奇妙な客
雨の夕方は、雨宿りのような客も入ってくる。この日もそんな客にその人は見えたのだ。彼女は紺のレインコ-トを着て脇の下に新聞を挟んでいた。レインコ-トを脱ぎ、隣の椅子にそれをかけるとマスターに珈琲を注文し、新聞を開いて読み始めた。マスターは珈琲と共に読書灯を持っていき彼女はにっこり笑ってそれを受け取り使い始めた。
しかし、こんな夕方に新聞をあんなに没頭して読む人も珍しい。夕刊でもなさそうだ。何を読んでるんだろうと少し気になった。
そしておもむろに彼女が取り出したのは、縦長の便箋のような冊子?ノ-ト?
その人はその冊子に何やら書き込んでいたが、しばらくして、外を一寸眺めるとハッとしたように急いで出ていった。
「あれは俳句帳みたいでしたね。」とマスターはその客のテ-ブルの片付けをして、僕の脇を過ぎるときに教えてくれる。「何やら景色を探してこの辺りに来た方なのかもしれません。この先の川があるでしょ?その先にはスカイツリーが臨める場所があります。夕映えが入り建物のライトアップも入る独特な風景が見えるらしいです。俳句やられる方が興味持ちそうな感じですが。」
「なるほど、でも新聞を読んでたのは?」
「まあいろいろ考えられますが、おそらくですが文芸欄かと思います。投稿しているのか、知り合いの句を探していたのか。」
「なるほど、そうだと面白いですね。流石です。」
「いや、こんなの推理でないです。単なる想像です。愛川さんがなんか見ているので最初あの方に気があるのかと思いましたが。」
「まさか、そんなの三咲先輩に言わないでくださいね。」
「何をかしら?」
なんとドアに三咲先輩が。。
「いらっしゃいませ、レナ様」
「こんにちは、マスター。」
何故かマスターは妻をファ-ストネ-ムで呼ぶ。僕は呼んでないのに。
この話のエピソードゼロと言うべき短編も公開してます。是非合わせてご覧ください!
https://kakuyomu.jp/works/822139839468919310/episodes/822139839469043866




