三咲先輩現る
三咲先輩が来るのは、稀で、最近は大抵は僕を迎えに来る時だ。
「今日はどうしたの?」
「ボルシチが食べたくなったの。で、さっきの話は何?」
「いや、大したことないんだよ。推理遊びさ。」
先の出来事を手短かに伝える。
「ふ-ん、新聞。さっきまでいたのね。天気、というか外を見て出ていった。なるほど。マスターの推理はいい線かも。今日の新聞の朝刊。マスター、新聞ある?」
「ありますよ、同じものが。」と出してくれる。
この新聞をよく読んで、それからさっき出て行った。ふ-ん。」
三咲先輩は微笑んでというか多少ニヤニヤしながら新聞を置く。
「わかった。その人は友人の俳句を見て、その場所に行ってみたくなった。相手に知られないように。」
「?、なんで?」と僕が言うと、
「だってわかるよ。この流れなら。」
「だから、なんで?」
「私の知り合いっぽいから。」
「え?」
「恐らくさおりちゃんじゃないかな。私の俳句仲間。」
「俳句仲間?」
「そう、時たまやっているの。今朝の新聞の文芸欄を見て。」
僕が文芸欄を見ると三咲先輩はある句を指さした。
燃ゆるのはロシアンティーか初紅葉 玲奈
いい句なのかどうか僕にはわからなかったが、名前が?
「この玲奈って?」
「私よ。」
「でも玲奈さんのレナは麗しいのはれいでは?」
「あら?ちゃんと知っているのね。これは雅号。でも愛川君からレナさんって呼ばれるっていいわ。これからはそうして。」
「?」さり気なく言われたがこれは文句?
「じゃあ俺も愛川くんでなく、」
「スグルさん、でいいかしら?」
「え?ああ。それがいいな。。」戸惑いながら答えると、レナさんはニコニコして
「じゃあそういうことで。」と言うと、マスターを呼びメニューを求めた。
マスターが、彼も妙にニコニコしながらメニューを持って来ると、僕たちはやはり食事して帰ることに。
その夜、僕たちはもちろんボルシチを食べて帰った。そして帰り道でレナさんから俳句について正しいのかどうかわからない講義をたっぷりと受けた。




