宮崎穂久を逮捕する
「僕酔いやすいから助手席乗ってもいい?」
「お〜、いいぜ」
「道の駅とかちゃんと寄ろうね」
「寝てればすぐつくっしょ〜」
「みんな仕事とか大学とかあるのにいきなり呼んでごめんね」
「いいっていいって!たまには気晴らしも良いだろうよ!」
「ぼ、僕も、演劇の練習あったんだけど、行ってきて良いって言ってもらったから…」
「俺は有給使ったけどな」
「感謝感謝ありがたや」
「ほい、じゃあ全員乗ったか?」
「乗りました!」
「乗ったよ〜」
「いまーす」
「忘れ物は?」
「こういうのっていくら確認してもなんかは忘れてるんだよね」
「いまさらわかったとてだし」
「もういいよ行くぞ」
「しゅっぱーつ」
「ありがとう運転してくれて」
「代わってくれてもいいんだぞ」
「はは、汗は拭いてあげるね」
「……なぁ」
「言わなくていいって——っていうか、あんまり言っちゃうとバレるよ」
「確かに!バカでちまった」
「……ごめんね直近も直近——昨日の夜にいきなりLINEして」
「楽しみ過ぎて寝れないのかと思ってた、が……あれだったからなぁ」
「ほら、僕仕事で人に話聞くことが多くて、なんか聞いたものまとめてたら、その、ね」
「まぁ〜、旅行は楽しもうぜ」
「うんそうだね……って何にも聞こえないけど、寝てるのかな?」
「二人とも頭から布団かぶってるな」
「暑そう…」
「まぁ眩しいしな、お前は?大丈夫か?」
「うん、っていうかもうトンネルだし、大丈夫だよ」
「———ん〜〜、そうだな、スマホにでも映してくれたら、話は聞けるぞ」
「……二人を起こしちゃ悪いしね」
「うぉっ!?眩しいわ!」
「あは、ごめんごめんトンネルだからより眩しいね」
「ったく。んで、え〜と、その、穂久が、事件?事故?に関わってるかもしれない……って?」
「ちょっと!?名前言ったら」
「おお、悪い悪い。……あぁ、それ昨日送ってきたやつか」
「そう——似てるんだよ、ね。すごく」
「昨日布団に潜ったときに見たが……鳥肌がすごかったな、似すぎてて」
「ほらここ21時、カメラの方バッチリ見てるんだよね」
「目あったのかと思ったぞここ。つか、これ俺見ていいのか?」
「ま〜〜、君も無関係ではないでしょう……ともだち、だもんね」
「俺心臓バクバクなんだぞ!なにもわざわざ夜に言わなくても、旅行終わった後とかさ」
「確かにそれでもいいんだけど〜、手が止まんなかったね」
「軽い感じで言ってるけどなぁ…ま、穂久は悪いことするようなやつじゃないけどな」
「そうだといいけどね…あ、次のパーキングエリア止まってもらってもいい?」
「おうわかった!」
「ふう、ちょっと休めた」
「あの二人はちょっと食べてくるってよ」
「あ、そうなの?じゃあ僕もなんか買ってこようかな、鐘樹も行く?」
「うっし行くか!」
「お腹も膨れたので、運転お願いしまーす」
「おねがいしまーすじゃねえわ!なんで誰も代わってくれないんだ…」
「ん〜だって、僕は運転どころじゃないし、二人もまだ眠たいもんね?」
「俺だって寝たいぞ……昼飯は奢りな」
「え〜」
「やかましい!」
「…………酔っちゃうからって言ってた割にはずっと起きてるよな」
「あぁあれ、嘘だよ」
「……ま、そうだろうとは思ってたがな」
「君と話したかったからね〜」
「……穂久のことか」
「何のために君に動画送ったと思ってるのさ」
「……は?もしかして俺も——」
「だって君ずっと中高ずっとおんなじクラスだったんでしょ?いろいろ知ってるでしょ〜」
「あ、あぁ、そうだったけど……なんだよ俺を疑ってるのかと思ったぞ」
「あはは!友達を疑う奴がどこにいるのさ」
「なんだよ〜ビビらせやがって。んで、何が知りたいんだ?」
「そこまでカッコつけなくても…知りたいって言うか、この動画に気になるところないかなって」「プロがわかんないなら俺がわかるわけないだろ」
「そうでもないんだよね、僕だって人間だからさ、見落とすこともあるよ」
「ん〜、昨日パッと見ただけだが……思い出すだけでも不気味だなあれ」
「ほらほら、なんか聞かせて?」
「確か——21時頃の防犯カメラだろ?この日、20時くらいに穂久と飯行く約束してたんだけど、あいつ遅刻してたんだよな」
「ご飯?」
「あぁ、家も近いからな、当日に予定決めるのも余裕なんだよな」
「いいね仲良し」
「だろ。飯行くぞ〜って」
「ここに見覚えあったりする?」
「見覚えっつっても、暗くてよく見えないもんな〜」
「テレビとかに写すときはさすがにもうちょっと加工されると思うけどね」
「テレビに映るのか!?」
「うわびっくりした、どうしたのさ」
「——フライングみたいだなって思って、そんなの本当に見ていいのかよ…!」
「みたいっていうかフライングだよね、まぁまぁそんなの気にせず」
