表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アルフェミア創世記  作者: azurite
第一章:アルフェミア創世
14/15

目指す世界へ向けて②

10日も掛かってしまいました・・・申し訳ございません><

今回もソルとユキしか出てきません。

早く別のキャラクターを出したいものですが…やはりキャラクターを作るというのは難しいものですね。立場や性格、他のキャラクターとの相性に物語の上での役割と多くなれば多くなるほど複雑になります・・・。

 其処はとても暗かった。空気は湿気を孕み、そして澱んでいた。


 -ココハドコ……オカアサンドコ……-

        -クルシイ…サムイ-

    -アツイ…タスケテ-

 -コワイ…クライヨ-

       -オナカスイタ……-

  -イタイヨ…ダレカ…-


 暗く、数十センチ先も見通す事が出来ない様な闇の中から声にならない声が響いてくる。側面から、上から、下から。足下は剥き出しの土。左右もまた狭くは無いが土に囲まれ、明かりを点けることができれば、2・3m程上に岩のような灰色の天井から水が滴っているのが見えるであろう。

 闇の奥の方に目を凝らせば、其処には歪な形をした”何か”が這いずり回っているのが見え、そして互いに喰らい合っている様子が伺える。


「あーーー…なんだ?なんってーか、失敗してねーか?コレ。」

「そう?」

「いや、”そう?”って…コイツらまともな姿も取れずに這いずり回って、碌な知能も無いじゃないか。」

「それは仕方ないと思うよ。そもそもの原型となってるのが、今のアルフェミアの生命なんだから。

 あの子達に強固な自我が芽生え、理性や欲望と言った思念を持てばもっと確固たる姿をもったのも生まれるんじゃないかな。」

「あー…なるほど。ココの穢れには特段、指向性を持たせてないのか。」

「そ。正確には、穢れを生み出した存在の形に近いモノが生まれる様に設定してあるよ。

 まぁ、穢れ自体が一定の強さを持っていないとその姿も保てないんだけどね。」

「その結果が目の前の不定形なコイツらか。」

「そういうこと。多分、互いに喰らい合って一つになり、やがてスライムみたいになるんじゃないかな。」

「なるほどねぇ…」

「もうちょっと穢れが集まる速度が速ければ、ココも色々試せるんだけどねぇ…。」


 そう言ってユキは周りを見渡す。

 そう。ユキとソルがいるこの場所は、魔界とアルフェミアとの境界”ダンジョン”である。

 神界内に距離を置いて作られた”アルフェミア””魔界””禊の界”。この3界は物理的な距離が現在ある(将来的には次元をずらして重ねる予定だが)ため、それぞれをつなぐ為の異次元をダンジョンとして用意したのであった。


 今回は、未だ各界の根源の力の収集率が悪い為ユキ自身の神力によりダンジョンを形成しているが、将来的にはダンジョン内で祓った穢れから還元された力や、それぞれの世界の根源の力により発生や維持していく様、理に記されている。


「さて、今回のダンジョンは試験的なモノだし、ちゃんと穢れの通り道としての役割も確認できたから、この辺りで一旦祓っちゃうとしますかね。ソル、よろしく♪」

「って、俺がやるのか。」

「ダンジョンの維持に力を割いてるから出来ればやってくれると助かるな~。

 この後、アルフェミアから魔界へと穢れを送る為の樹木も植えて回らないといけないし。」

「あ~…わかった、やっとくわ。」

「んじゃ、よろしく。ダンジョンにこれ以上穢れが入ってこない様に結界張っておいたから、内部の穢れが全部無くなったら教えてね~。

 じゃ、私は樹木を植えてくるよ。」

「おう、いってこい。」


 その一言を聞いて、ユキの姿が掻き消える。


「全く…ノリノリでこんな場所作りやがって…。

 内部が広すぎてどれだけ残っているかわかりゃしねぇ…」


 そうソルがつぶやくとユキの声が頭の中に響いてくる。


『そうそう、内部に穢れが残ってたら私が感知できるから解らなかったら呼んでね。』


(呼んでね って…今のぼやき聞こえてたのか?

