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稽古停止、しかし・・・ 17

 そんな様子を冷静に見つめていた人物がいた。


「颯玄・・・」


 そのつぶやきの主は祖父の道場で学ぶ外間だった。真栄田と同じくらいの実力者で、祖父からの信任も厚い。稽古停止1ヵ月を言い渡された颯玄の様子をそれとなく見ているようにという祖父の命を受けていたが、掛け試しの場に颯玄が出るらしいという噂を聞き、確認に来ていたのだ。


 今回のことについて、祖父は一切知らない。外間が偶然耳にしたことから確認に来ていたので、報告すれば祖父が知ることになる。外間は颯玄が一時、空手の稽古から逃げたこと、その上で再入門を許されたこと、稽古停止になった事情まで知っている。だからもし今回のことを報告すれば今度は本当に破門になるかもしれない、という心配が心のほとんどを占めていた。一人の若者の未来を、祖父からの命を受けていたとしても、告げ口のような感じで閉ざしても良いのか、といったことを考えていた。


 ならばまず、颯玄と話をしようと思い、1歩前に出た。


 しかし、その手を掴まれた。


 外間は突然のことに驚き、掴んだ相手を見た。すると、さらに驚いた。なんと、颯玄と同じくらいの年頃の女性だったのだ。


「あんた、颯玄の知り合い?」


「知り合いといえば知り合いだが、お前は颯玄の友達か?」


「そうじゃないけど、掛け試しの話を聞いて見に来た。オレは強い男に興味がある。掛け試しで連勝していた湖城を破った奴がいると聞いて、興味が湧いたんだ」


 外間は女ながら男のような話し方をする女性の顔を見た。


「・・・」


 外間は言葉を選んでいた。


「オレは強いと言われている何人かの男と戦ったが、いずれも評判だけだった。湖城は本物かと思い、近い内に挑戦しようかと思っていたら、負けたと聞いた。ならば勝ったのはどんな奴かと思って興味が湧いて、今日来た。戦いを見て、確かに強いと思った。オレの結婚相手は強い男でなければならないと思っている。もしお前が颯玄を知っているなら、話を付けてくれないか?」


 予想外の言葉に外間はさらに驚いた。そして少し呆れたような顔で言った。


「そうか。・・・でも、颯玄が戦う相手は男だ。女とは戦わない。考えてもみろ。男と女はそもそも体力的な違いがある。確かに女としては鍛えているように思うが、空手、武術はどうしても男の方が有利だ。武器を持って戦うというなら別だが。そういう戦いを考えているのか?」


「馬鹿にするな。そんなことは考えていない。あくまでも公平な戦いだ。武器などは持たん」


 女は語気を荒げて言った。



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