「……陸上部のトラウマ蘇るからやめようぜそういうこと言うの……」
「あはははは!君が最初に言ったんじゃん僕のせいにしないでよ!」
「はは、物覚えはわりぃ方だがあれだけはずっと覚えてるからなぁ」
「もういいって、友達がしょぼくれてるの見たくないよ」
「じゃあ運転代わってもらってもいいか?」
「フライングフライングフライングフライング」
「何がしたいんだお前」
「じゃ、僕はちょっと寝るよ」
「おい、休憩所ついたぞ目開けろ〜」
「ん、んぅ、おはよう」
「あぁおはよう、俺はちょっと水買いに行ってくるけど、なんかいるか?」
「いや僕も行くよ」
「じゃあ早く起きろ」
「んぁ〜〜〜、何時間くらい経った?」
「出発したのが8時くらいだから……4時間くらいか?」
「じゃあお昼ご飯の時間だ」
「奢れよ」
「覚えてたのかよ!」
「どーだおいしいか人のお金で食べるラーメンは」
「うめぇうめぇ、うめぇよ…!」
「チャーハンも頼みやがって……」
「ラーメンとチャーハンはセット、当たり前だろ?」
「僕がその立場だったらおんなじことするだろうから反論できないのムカつくな」
「ここからは折り返しだからなあと3時間で着くぞ」
「もう半分か〜そう思うと早いね」
「ほとんど寝てたからな」
「ほんと運転ありがとう」
「…………まぁ、ここまで来たらな、最後までしてやるよ」
「よし!出発!」
「俺がまだ食べ終わってないだろ!」
「最後の運転おねがいしま〜す」
「わかったからさっさと寝ろ!」
「なんでさ、僕はまだ話したいんだぞ〜?」
「つっても、バレないようにな」
「そりゃもちろん、プロだよ」
「心強いな」
「それほどでも〜〜」
「……なんかこいつらずっと寝てるな」
「出発したのは8時だけど起きるのはとっても早かったからね、5時とかじゃない?」
「俺と穂久以外はちょっと遠かったからな」
「隣県までお迎えしてくれてありがとうね」
「ほんとだよ!……もしかして、俺と話したいからこの旅行も誘ったのか?」
「えっ……!?俺は惚れられてる……って!?」
「ちげぇぇぇよ!お前振り落としてやろうか!?」
「声でっっか。冗談だよ。みんなで旅行行きたいって思ったから誘った、それだけだよ」
「お前が見つけたその動画に穂久みたいなやつが映ってて、そいつが怪しいって話してんのに?」
「まぁ、似てるだけだし。それに穂久はそんなことしないってわかってるでしょ?」
「それはそうだが……」
「うん、だから、旅行を楽しみたいってだけ」
「じゃあ、なんで俺に動画送ったんだよ。助けてってか?」
「——っていうか、運転しながらなのによくそんなに喋れるね」
「ん?運転慣れたらお前もできるぞ」
「すご〜。それで、何だっけ惚れてるんだっけ?」
「お前……」
「うそうそ怒らないで。助けて欲しい——っていうか、この動画みて何かわかることある?って聞いたでしょ?ほんとにそれだけ」
「本当にそれだけ…?俺じゃなくてもよかったじゃねぇかそれ」
「いや旅行で運転するとしたら君しかいないだろうなって思って」
「あ〜、確かにあいつらとかお前はしなさそうだしな」
「でしょ。だから二人で話せる時間ができそうなのが君だったからさ」
「いいように使われたってわけか……」
「言い方悪いなぁ。信頼できるんだよ、だってこれ重要も重要動画だからね」
「お、おお、なんか悪い気分じゃないな」
「ちょろ」
「悪い気分です。」
「あはは!冗談だって〜本当だからさ、気分戻して?」
「ったく、リズム崩れるぜ」
「まぁまぁ落ち着いて。じゃあ〜他になんかある?」
「他って言われてもな〜、もう一回見せてくれよ」
「仕方ないね、はい」
「ん〜やっぱり暗いな、これどうやって手に入れたんだ?」
「まぁぼくってそこそこ有名だからさ、ちょちょいのだよ」
「ちょいまで言えよ……それで?本当は?」
「防犯カメラの録画を全部もらった」
「お前……まじかよ……どうしてそこまで」
「んーまぁ、気になってるから——だね、この事件知ってる?」
「知ってる——もなにも、まだ動画しか見てねぇよ」
「それもそっか。被害者は23歳女性、長尾真未。全身にのべ10箇所の刺し傷、その場で死亡が確認」
「ちょ、おま、運転してんのにグロい話やめろよ——」
「友達、だったんだよね。仕事仲間でさ、彼女も調査中だったんだけど——」
「えっ……その……悪かったな」
「大丈夫だよ。僕の友達を殺した犯人絶対殺してやる…!ってわけでもないし」
「敵討ちったって、生き返るわけでもないからな。まぁ、なんだ、夜飯奢ってやるよ」
「おっ言ったな?言質とったぞ?」
「おまえボイスレコーダーアプリ出すのはえぇよ!」
「あ、スマホ充電切れちゃいそう、充電していい?」
「お前のことよくわかんねぇよ…朝迎えに行くまでに充電しとけ……まぁいいけど」
