1/1
はじまり~江戸にて。
人は、何かを成すために生まれてくるのです。
死んだ爺の口癖だった。
おれもなにかをなすたまにうまれてきたの?
そうやって聞く俺に爺はいつも微笑んだ。
商人、火消し、歌舞伎役者…
なりたいものはあったんだ。
憧れるものはあったんだ。
でもなることは許されない。
どこまでも続く果てしなく長い廊下。目眩をおこしそうなほど高い天井。
重々しい袴を身につけ、刀を腰に差し闊歩する武士に、何重にも重ねられた美しい着物を着てしずしずと歩く姫君たち。
裏でなにやらヒソヒソと額を寄せ合い話し合う家臣や女官。
皆氷のように冷たい目をしている。
将軍の息子だといえば聞こえはいい。
誰もが羨む何不自由ない暮らし。
おれはだれにもまけないんだ。ばかになんてされないんだ。
あたりまえだ。だって…、だっておれは…
荘厳な雰囲気の漂うこの城で。
おれは… ひとりぼっちだ。
おれも、なにかをなすためにうまれてきたの?
はじめての投稿です。
学生のため、更新は週1程度になると思いますが、温かく見守ってくださると嬉しいです♥
よろしくおねがいします**(ू•ω•ू❁)**