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ゲコ面ライター ビチンタ  作者: チャウチャウ坂
13/31

13話

2人はナンヤカンヤで200階層に来た。

階段が溶けた?残念ながらあれはGALが口出汁にブラフをかけたのです。

敵を欺くなら味方からだもの。


「嘘つきは泥棒の始まりだぞ。」


「君がマッチングマッチを泥棒してたけどね。」


「それもそうだ。」


「……(チョロい)」


200階層は成人式が行われていた。

偉いだけで暇を持て余した人の祝いの言葉が10人ばかし続く。


「お祝いでかける言葉が長いってどうなのよ。」


「しょうがないよ。聞かなきゃいけないっていうお呪いをかけらてんだ。」


「振袖っていいねぇ。」


「着たいな。」


よく見たらどの振袖も同じ柄で同じ色だった。


「軍隊かな。」


「軍人が振袖着るか?」


話を聞いていたのは紅や白いカモメだった。卵から成人したらしい。


話をしていたのはダチョウだった。何でも1番頭が悪いらしい。


……そして振袖に見えたものは、カモメに密着した背中合わせのペリカンだった。


クチバシの下側ののど袋を伸ばして袖を形作っている。


「成人式という鳥かごの中に来たみたいだ。」


「流石に鳥とは話せないねぇ。どうやって上に行こうかぁ?階段らしいものを見つけたかい?」


辺りを見回してもカモメが記念品のカモメの卵をコウノトリに貰う姿しか見られなかった。


成人式は冬の行事だ。寒さの中でわざわざ役所に集まり終わった後も記念撮影をしているのが通例だ。賢い携帯電話を使ってバカが自撮りしている。


血のピラミッドでも成人式は寒さの中で行われていた。下の階層が氷一面だったのだから。天然の床冷房。昔の冷蔵庫そっくりの構造だ。


だが、GALと口出汁の来た後の201階層は無くなってしまった。氷がというより、冷たさに溢れた正義が溶けたのだ。


元々この世界に正義など無いので大した影響は及ぼさないが、200階層が暑くなるという仕事をした!


成人式には生温かさがあった。例えるなら九州。特に福岡のような。


成人式のカモメたちはどんどんと大騒ぎを始めた。

カモメの大騒ぎは、遠足で海沿いの公園に来たときにお弁当を取られた人たちには、苦い思い出として記憶されてるであろう。


ただし、カモメが盗み取ったのは、祝い酒だった。

日本酒の入った樽にカモメが群がる。


鏡開きをその頭で行いたかったダチョウはストレスで脱腸した。


カモメ達は絢爛豪華な様相となった。

といってもカモメからクジャクになっただけだったが。


クジャクたちは求愛する対象もいないのにずーっと羽を広げていた。

タチが悪いのは羽と羽がぶつかると、肩がぶつかったヤンキーよろしく喧嘩を始めるのだ。


クジャクのメスは髪を金色に染めており、クジャク同士で喧嘩は続く。現場はパニックになった。


「階段はぁ!階段はどこですかぁ!」

GALが話をしようと試みる、その手中にいる口出汁は喧嘩を盛り上げるガヤを発していた。


もちろん、クジャクたちは取り合う様子が無かった。カモメの時に無理だったのに、不良クジャクになった今、話の通じなさは酷くなるばかりだった。


残されたペリカンの振袖は自分達が用済みとなって捨てられたことに怒り心頭だった。黄色いクチバシがピンクになるほどに。


ペリカン達はせめてダチョウに着てもらおうと思ったが、バカなので同じ鳥同士でも意思疎通出来なかった。


ペリカンは次にコウノトリに着てもらおうとした。

コウノトリは“産婆のサンバ”を舞いながら自分達の階層に帰っていった。200階層に腐るほどいるヤンキーに、コンドームの大切さを熱く提唱するサンバだった。


振袖ペリカン達は怒りで編隊を始めた。


「軍隊かな?」


「あれは軍隊だ。」


GALと口出汁が見上げるとペリカンの編隊は、天井を覆い尽くした。

その名を『ペリ艦隊〈十二単〉』という。艦隊なのに一隻しか無かった。


ペリ艦隊の砲弾は役所のホールの天井に引っかかっている、ママさんバレーのボールをもとに飛ばして来ている。


クジャクたちはどんどんとドンドンと倒されていった。

元々喧嘩で消耗した後だったので、簡単にのされていった。


GALはダチョウに乗ってダチョウの脱腸した腸をロープにしてペリ艦隊に絡ませて、手繰り寄せてペリ艦隊の甲板に飛び乗った。


ペリ艦隊にはリーダーらしきペリカンが待ち構えていた。


「コンニチハ。ワタシハペリ。インコデス。」


ペリはGALを出迎えた。


GALは話せる相手に会えたのですぐに本題を切り出した。


「上に続く階段はありませんか?教えて頂きたいです。」


「……羽オリナサイ」


「何て?」


「羽オリナサイ!」


ペリ艦隊は姿を船から歪ませてGALとペリの話すスペースはそのままにドーム状に囲んできた。


「無理です。このサイズの十二単を着たら潰されてしまいます。」


「羽オリナサイ!」


GALはマッチングマッチをペリに向けて擦り付けた。

柔らかいフキダシから仕立て屋が出てきた。


それは特に恩などないツルだった。

ツルは一声でペリ艦隊を整列させた。ペリカンよりも階級が上らしい。


鬼軍曹らしいツルはそのままペリカンの羽一枚一枚をむしって行き、そのまま十二単を折り直して去っていった。


ペリがGALに十二単を着させてくれた。


ペリ艦隊の全員が誇らしそうに見ていた。


ペリ艦隊は口出汁を回収すると、そのまま199階層に来航した。

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