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マスター、動く?

 プラウダからの帰り道でレナさんと僕はマスターの涙についてしばらく話した。

「涙を流すような話ではなかったのにどうしたのかしらね?」

「何か関連したことを思い出したんだろうけど気になるね。

「芭蕉時代のこと?でも泣くようなことなら実際にマスターが感じる今のことよね。」

「何かの記憶に触れたのかな。悲しい記憶なのか、懐かしさからならまだいいと思うけど。」

憶測を膨らませながら二人は手を繋いで帰途についた。


 一方で、プラウダではマスターは少し呆然としながら食器類を洗っていた。そして乾燥機にかけると、店の奥から古書のような冊子を持ち出してきた。店のカウンターの隅に置いた事務机の上にそれを置き、そしてロシアンティーを入れると一口すすりながらその冊子に向かって椅子に座った。

 「また紐解きたくなってしまったな。さて、今なら何かわかるだろうか。」マスターは呟くとその冊子をめくって読み始めた。


 それはまだマスターがプラウダを開く前の話だ。マスターは古書店をよく回る趣味があり興味の赴くままにさまざまな本を買っていた。マスターは文学部を卒業すると地方の高校を転々として教鞭を何ヶ所かでとり、今のプラウダに落ち着いた。その勤務地でも本屋通いをしていた。地方の古書店は面白い品揃えの店もあった。中には自分の創作のような本をコミケのように置く店もあった。そんな中、手に取ったものに奥の細道の後の芭蕉のことを書いたものがあったのだ。

芭蕉にはマスターは以前から興味があり、読んでみると芭蕉のことが生き生きと書かれていた。まるで見てきたことのように。。。

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