてあげるんだ。


「はむ。はむ」 


「うん、うん、そうだよねぇ~」


「はむはむ。はむはむ」


「もちろん、ちゃんと分かってるよ~」


「はむはむはむはむはむはむはむはむはむ。」


「ほらほら、明日も早いんでしょ?今日はもう寝ないと。おやすみ~」


私の彼氏はハムになった。でもしょうがないよね。以前の彼は小さなことで、怒り狂ったり殴ったり。だからハムにしてあげたんだ。とっても美味しそうなハムに。


「あなたは好き?私は大好き!ハム!ハム!ハムだあいすき!」

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