「ありがとー。ふぅ、奢ってくれるとか言ってくれなかったら気づかずに0%になるところだったよ」
「腕の残像が見えるかと思ったぞ」
「コツはね——」
「そんなコツいらんわ!」
「ちぇっ、あ、次のパーキングエリア止まる?」
「どっちでもいいけど——どうする?」
「トイレ行きたい」
「じゃあ止まるか」
「感謝感謝ありがたや」
「よし、ついたぞ」
「ありがとうー、じゃ、トイレ行ってくるね」
「俺も行こうかな」
「連れションだ〜」
「トイレくらい行くだろ」
「喋りすぎて喉も渇いたよ」
「誰かさんがめっちゃ話しかけてくるから俺もからっからだ」
「誰だ…!?これは探偵がいるな」
「いらないだろ俺でもわかるぞ犯人」
「ほらはやく!トイレが埋まっちゃうかもしれない!」
「そんなに混んでないだろ」
「混んでなかったね」
「当たり前だろ」
「じゃ、そっちはどう?」
「僕酔いやすいから助手席乗ってもいい?」
「お〜、いいぜ」
「道の駅とかちゃんと寄るからね」
「寝てればすぐつくっしょ〜」
「みんな仕事とか大学とかあるのにいきなり呼んでごめんね」
「いいっていいって!たまには気晴らしも良いだろうよ!」
「ぼ、僕も、演劇の練習あったんだけど、行ってきて良いって言ってもらったから…」
「俺は有給使ったけどな」
「感謝感謝ありがたや」
「よし、寝るか」
「え?」
「だから、寝るんだよ」
「なんでよ、景色見ようよ」
「だー!お前布団持ってきただろ?」
「そうだね昨日の夜にいきなりLINEされてね」
「悪かったって……なぁ、おかしいと思わないか?」
「おかしいって…何が?」
「あ〜そうか、お前はまだ付き合いが短いのか」
「え?響楼と?まぁ、大学で仲良くなったからね」
「俺は高校の頃からよく遊んでたんだがあいつが酔うだなんてみたことがないんだよ」
「はぁ、それで?」
「それなのにわざわざあいつと二人になりたがるってことは…」
「ことは…?」
「恋バナだろ」
「しょーもな」
「なんてこというんだ!男が二人で話したがるのなんてそれ以外ないだろ!」
「じゃ、じゃあ仮にそうだとして、なんで寝るのさ」
「寝るフリに決まってるだろ。盗み聞きだ」
「友達としてそれはどうなの…」
「気になるだろ!お前だって気になるだろ!?」
「まぁ……彼女の一つも聞いたことないからね」
「ほい、じゃあ全員乗ったか?」
「乗りました!」
「乗ったよ〜」
「いまーす」
「忘れ物は?」
「こういうのっていくら確認してもなんかは忘れてるんだよね」
「いまさらわかったとてだし」
「もういいよ行くぞ」
「しゅっぱーつ」
「よし寝たふりだぞ、声出すなよ」
「わかったよ乱真」
「寝るなよ?」
「わかったって、なんでそんなに恋バナ気になるの…」
「ほら布団で頭も隠せよ!」
「それじゃあせっかく寝たふりしてても僕たちが話せないよ」
「スマホがあるだろ!楽しみだな〜?」
「眩っ!?」
(おい声出すなって!)
(だって眩しかったんだもん!)
(バレたらどうすんだよ)
(ごめんって〜…なんで僕が謝ってるの…)
(バレたら怒られるぞ)
(怒られてしまえ)
(汗拭く?)
(なんかあいつら二人でいちゃつこうとしてね?)
(もしかして……響楼って……)
(おいやだぞ高校からの友達が男好きパターン)
(……聞こえにくくなったね)
(小声になったな)
(本当に秘密話なのかも)
(俺らが本当に寝てるって思われちまったか)
(まぁ実際寝てるフリしてるからね)
(変なところで気遣いやがって)
(たまにしょうちゃんの声が大きいの気になるなぁ)
(しょうちゃん?)
(あぁ、鐘樹君のことだよ、運転してる方)
(しょうちゃんって呼んでるんだな)
(まぁ中学からずっと一緒だからね)
(穂久と鐘樹はもう10年くらいの付き合いなのか?)
(そうだね〜、響楼と乱真は大学からだからそれに比べたら長いよね)
(住んでるところも近いんだっけか?)
(お互い出身県出てないからね)
(へぇ〜、俺らと似てるな響楼と俺も住んでるところは近いんだよ)
(近いといいよね!寂しくなったらすぐ呼べるもんね)
(お前らほどじゃないけどな…ってあれ?穂久って言ったか?)
(……穂久って聞こえたよね)
(事件、とか事故、とか)
(……………)
(……………)
(……………)
(寝たか?)
(寝てないよ!ちょっとわかんなくなってるだけだよ)
(穂久ってのは絶対に言ってたが……事件ってなんなんだ)
(……動画?)
(昨日送ってきたやつ…?)
(……ね、ねぇこれ、聞いちゃダメなやつなんじゃない…?)
(ん〜〜〜〜、聞かれたらまずいようなことを、鐘樹に言うか…?)
(あ、ほら、友達だから——って)
(穂久は悪いことするようなやつじゃない……か)
(あ、当たり前だよ!)