 こりゃ、下手なことは呟かない方が賢明かも知れんな…。)


 ユキのあまりにタイミングの良い一言に、ソルは”今の呟きが聞こえていたのでは?”と考えながら、ソルはユキに念話を飛ばしてみる。

『呼べってのは、此処で空中に話しかければユキに届くのか?』

『其処は私が作り出した空間だからね。それでも十分届くよ。まぁ、念話のほうが確実だけど。』

『あいよ。疲れてなけりゃ、念話で話しかけるわ。』


 ソルはユキにそう答えながら、心の中で先程の考えを改めて噛み締めるのであった。


:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-


《全く…ノリノリでこんな場所作りやがって…。

 内部が広すぎてどれだけ残っているかわかりゃしねぇ…》


 そんな声がユキの作り出した空間から響いてきた。

 ソルは聞こえていないだろうと思って通常通りの声量でぼやいたようだが、残念ながらユキへと確り伝わっていたのであった。

 元々異空間は創世の応用で空間を構築しているので、作り出した者へと内部の状況をある程度伝えられるように出来ているということはソルも把握しているはずであったので、単に忘れているだけなのであろう。


(まぁ、確かにノリノリで作りはしたけどさ。根本的なことを忘れてるっていうのはどうなんだろうね?)


 そう思い、ユキはソルへと念話を飛ばす。


『そうそう、内部に穢れが残ってたら私が感知できるから解らなかったら呼んでね。』


 一拍の間をおいてソルから返答があった。


『呼べってのは、此処で空中に話しかければユキに届くのか?』

(今の間はいったい何を考えたんだろうねぇ…最近、ソルは私に対して失礼なことを考えてることが多い気がするよ。きっと今回は”下手なことぼやいて殴られるのは嫌だな”とか考えてるに違いない…。そんなに手が早いつもりは無いんだけどなぁ…。)

『其処は私が作り出した空間だからね。それでも十分届くよ。まぁ、念話のほうが確実だけど。』

『あいよ。疲れてなけりゃ、念話で話しかけるわ。』


 自分の行動に若干の自覚はあるのか、警戒されていることを察しつつもそれを表に出さずに対応を済ませたユキであった。


「さって。ソルに処理を頼んだ事だし、こっちも手を抜いたりは出来ないね~。

 流石に簡単に手を出せる場所に鎹の樹を植えるわけにはいかないし…どんな場所が良いかなぁ。」


 ユキはそう呟きながら、目を閉じ、アルフェミアの世界をイメージする。


 --今回植えようとしている樹木は、穢れを魔界へと送るという役割と、アルフェミアと魔界をダンジョンでつなぐ為の指標という二つの役割を持つ様、理の中にその存在を記していた。

 初期の案では、樹木はアルフェミアで穢れをその中に取り込み、そして魔界へと放出するだけであったが、ダンジョンを発生、維持させる為には双方の座標を認識しておく必要がある。

 そのため”どうせ植えるのであれば両方の役割を担わせればいいか”と、樹木にもう一つの役割を持たせたのであった。この役割から、ユキは密かにこの樹木を”(かすがい)の樹”と呼んでいた。--


 暫くアルフェミアの世界を見ていると、丁度よさそうな場所が3箇所、候補として見つかった。

 一箇所目は、山間部にある崖に囲まれた森で、森林部はそこそこの広さを持ち、歪な菱形に隆起した場所であった。

 二箇所目は、海洋に囲まれた孤島。こちらも孤島の周囲は崖となっているため、簡単には手出しが出来なさそうである。

 そして、最後の三箇所目。こちらは先の二箇所とは打って変わって、大きな地割れの中であった。

 地割れの長さは280m程で、幅は48m程。深さは35m程あるだろうか。鎹の樹は他の樹木ほど日光や大地の栄養を必要としていない為、この様な地形でも育つには育つ。

 しかし、三箇所目の土地には将来、崩落などが起きた際に鎹の樹を埋めてしまわないか?といった心配があった。


「うぅん…。崩落で埋まってしまったら困るのだけど…まぁ、此処が埋まるまでに次の候補を見出せばいいか。

 最悪、鎹の樹は無くてもダンジョンがある程度形成されていれば穢れを魔界に送り込むには十分なわけだし。」


 ユキはそう呟き、候補に上げた3箇所へと鎹の樹を植えてゆくのであった。

漸くスライム(もどき)登場です!

はやくダンジョンをダンジョンとして機能させたいです・・・。ガンバリマス。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