レナさん旅立つ
翌朝、目覚めるとレナさんがいなかった。
ダイニングに行くとメモがあり、しばらく四国に行くとのこと、まずは松山とあった。
仕事、連絡はネットでって、ほんと、デジタルノマドだ。
でも、松山って、俳句繋がりか?松山で俳句甲子園なんてやっていたのをテレビで見たが。
会社に行くと別部署の木村がきて、
「お前、三咲先輩とまるで別居みたいじゃないか?大丈夫か?さっき松山から会議に入ったぞ。」と心配半分、からかい半分で言われる。
さすがに俳句の話はしづらいので、坊ちゃん温泉に入りに行ったと言っておく。でもしばらく淋しいなあ。
今日の雲行きは秋雨前線の影響で雨模様。プラウダに寄ることにする。
マスターに話すとニコニコしながら
「そうですか。益々、愛川さんにとってのショ-シャ夫人ですね。帰ってくるまで待つんですね。」
僕は「魔の山」を読み進めていて益々主人公ハンスの女性への対応に呆れていたので少々ムッとして
「いやいや、決してハンスにはなりません。今は、すぐに連絡取れるんですから。」と開き直ってみせた。
マスタ-にロシアンティーを頼むと僕は読書灯の下、魔の山を読もうとしたが、ふと本を変えることにする。
家にあった「坂の上の雲」だ。さっそく、読み始めるとロシアンティーを持ってきたマスターが驚いた顔で
「司馬遼太郎ですか?意外ですが今の状況だと頷けます。」と言う。僕は理解できず、
「え?何でですか?」
と言うとマスターは更に驚き、
「愛川さんが進んで選んだのではないんですか?じゃあレナさんが?」
「え!?家のダイニングに共同で用意した本棚があって暇な時に気軽に読める本を僕達は共有してるんです。たまたまそこにあった本で。」
マスターはまたもニコニコして、
「いやあレナさんは全く面白い人ですね。愛川さんが羨ましい。大事にすべきですよ。」
といってカウンターに戻って行った。
僕はあまり司馬遼太郎は読まないが、この作品は聞いたことあるので手に取った。日露戦争時代の話だったと思うけど。
読み始めてあっという間に作品の中に引き込まれてしまう。なるほど、マスターの言いようが少しわかった。主人公が松山出身、更に正岡子規まで出てくる。レナさんの四国行きと関係あるのか?
この話のエピソードゼロと言うべき短編も公開してます。是非合わせてご覧ください!
https://kakuyomu.jp/works/822139839468919310/episodes/822139839469043866