(お、パーキングエリア止まるみたいだな)
(久しぶりにスマホ以外の光を浴びれるよ)
「あれ?もうこんなとこか?寝てたらすぐだな穂久!」
「え?そ、そうだね乱真君」
「ちょっと小腹空いたからなんか食べに行こうぜ?」
「わ、わかったよ」
「何食う〜?」
「甘いものとかいいんじゃない?」
「ソフトクリームあるぞ!これ食おうぜ」
「よくあんな堂々と嘘つけたね…」
「嘘?どれのことだ?」
「寝てたらすぐだなってやつ」
「あぁ〜!ちょっとわざとらしすぎたか」
「いやバレてないのがまたなんとも……」
「じゃあいいだろうがよ!これ食べてまた盗み聞きするぞ〜?」
「ふぅ、よし穂久、お腹が膨れたからって寝るなよ」
「えっ、まだ話すのぉ?」
「話すに決まってるだろ!ほら、あいつらも帰ってきたぞ」
「うぅ、悪いことしてる気分だぁ」
「誰にも迷惑かけてないんだぞ!そんなこと思わなくていいって!」
「迷惑……そうだねぇ、かけてないか」
「おぉ、わかってきたな穂久」
「そうだよね、車の中で話してる方が悪いよねぇ聞いてほしいって言ってるようなもんだもんねぇ」
「お、おぉ?どうした——ってお前顔赤いぞ!?酒でも飲んだのか!?」
「これ食べるぅ?このお菓子おいしぃんだよぉ」
「……いくら酒入りだからって弱すぎるだろ……」
(穂久、寝てないよな?)
(ねてないよ)
(水飲めよ)
(のどかわいたらね)
(漢字も使えなくなったか…)
(そんなことよりさ、ほら、きかないの?)
(そっちの方が乗り気になるのかよ)
(きみがいいだしたんだから)
(ったく。でも、声聞こえないな、響楼も寝てるのか?)
(きょうちゃんが話し出したね)
(おっ!ほらな!酔うってのは嘘だったんだ!)
(よく分かったね)
(俺らだって高校からの付き合いだからな。何回も遊びに行ってたりしたぞ)
(また僕の名前だ)
(俺とか穂久には動画なんて送られてないよな)
(もしかしてしょうちゃんがうたがわれてるのかな!)
(お前友達が疑われてるかもしれないのになんだそのテンション)
(ん〜、まぁ、しょうちゃんだからさ、悪いことするわけないって知ってるし)
(信頼してるんだな。……響楼もおんなじこと思ってるみたいだ)
(友達を疑う奴はいない……ってかっこいいね)
(次は鐘樹がカッコつけたみたいだな)
(しょうちゃんがかっこいい?)
(笑笑笑カッコつけさせてやれよ)
(ぼくとごはん?)
(20時くらいに飯行く約束だってよ)
(ごはんいくっていったのはいっかげつまえとかだったかな)
(一ヶ月前の動画か)
(何見てるんだろうね?)
(暗いとか言ってるな)
(テレビって言った?)
(声でっかあいつ)
(あはは…しょうちゃんはからだおおきいからね)
(泣いてるとことか見たことないな)
(しょうちゃん焦るとすぐ涙目になるんだよね)
(すげぇ友達tipsだ)
(大丈夫だからなって言いながら僕の手握ってくれるんだよ)
(笑笑演技の練習相手にピッタリじゃねぇか)
(なんか話してたらあっという間だな)
(もう休憩所みたいだね)
(酔いは冷めたか?)
(うん…我ながら弱いね)
(ほんとだよ。ったく、ほらいくぞ)
(わかったよ)
「あ、あ〜よく寝た」
「僕は夜目が効く代わりに光に弱いんだよね。だからこの布団をいきなりどかせられると困るって言うかやめてって言うかお願いっていうか———!」
「お〜らよっ!」
「うわっ!?」
「ほら起きろ穂久!あ運転ありがとうな!」
「お、おはよう……あぁ〜まぶしぃ〜〜目が痛い〜〜」
「ほらトイレでもなんでも行くぞ!」
「お昼ご飯の時間だね」
「しょうちゃんって人に奢られることあるんだ」
「……ないのか?」
「いっつも奢ってもらってるよご飯の時」
「は!?ずるくね!?おい鐘樹俺にも奢ってくれよ」
「だめだしょうちゃん響楼君を煽るので頭がいっぱいみたい」
「ちぇっ。っていうか昼ってことはもうそろそろ折り返しってとこか?」
「そうみたいだね」
「いやぁ疲れるな」
「ずっとこもってただけじゃん」
「お、おまっ、バカ!寝てたんだろ?」
「あ、あぁそうだったね、ぐっすり」
「まだ酔いが覚めないのか?」
「ごめんてば…って、そんなことより響楼君ずっとスマホ見てるね?」
「い、いや普通だろ」
「え〜?お話したいよ?」
「わかんないんだよな、昔からああなんだよ」
「癖なのかぁ、じゃあ仕方ないね。感じ悪いってわけじゃないし気にしないでいっか」
「よし!車先戻ってるな!」
「お、穂久、食い終わったか」
「うん。お腹いっぱいだよ、さっきもちょこっと食べたしね」
「それもそうだな」
「じゃあ次で最後か?盗み聞きは」
「まだするんだね…まぁいっか、乱真と話せて僕もうれしいからね」
「お、おぉ、嬉しいこと言ってくれるじゃねぇか」
「ほら、あの二人が来ちゃうよ、早く布団に潜ろう」
「言ってるそばから来たな」
(もうこの暗いのも慣れたよ)
(つってもいい加減眠たいな)
(そうだよ〜、だって起きたの4時とかだもん)
(はっや、まぁ寝る気はないけどな!)
