プロローグ:始まり
初投稿です!気に入っていただけたら幸いです。
外でサイレンが鳴り響いている。この辺もそろそろ安全ではなくなったってことか。
俺は家がちょっと裕福なだけでごくありふれた普通の高校生だ。けれど世の中は戦時中。日本もあることをきっかけに攻撃を受けていた。父親の経営する医療機器メーカーは政府の高官や優秀なアスリート、一部の富豪などを自社が開発した冷凍保存カプセルで保護し、戦争が終わったころに解凍して再びやり直すという通称箱舟計画と呼ばれる計画の中心にあった。まあ計画についてはたまたま親父の通話を聞いてしまったから知っているだけで極秘の計画である。しかし何と計画の責任者の家族も保護してもらえるそうじゃないか。完全な役得だ。
横にいる妹が言う。
「起きたらまたみんなと会えるよね?お兄ちゃんとも遊べるよね?」
「大丈夫。兄貴も俺も一緒だし他のみんなだって上手くやるさ」
なんて適当なことを言う。無責任だな、俺。けど可愛い妹が泣く姿なんて見たくないし余計なことを言って眠りたくないなんて言い出したら大変だ。
「そっか、じゃあ怖くないね。お兄ちゃん、起きたら一緒に遊園地行こうね。孝介お兄ちゃんも一緒に」「ああ約束だ。まあ兄貴は仕事で忙しいからわからないけど俺は絶対行くよ。だからお休み、千紗」
「うん、お休み!」
そういって眠る妹を横目に見ながら俺も眠りにつく。あ、そういえば眼覚めたら受験とかどうすんのかな。ま、いっか後で考えれば。
世界が勝手に始めた戦争。初めはこんな大戦争にまで発展するとは誰も思っていなかったろう。
きっかけは中露の入れ知恵によって再開された朝鮮戦争。強大な後ろ盾がついたことで勢いづいた北が南に侵攻したのだ。もちろん西側諸国は黙っているわけもなく程なくして再び冷戦状態へ突入。長らくは膠着状態のまま睨みあっていたが、当初中立を謳っていた日本が西側諸国によって新たに設立された連合の指示によって密かに超能力研究を進め兵器として完成させていたらしい。それを知った東側陣営は宣戦を布告。開戦当初東側の猛攻に押されていた連合だが、アレを戦線に投入した。そう、超能力者だ。まるで漫画や映画の世界に出てくるような異能の力を使う彼らの前に戦線は押し戻されていき、このまま連合の勝利は決まったものだろうと思われた矢先、一人の能力者の少年が言った。
「僕たちはお前たちのおもちゃじゃない!」
それを境に世界各地で能力者たちが反旗を翻し、圧倒的な力でたちまち両軍を破った。
そして一度、世界は終わった。
続きは鋭意執筆中、今週中には投稿します。