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ゲコ面ライター ビチンタ  作者: チャウチャウ坂
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12話

エレベーターは滑らかに扉を閉じた。

ボタンが壁にびっしりと。疲れた時に寄っかかるところの、どこかしこにもボタンがあった。

気を引き締めて乗らないといけない。


一行は人間ではないので、乱雑に向こう水に乗った。


「……」

エレベータージェントルマンはエレベーターに入ってから、何もしなかった。


「Rって何?」


「……」

エレベータージェントルマンはエレベーターに入ってから一言も発さなかった。


「Rが屋上までってことだよ。」

ウヌマーはそう言いながらRボタンを押した。


「でもさ。構造的に屋上ってあるの?」


「頂点はあるけど屋上は無くない?」


口出汁とGALの疑問にウヌマーはエレベータージェントルマンを見たが街で見かける信楽焼と同じくらい完璧に静止していた。


「これで、僕たちの冒険も終わりか。」


「そうだね。お疲れ様。」


「あっけない。実にあっけない。」


エレベーターは順調に上がる。体は下がってると錯覚を起こすほど順調に。

こんなアナウンスが流れてきた。


〈マァジ卍。仏の顔はサンドイッチ。身体はホットケーキ。金粉マシマシで。〉


「?」


「」?


??「」??


71階層で止まった。

アナウンスが続く。

〈酸帯寺【サワーオブテラー】へようこそ。〉


寺の僧は呪われた像のようだった。口がカッと開いたままなのにアホっぽい雰囲気は無く、寧ろ迫力満点だった。



「私は波浪ティキ。波を司る木像。ハワイよりグアム派。」


波浪ティキの記憶を食べようと腹ペコのウヌマーは飛び出した。

波浪ティキの目が怪しく光る。


「あいつ!何かしてくるな。おーいこれを使え!」

口出汁は亠を水鉄砲でウヌマーに飛ばした。


ウヌマーは波浪ティキの目を覆ったが、それは何の意味も無かった。

2人の後ろに広がる境内から大量の黄緑色の液体が流れてきた。大きな波は波浪ティキに操られて、エレベーターを襲った。


エレベーターは支えを溶かされて急降下した。71階層にウヌマーと亠を残して。


そのままエレベーターは201階層にまで戻ってきた。


「あっけない。実にあっけない。」


「あはは。似てるね。」

口出汁とGALは冷静そのものだった。防衛本能のための現実逃避などでは無い。


201階層でドアが開いた。


「君たち。大丈夫なのかい?」

エレベータージェントルマンでさえ、今の出来事に衝撃を受けて固まっているのにだ。


「大丈夫なのかい?」


「大丈夫なのかな?」


ウヌマーが居なくなってこの2人の適当さ加減はいい加減になった!


201階層。一面が氷だけだった。

氷像は皆、見覚えのある戦犯ばかりだった。


“justice”201階層は正義の階層だった。


「俺たちは階段で上がるしか無いよな。」


「うん。そうなるねい。」 


「連絡先を。修理出来たら連絡するよ。」

エレベータージェントルマンを後にした。


2人は冷たさに溢れた正義の道を歩んでいく。

氷像の中には花があったり。おもちゃがあったり。アフタヌーンティーのセットがあったり。


GALはガラケーで写真を撮りまくった。


GALは氷に触ろうとした。


「私に触らないで!正義に触れると冷たくて冷たくて。段々と感覚が無くなるの。そして最後には氷像の仲間になる。氷中にあるのは元の私たちの想い出。」

GALの触ろうとした氷像の中のガラケーから電話で伝えてきた。



イライラ棒のように避けながら広場に出た。

甲冑やトーガの姿の女神的な者たちから、同じような軍服姿、そして最後にあったのは細くて目のようなもの左上に付いている板だった。

それらは会議室のような所に座らせられていた。


「君たちは、どうしてここに来た。」


GALと氷の膜を張り始めた口出汁が振り向くとそこにはアイスピックチャーと書かれたカメラを持った映画監督がいた。


「君たちは…最後のシーンのはず。どうして……」


映画監督は凍ったヒゲをパキパキ折って床にばら撒きながらこちらを覗く。


「僕たちは階段を探しているのです。」


「ふーん。私はキューブロック監督。アイスの世界で映画を撮ってる。」


「階段は?」


「階段か。どうして上に行きたい?」


「寒いから。」


「『寒い』?ここのエキストラではないのか?何故ここに?」


「早くしてくれ!凍ったらもう喋れなくなる!」

口出汁は2人の会話に口出しした。


「チンパンジーか。それなら“巨大な硯を触って書道パフォーマンスを始める”シーンがいいな。」


口出汁は最後の力を振り絞ると、GALからマッチングマッチをひったくって自分に擦り付けた。


正義に夏休みが来た。


201階層の氷像はどんどんと無慈悲に溶けていく。いや、慈悲に満ち溢れた災いなのかもしれない。氷像は、まるで涙を流しているようだった。


キューブロック監督は大興奮でその姿を撮影しようとしたが、カメラが溶けていた。


キューブロック監督は映画のタイトルを決めた。

『正義〜水と`水みずダッシュと氷〜』


「やったー。動きづらかたぁ!」

口出汁は発声練習をして、GALに持ってもらった。


「あのさ。あのー201階層の階段も氷で出来てるよね。just ice(氷だけ)だから。」

「これさ。階段溶けてるよね。」


2人の旅は始まったばかりだ。

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