(おぉ、響楼君もしょうちゃんと話したいみたい)
(あいつらも仲良いな)
(僕たちも負けてないよ)
(どうしたんだよいきなり)
(どうせなら一緒の布団に潜る?)
(お前ほんとどうしたんだ!?まだ酔ってんのか!?)
(仲良いのが羨ましいんでしょぉ?)
(言ってないだろ!)
(ざんね〜ん、って、声でか)
(いまの鐘樹の声か)
(え…もしかしてしょうちゃん響楼君のこと好きなの…!?)
(最初俺が言ったやつじゃねぇか!いやだぞそういうの)
(そうだね結構嫌だ)
(めっちゃストレートに言うじゃねぇか)
(今まであんなに仲良くしてたんだから男好きになるなら僕だよね)
(お前そっち側なのかよ…!?)
(あはは、冗談冗談)
(そう言うとこあるよなお前って…)
(響楼君はしょうちゃんにどんな動画見せてるのかな)
(気になるよな)
(響楼君は僕たちが運転しないってわかってたみたいだね)
(ま、しないだろ俺たちは)
(それもそっか)
(しょうちゃんを信頼できるってよ!)
(重要な動画…?)
(そんなものをしょうちゃんに見せてるんだね)
(ずりぃなぁ)
(僕たちもみたいよね)
(死体バーン!って写ってたりとかしたら嫌だから俺はパス)
(見えないはずだよ〜)
(わかんないだろ!)
(見えないはずだよ〜びびってるね)
(バカにしやがって〜ま、そうか暗いって言ってたもんな)
(あ、そ、そっか。そうだよね暗いもん。見えないか)
(なんだ穂久忘れてたのかよ)
(乱真君が覚えてるのがすごいよ)
(まぁな、記憶力は自信あるぜ)
(あ、そうだ乱真君、スマホみられるのって嫌?)
(どうしたんだよ急に)
(いや今ふと思ってさ)
(あんまり嫌じゃないけどなぁ、隠してるもんがあるわけでもねぇし)
(そっかぁ、急にごめんね)
(まぁな、今は旅行だし、雑談くらいいくらでもするだろ)
(ありがとね。———響楼君ってそこそこ有名なんだ)
(その道ではかなりの有名人みたいなのかっこいいな)
(防犯カメラの録画?)
(…………今のって死んだ人の情報だよな)
(被害者は23歳女性、長尾真未。全身にのべ10箇所の刺し傷、その場で死亡が確認)
(こっわ。これまだ世に出てないってことだろ?)
(そのはずだねぇ)
(……)
(……)
(友達、だったのか)
(それはかなしぃねぇ)
(変に気を使ったらそれこそ響楼が気にするか)
(今まで通りが一番だね)
(敵討ちって)
(戦国時代かな)
(戦国時代にボイスレコーダーはないな笑)
(でもあそこカメラなかったはずなんだけどなぁ)
(カメラなんてどこにでもあるだろ)
(う〜ん、だって僕もきょうちゃんもずっとあそこで遊んでるんだよ?)
(最近つけたんだろ、見逃してるかもしれねぇぜ?縁の下の力持ちみたいな)
(あー、多分、言うとしたら、灯台下暗しだね)
(お、それだそれだ)
(…あはっ、あはははは!掠ってもないのすごいね)
(うるせぇ!笑ったらばれちまうだろ!)
(あはは、はぁ、間違えすぎでしょ、ははは)
(いつまで笑ってるんだよ体動いてるのわかるんだぞ)
(はぁ、はぁ、ふぅ、変なの)
(変なのって言うな!)
(ごめんごめん、もう落ち着いたよ)
(そろそろパーキングエリアつくぞ!)
(もう起きとく?)
