緑の大地
10話目にして、漸く天地創造回。
読みづらい・こうした方が読みやすいなどのご意見ありましたらぜひください。
あれから私達は様々な部分を詰めてゆき、ようやく世界の形を整える事になった。形を整えるとはいえまだ実験世界の段階なので、地球と酷似した世界を作り出し、後に控える世界統合の際に齟齬が起きないよう理を調整することとなった。
「これで下準備は一通り終ったかな?」
「だな。後は世界を観測・記録して今後調整してゆくのが主な仕事になるだろう。」
「思ったよりも手間がかからなかったね…。」
「だからいったろ?創り出すより、運営・発展させ、調整していく方が苦労すると。」
そうなのだ。地球より根源の力を融通してもらい、世界の形を整えるのにかかった時間は僅かふた月程度。 理の調整などを含めてもふた月半程しかかかっていないのだ。
これが0から始めるとなると、地球規模の世界の原型を整えるだけでも数百年~千年程度は最低でもかかるらしい。どれだけ楽をさせてもらえているのかがよくわかる。
だが、今はまだ不毛の大地が広がり、海水が其処にあるだけなのだ。肝心の生命を創り出す為の魂はまだ地球より融通してもらっていない為、今から作るとなると自分達の力や根源の力をいくばくか削らなくてはいけない。
もちろん、それ自体は可能だが一度に作れる量に限りがある為、先行して創り出しても結局消耗するだけ消耗して、輪廻を行えるだけの力を蓄える前に消滅するのがオチだろうという結論に至る。
ユキはこの2ヶ月半の間、世界の形を整え、理を調整するだけを行ってきただけではなく、手を離せるときには地球の神々の許へ出向き神力の使い方の習熟を行ったり、眷属や従属神を作る際の注意すべき点などを教わり今後の発展に向けて様々な努力を行ってきた。
「そろそろ魂の選別も終る頃かな?
魂の使い道はどうし様かな…とりあえず最初の内は昆虫のような自意識が非常に薄く、本能や集団意識で行動するような生命体でまかなうのが良いなんて話をしていたけれど…」
「そうだな。いきなり大きな知能を持つ存在を創り出してもこちらが苦労するだけだろう。
特に、人間のように住居を作り出し、環境を自分達の都合の良いように改変してしまう手合いはこちらの負担がでか過ぎるから当面は却下だな。」
「そっか。少し残念だね…。基本ソルしか話し相手になる存在は居ないし、地球の神々との交流も頻繁に出来るわけじゃないし。」
「まぁ、仕方がないな…っと噂をすれば何とやら。」
そういってソルは飛んできた光り輝く球体に手を添える。
「なんか、大分詰まってるようだね…」
「それだけ向こうも余剰分の処理に困ってるってこったろ。」
「まぁ、そうなんだろうけどさ。
にしても、第一陣としてきたこの魂たちは大分位階も低いみたいだし急ごしらえなのかな?」
「かもしれんな。だがまぁ順序を考えてよこしてくれてるってことでもあるだろう。
位階の高い魂を大地を覆う植物に使うわけにもいかんしな。
使うとしても俺達の指示を最低限理解し、自分の支配下に置いた植物達に反映させることができる程度で良いだろうさ。それこそ獣以上人未満程度の魂であれば十分さ。」
そういってソルは魂のよりわけを始める。
「なんてーか、ホント準備が良いなあっちの神さん方は…。ある程度苛酷な環境でも無事に根を張れる程度には強そうだ。」
そう言ってソルは幾つかの魂を投げて寄越す。
「コラ。粗末に扱うな。
この子達は私達の世界の基礎を担う大切な子達なんだぞ?まったく…。」
ソルに軽く注意するものの、軽く肩をすくめるだけで大して意に介した様子は無いようだ。
…コイツ、後で絶対シメちゃる…
「それじゃ、大地を覆う植物達を創り出すとしますか♪」
気を取り直し、テンションを若干上げつつ目を瞑りアルフェミアの前でイメージを始める。
(先ずは大地を覆う芝の様な草達かな。背丈があまり高くならない様に制限を掛けないと…)
世界を創造する上で大切なのは何よりもやはりイメージ。といっても、環境によって自己進化・適応していけるという要素を持たせておけば枝葉の一本一本まで明確にイメージする必要は無い。
とにかく今は、大地を緑が覆い隠し世界が焦げ付いてしまわないようにしなくてはいけない。
-実は、この世界少し前まで神力によって封印された状態で調整されていたのだ。
理由は簡単。草木が無く、海洋と大地、空に太陽と月があるというだけでは草木となる魂達が手元に届く前に灼熱の大地となり無に帰してしまう可能性があったのだ。
しかし、今は草木となる魂達がいる為神力による封印を解き放たれていた。
そして、封印より解き放たれたアルフェミアは地表と海洋が暖められ、海洋から水蒸気が立ち上り雲を形成し、やがて雨になり。
雨は大地を潤し、地表の温度は下がる。地上に降った雨は大地に浸み込み、或いは河となり海洋へと還り、一部は大地から湧き出る泉となるといった循環を幾回りか経た所であった。-
(イメージを魂達にこめる作業は一通り終ったか。
…後は大地の方だけど…ふむ。こちらも良い具合に大地が潤ってるね…っと。大分ぬかるんでいる場所もあるな。あそこは崖か…?崩落の危険もありそうだな。
ああいった場所に生えた草木はどうなるのか…興味はあるけれどどうするかな。海中のほうはっと…)
と、様々な環境を眺めながら世界に魂を散りばめて行く。
(さて。一通り仕込みは終ったかな。あとは少し神力を大地に込めて植物の栄養の代わりにっと…)
そうして神力の行使を止め、顔を上げると横にはアルフェミアを眺めるソルがいた。
「おぉぅ…早いもんだな…俺だったら今の4倍は時間掛かりそうだぜ」
そういってからからと笑う。
「まぁ、大分大雑把にやったからね。環境に合わせて適宜成長する様な因子も持たせたし。
欲を言えば、この子達を監督するような存在がほしいところだけど…。流石に、今はそれだけの余裕はないし様子見かな。」
「そうだな。こいつらが成長し、位階を上げてくれりゃそういった存在も出せるかもしれんが…とりあえず、こいつ等よりも1段位階の高い魂はこっちにある。こっちも好きに使ってくれ。」
「わかったよ。でも今は、この子達が確り大地に根を張るまでは様子見かな。今低木を植えてしまうと喧嘩しても負けて、下手をすれば全滅しまいそうだからね。
ある程度成長して、共存できそうな程度には育ってもらわないと次の段階には移れないかな。」
「そうか。そのあたりは正直、俺には調整できそうに無いからまる投げさせてもらうぜ。」
「全く…仕様の無いやつだ…。まぁ、それが私の仕事だと割り切ってやるしかないか。」
「なんだ。手伝ってほしいのか?手間が増えてもかまわんなら喜んで手伝うぞ?」
「だったら、あまり気温が上がらないように太陽の光を調節してくれ。今はまだこの子達は弱いんだ。このまま強い光を当て続けるといずれ枯れてしまう。
如何に環境に適応していくとは言え、限度はある。」
「一理あるな。とは言え、どの程度下げりゃ良いのかわからん。」
「2割ほど下げてくれればそれで良いさ。心地よい暖かさより、少し暑い程度のストレスは無いと丈夫に育たないからな。」
「わかった。」
拙い文章にお付き合い下さいまして、誠に有難う御座います。
その日の思いつきで書き連ねておりますので、時間が掛かってこの文書量ですがご容赦下さいませ><




