10話
ステンドガラスからの光でパソコンのブルーライトの怪しい光に包まれた202階層は包まれた。
外の光は色味を含む。差し込む光を浴びてスライム達は彩りを手にした。
「スライムの様子がおかしいぞ?」
「青にピンクにオレンジ、グリーンも。おおー店でよくある奴になったな。」
ウヌマーは何となくスライムを手に取ってみた。
かじろうとしたが、やっぱりやめておくことにした。
「色だ!色ダァ!見てくれ皆!」
「やったね。皆!よかったね!」
「嬉しい!奇跡だ!奇跡が起きた。」
磔にされたパンのミミックにスライム達は擦り寄って感謝した。
スライムのせいでパンのミミックはベチャベチャにされた。
「今なら僕たちの世界は1つになれるよ。」
「今まで、僕たちは、白、茶、黄色ごとに別れて戦争していたけど、終わったんだ!」
「いや、ここからまた同じ色ごとに別れて戦おう?」
口出汁たちはどうでも良いので早くエレベーターに乗りたかった、しかし、世界は1つになり始めた。
「世界は1つ、幸せも1つ。……皆んなで繋がろう?」
どんどんと繋がるスライム達は混ざるとドス黒くなる。その濃さは増していき、ステンドガラスの色のある光もどんどん届かなくなっていった。
奇跡はすぐに無意味となった。人類は奇跡を無下にする天才なのだ。たとえスライムに姿を変えても。
押しピンスライムのその金色の姿は王冠となってドス黒い、そして巨大なスライムの頭に座した。
キングスライムが誕生した。
「おーう。これが国民主権てやつ?」
口出汁はスライムの黒色に宿る悪意を感じた。
「キミたちも繋がろう?溶け合おう?世界は1つ。僕も1つ。僕は世界!」
押しピンスライムの王冠から発射する画鋲で動きを止めて、黒色のスライムが飲み込むという恐ろしい化け物が襲いかかってきた!
「一旦さ、外に出ない?」
「出てどうする?あのスライムが扉を固定したら再入場しづらくなる。」
ウヌマーは壁や床に刺さる画鋲を手に取り投げたが、効果はなかった。
「そっか〜全滅か。」
口出汁は絶望した。
「でもさ、君は1つだけどさ、友達はゼロだよね。」
GALは淡々と事実を述べた。
「事実陳列罪だ!この者を捕らえよ!」
キングスライムが指のような形を作ってGALに向けたが、部下は居なかった。
「さてと、1つになったなら一回倒せば良いだけだ。」
GALは梅の枝を取り出した。
「それは…伝説の!〈マッチングマッチ〉!」
エレベータージェントルマンは興奮した目つきでGALの手に持つ梅の枝が後で貰えないかホクホクしていた。
キングスライムの体にマッチングマッチが擦り付けられる。
温かいフキダシが出てくる。
「S幸せのために、Dできることを、G頑張ろう、sさぁみんなで」
が出てきた。
「これは……?」
「世界平和RTAの標語みたいな奴だ!」
キングスライムが愛おしそうにフキダシを撫でた。
「これが出てきて何だ?おい?」
「おい!勝てるんだよな?今回のは絶対役に立ちそうにないぜ。」
口出汁が口出ししてきた。
「吐き気が」
GALはゲロを“幸せの標語”にぶっかけた。
ゲロの酸で標語が溶けた。
「SそんなことDできたらGゴイゴイスーのsスーなど要らない」
「どうなっている?何だこれは?」
「実は世界滅亡RTAの標語だったのさ。」
「つまり……2030に世界は終わる!これが私が見た未来!」
「ま、まさか!……そんな!」
キングスライムは必死にカレンダーを探した。
「何でアイツはあんなに慌てているんだ?」
口出汁がGALに駆け寄った。
「アイツが言ったんだ『自分は世界』だってね。」
「つまりどゆことよ?」
「つまり、〈マッチングマッチ〉の能力で現れる[擦り付けた対象が幸せになる物]の正体が、実は予期せぬ[擦り付けた対象を殺すものだった]ってことだね。」
エレベータージェントルマンは解説してくれた。
「ほら。一本欲しそうだったから。」
「ありがとう!いやーコレクションに良いのが加わった!」
「ぐっ!どこだぁ?どこなんだぁ!」
キングスライムはパソコンから日時を確認した。
2025とあった。
「まだまだ先だぞ!悔しいが5年の間にお前を飲み込んで対処して見せる!」
ウヌマーが本体設定を弄って2029の大晦日にした。
「ユクトシクルトシ!」
GALの呪文でキングスライムの体が崩れ去って行った。
「じゃあ、ダイアングメッセージをどうぞ」
「今年もよろしくお願いします!」
キングスライムは消滅した。
「思えば白と茶色と黄色の三色だけで混ざっていたらどうなっていたんだ。」
口出汁は何気無く訊いた。
「調べるな色相環でな。」
ウヌマーはパソコンで調べてみた。
「すごいな。“肌色”になるよ。」