「よし穂久起きろ!」
「なんでそんなに声大きいの…」
「ちょっと飲み物買いに行こうぜ」
「よし、喉もうるおった」
「そうだね〜、あっちも帰ってきたよ」
「よし、俺らはいいぞ」
「え?え?なに?どうしたの?乱真君?響楼君?」
「おいおい、どうしたんだよ二人とも、目的地まで後ちょっとなんだぞ、運転は俺がするから行こうぜ早く」
「い〜や、ここが目的地だよ、鐘樹。」
「は?」
「君なら、今からすることの検討くらいはついてるはずだ」
「え?しょうちゃん?なんで急に下向いてるの?」
「じゃ〜、答え合わせしようか?」
「……」
「今から言う全てを1週間前から聞かされてた俺の気持ちも考えてみろよ?」
「な、なに?どうしたの?しょうちゃん?なんで静かにしてるの?」
「ま、聞いてりゃわかるさ。まず1つ目、酔っちゃうから助手席に座らせて——これは、嘘」
「え!?それ本当に嘘だったの!?」
「本当に嘘とか紛らわしいな」
「鐘樹と話したかったからだね」
「で、でもしょうちゃんが運転するだなんてわかんないじゃん!僕が運転するかもしれない」
「それはそうだけど〜、まぁ、ないでしょ。僕と乱真が運転するのはないとして、穂久が運転する可能性はあったよね」
「で、でしょ!?」
「その可能性をなくすために乱真に1演技うってもらったんだよ」
「へへっ、なかなかよかっただろ?」
「お前の好感度が下がってただけだけどな」
「し、仕方ないだろ!」
「乱真がいなかったとしても問題なかった。あぁ、穂久」
「なに?」
「僕は穂久が知ってる通り大学では心理学を専攻してた」
「そうだね」
「けど、大学を中退して——警察になった」
「は!?警察!?」
「まぁ、僕の職業なんてどうでもいいんだよ。あ、鐘樹」
「……なんだよ」
「僕がボイスレコーダーを起動するとき、腕が残像に見えるくらい早かったって言ってたでしょ?」
「それがなんだよ」
「警察だからね〜、腰から拳銃を取り出す動作は慣れてるに決まってるよね」
「……ちっ」
「あとスマホのバッテリーが少なくなっちゃったって言って充電させてもらったじゃん?」
「まだあるのか」
「あれ最初に会った時からずっとボイスレコーダーアプリ起動してたからバッテリーなかったんだよね」
「……証拠集めのためだったのかよ」
「証拠っていうより確定させるためのものだね」
「俺だって疑いたくはなかったけどな〜、響楼が言うんなら間違いないんだろうよ」
「今日ずっとヒヤヒヤしてたけどね。あぁ〜乱真がバカしたらどうしよ〜って」
「俺らもう7年の付き合いだろ!?」
「あはは、信じてよかったよ。ありがとう親友」
「どうってことないぜ」
「よし、推理の続きだ」
「ま、まだあるの…?」
「まだって言うか、これからだよ、さっき言ったのは今日やってたことだけだし」
「もう一つ言うなら響楼が『乱真は穂久の隣で何気なく情報得てくれ』って言ってきたからずっと起きてたことだな」
「え…?も、もしかして、僕が疑われてたの…?」
「まぁ無くはないよね、共犯」
「テメェ!あぁそうだ、隠す必要もないんだろ!?穂久を疑うやつは俺がゆるさねぇ!」
「うるっさ」
「きょ、きょうちゃん!?」
「ずっと黙ってると思ったら急に吠えやがって、犬か?」
「あぁいいぜ番犬でもなんでもよ」
「「「………………?」」」
「穂久はなぁ、俺がいないとダメなんだよ」
「「「??????」」」
「お前らもわかってるだろ?こいつはドがつくほどの貧弱、気弱だ」
「そ、そこまでいわないでよ…」
「だからこいつを守るやつが必要なんだよ」
「急に話飛びすぎだろ」
「騎士が必要なら、俺がなる。俺は、中学の頃からずっと一緒だ」
「え…もしかして」
「お前、穂久のこと好きなのか…?」
「え、えぇぇぇぇぇぇぇ!?!?!?!?!?!?!?」
「は?何言ってんだ?好きなわけないだろ?」
「そ、そうだよね。よかったぁ」
「何言ってんだよ、彼氏とか、そんな次元じゃない。俺には穂久がいればいいだけなんだよ」
「変わってなぁぁぁぁぁい!!!!!!」
「おい…友達が男好きパターンって言ったの冗談のつもりだったんだぞ…」
「ま、まぁいいや。そんなの関係ない。お前の犯行を1から——」
「関係なくはないぞ」
「ん?」
「あの女を殺したのは穂久のためだ」
「えぇぇぇぇ?ぼくぅ?」
「あの女は、穂久に惚れてやがったんだ」
「は!?!?!?」
「響楼がそんなにでかい声出すの初めて聞いたぞ」
「だ、だって、真未さんって… …響楼くんが好きな人でしょ……?」
「ぶははははは!!!!!そうだったのかよ!!!!!!!!」
「響楼のメガネが割れた…!?」
「は…は?え?ん?ん??????」
「落ち着け響楼!落ち着け!いつものお前に戻れ!いつも通りのかっこいいお前に戻れよ!」「お前友達とか言ってたが誤魔化してたのかよ!好きな女って言えばよかったのに恥ずかしかったのか!」
「……だから僕に惚れなかったのか、納得。じゃあ推理に戻ろうか」
「おわぁ!」
「響楼って昔からそうだよなぁ、惚れやすいくせに立ち直るの早すぎんだよ」
「もういいって…はぁ〜このボイスレコーダー後で上司に提出するのか〜」
「響楼くん…元気出して」
「多分穂久にだけは言われたくないと思うぞ」
「もういいって!最初っから説明するよ。まず、僕は1つの動画を昨日の夜鐘樹に送った。な〜んか人影が見えるな〜程度の明るさの動画を」
「あぁそれな、めっちゃ撮るのめっちゃ怖かったわ」
「え?動画?なんのこと?」
「撮るの?は!?あれ作りもんだったのか!?」
「そう、あれは作った。本物の録画を見せるわけにもいかないだろ?だからここでも乱真の出番ってわけだ」
「あれすっごい暗かったんだぞ〜?」
「君は物覚えは悪い方って自分で言っていた。それなのに昨日の夜1回見ただけの記憶で——”21時”頃の”防犯カメラ”の録画と言っていた」
「それがなんだよ」
「しっかり見ていたならわかっていたはず。確かに21時頃なのはそう。画面に出ていたし。ただ——僕は!この動画が!防犯カメラだとは!一言も言っていない!」
「——は!?」
「あの動画に映っていたのはうっすら見える人影と時刻だけ!それなのに『穂久と飯行く約束してたんだけど、あいつ遅刻してたんだよな』——だって!?あれあれ〜おかしいな〜」
「……ぐっ」
「防犯カメラどころか、この動画が”いつ”撮ったかすら言っていない。それなのにその日だとか言っていたね」
「……」
「そのまま静かに僕の推理を聞いていな」
「なんか響楼くんが活き活きしてる…!」
「あのルックスだぞ、あれでモテない方がおかしい——とか思ってるけど、多分あの雰囲気が滲み出てるんだろうな」
「君がこんなことを言ってしまったのはきっとこの動画に見覚えが——動画っていうよりかはこの場所に、かな。あ、穂久も見る?」
「う、うん………………あ、ここもしかして」
「地元民にはやっぱりわかるのか、調査に行った時に聞き込みして良かったよ〜」
「……なぁ、それ、いつの話だ?」
「2週間前」
「2しゅっ!?おまえそれこの旅行誘ってきたのとほとんどおんなじ時期じゃねぇか!」
「あぁそうだよ?防犯カメラの録画全部もらったって言ったでしょ?それ見ながら考えてたら意外と時間かかってさ、あとはレプリカ動画撮るだけになったから旅行行こ!って言ったんだよね」
「お前……どんだけ……」
「……んん?なぁ、響楼、これ俺が写ってるやつだよな?」
「——そうだけど?」
「……こんな暗いとこで撮ってたのか」
「ま〜時間も時間だったしね」
「そんなもんか」
「……な、なぁ、俺自分で言ったよな、女を殺したって」
「うん?あぁ、そうだね言ってたね」
「じゃあ、もう終わりだろ。俺を捕まえないのか?」
「あぁ!そうだぞ響楼。こいつ自分で言いやがった!」
「響、響楼くん!しょ、しょうちゃんは、悪い人じゃないよ…?」
「うるせぇよ穂久!俺は悪いやつなんだよ!いいから俺を逮捕しろよ!」
「あぁ、僕の仕事は悪いやつを捕まえる仕事。お前は、まぁ、悪いことをしたが、他にもいるな、穂久。いい演技だ」
「え、演技…?なんのこと……?」
「あぁ、僕が警察官だってことを知った時のリアクションは演技じゃなかったな、はは」
「いやそりゃ驚くでしょ…」
「一緒の布団で寝るのはちょっと勘弁して欲しかったけどな…」
「冗談って言った……って、え?なんで響楼君がそれ知ってるの?」
「お、まじだったのか。なかなか僕の頭も冴えてるね」
「冗談やめて、なんで知ってんの?」
「おいおい化けの皮剥がれるの早いぞ穂久?」
「おい響楼!お前あんま穂久のことバカにすんなよ!」
「うるせぇな犬、今は響楼のターンだろ」
「たしかご飯食べてる間に僕がスマホずっと触ってるのを気にしてたよね」
「そうだよみんなで話したかったから」
「いやぁさすがだよ、人のことをよくみてる、あ、乱真も誤魔化してくれてありがとうな」
「あのときはとっさの嘘しかつけなかった…」
「スマホみるのは癖じゃなくて、今までのを見返してたんだ」
「見返してた?」
「そう、今までの君たちのメッセージを」
「———は?」
「流石に、ボイスレコーダーずっとつけっぱなしだからってバッテリー0%にはならないでしょ」
「……まぁ、言われてみたら」
「画面共有はさすがにバッテリー喰うよね〜」
「…………くそっ」
「なんで悔しがるんだよ穂久、なんで響楼は穂久になんかなんていうかそんな怖い目してるんだ?」
「静かにしてて乱真」
「なんでだよ!だって鐘樹が犯人なんだろ!?信じたくなかったけどお前からそう聞いたんだぞ!」
「そうだね」
「響楼は鐘樹を、俺は穂久から情報聞くって役目だっただろうがよ!響楼もメッセージみてるならわかるだろ!穂久は悪いことなんてするやつじゃねぇ!なのに、なのに、なんで、なんで!ずっと警察の目をしてんだよ!」
「はは、乱真、必死だな、お前も穂久にやられたか?」
「は?」
「う〜ん、まぁ、否定はしないけど、ちょっと単純すぎるね、今まであんなに仲良くしてたんだから男好きになるなら僕だよね」
「お前何言っ……あ」
「これは穂久が言った言葉だね、いや〜同じ人の心理を扱う人間として鮮やかだと思うよ」
「もしかして…鐘樹…お前もか…?」
「いやぁ、鐘樹は無意識的にかな、ずっと一緒にいたみたいだし、こんな車の中だけなのに乱真がこんなになっちゃうんだから」
「な、なぁ、響楼、お、俺、もしかして」
「まぁ、乱真でさえあぁなっちゃったから仕方ないね、あとで聞くよ」
「……まぁそうだね、たしかにメッセージ読み返しても不自然なとこはないね」
「そうなんだよねぇ、僕、なんか変なミスしたかなぁ」
「へぇ、それが素なのか」
「僕なんか言っちゃったかなぁ」
「いろいろ言って欲しかったけどね、『お腹刺されてたんだね』とか言って欲しかったね『ふむ…?私はお腹なんて言ってないですけどねぇ』とかしたかったな」
「まぁ、僕してないけどね、わかんないし」
「ま、僕はプロだからね僕にはわかる。変な場所はかなりあったよ『そうだよね、車の中で話してる方が悪いよねぇ聞いてほしいって言ってるようなもんだもんねぇ』こことかもちょっと気になるよね」
「なんでだ?ここ穂久が酔ってただけだろ?」
「まぁ確かに酔ってると言えばまぁいいけど、そのあとが変だ」
「このあとって確か俺と穂久が普通に話してただけだよな」
「そうだよ普通に話してたよ?酔ってたよ?」
「見返してみよ〜う!確かに酔ってるからメッセージがひらがな、これはわかるよ」
「……おぉ、確かに」
「でも不自然に漢字が混ざってる部分があるね『また僕の名前だ』とか『きょうちゃんが話し出したね』とかね」
「……まぁ、漢字使ってるな」
「そう、普通にみたら変じゃない。けど、事件に関連づいている時、と、そうだな相棒のきょうちゃんが下手しないか不安な時に漢字を使っている、本心から思っていること、が隠せてないね」
「おぉ〜、言われてみたら確かにな」
「よくみてるんだね」
「お互い様だよ」
「な、なぁ、響楼、その、お前が警察官ってのは知ってたがよ、警察ってなんかもうちょっとこう…」
「言いたいことはわかるよ鐘樹。証拠が弱いって思ってるんでしょ?」
「あ、あぁ」
「まぁ待ってて。あ、あとあそこだね『でもあそこカメラなかったはずなんだけどなぁ』これはちゃんとヘマしたかな?」
「あぁ〜〜〜〜〜〜」
「なんで隣で話してた俺は気付けてないのにお前は気付けるんだよ…」
「バカじゃないから」
「こいつ隙あらば見下しやがって…」
「へ〜、じゃあ、僕のこともそう思ってるのかな?」
「いいや全く、あとあそこだね、『死体バーン!って写ってたりとかしたら嫌だから俺はパス』
『見えないはずだよ〜』『バカにしやがって〜ま、そうか暗いって言ってたもんな』
『あ、そ、そっか。そうだよね暗いもん。見えないか』
ここはわかりやすすぎるね、わかりやすすぎる。こんなの探偵もいらない」
「おお」
「なんでこんなのしちゃったかなぁ」
「僕は大学で少しの間だったけど君のことをよくみていたんだよ穂久。君の頭の良さを知ってるからこそ、びっくりしたんだ。なんでこんなミスをするのか、って。自然に返そうとしすぎたあまりかえって不自然になっちゃったかな」
「いや待てよ響楼、そんなの俺でも言うと思うぞ」
「い〜や言わないよ、鐘樹。だって君は本当の動画を見てないんだから」
「……は?昨日送ってきたあの動画は?今日運転中に見せてきたあの動画は?」
「いや言ったじゃん、乱真と撮ったレプリカだって」
「—————は!?!?」
「……なんで穂久がびっくりするんだ?」
「おばかさんな乱真君のために僕が説明してあげよう」
「………………………聞いてやるよ」
「この場所に着いてから穂久と乱真に見せたのは本物の動画、録画。ちゃんとカメラで撮った、犯行現場の録画だ。けど、鐘樹に見せた動画は違う。アングルが違う、視点が違うんだよ」
「見せてくれよ鐘樹に見せてた動画」
「———へぇ、本当だ、ちょうど真反対の見え方だね、ちゃんと全身が写ってる、カメラが隠れようとしてない」
「そう、ありえないんだよ、『見えないはずだよ〜』って言うなんて。じゃあなんで言ったか?写ってた場所に見覚えがあったからだろうね」
「はぁ〜、すごいね、警察って。この動画を撮るって決めた頃にはもうこの展開がわかってたってことでしょおぉ?」
「まぁね、じゃ、◯月◯日15時40分、宮崎穂久、君を逮捕する」
「以上が、音声記録のすべてです」
「検察、下がって」
「弁護人、弁護は」
「ありません」
「……くそっ」
「では、被告人、宮崎穂久、20年の懲役を下す」
「……はい」
「では、被告人、退出して」
「はい」
「では、被告人、工藤響楼、前へ」
「はい〜」
「被告人の罪状は、市民を守る立場の警察官でありながら、法を犯した悪質性のある、建造物侵入罪、ストーカー行為罪、 地方公務員法違反、迷惑防止条例違反の計4つ」
「え〜、でも裁判長?僕が置いてたカメラのおかげで犯人捕まえられたんですよ〜?」
「被告人、静粛に。検察、前へ」
「はい。被告人は、警察の立場でありながら、その内部データをも使用し、長尾真未さんの住所、通勤道、学校をも特定し、至る所にカメラを設置、総カメラ数は延べ30個に及びます」
「被告人、なにかありますか」
「もっとありますよ」
「はい?」
「穂久は犯人じゃありません」
証明できますか?




