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稽古停止、しかし・・・ 2

 その話を聞いた時、颯玄は顔を上げ、上原を見た。


「お前も空手を稽古していたんだ。知らなかったよ。先生は誰?」


「本部先生だ」


 祖父の下で稽古している時、その名前は聞いたことがある。


「有名な先生だよな。組手はやっている? 俺の先生、祖父なんだけどまだやらせてもらえない。基本や形の繰り返しだ。約束組手まではやっているけど、自由組手は許しが出ていない。だから自分がどれくらい強くなっているのかを確かめたくて、先輩と勝手に組手をやったんだ。でも、許しが出ない内にやったので1ヵ月の稽古停止になった。ただ、自分の実力を確認したかっただけなんだけど・・・」


 そう言うと、颯玄はまた目を伏せた。


「俺の先生は割と積極的に組手を推奨している。だから俺もそれなりに経験した。もしお前が良ければ、これから俺とやらないか?」


「いやいや、俺は先生からまだまだって言われているんで・・・」


 上原の申し出を嬉しく思いつつも、颯玄は祖父の言い付けを守ろうとしている。だが、心は揺らいでいる。そういう颯玄の心情を上原は見抜いたのが、再度2人だけの稽古を申し出た。


「今、お前の道場で話しているわけじゃない。俺が言っているのは自主的な稽古であって、それがたまたま組手だったというわけだ。誰か見ているわけじゃないし、やろうよ」


 上原は積極的に誘ってきた。いつもは同じ道場で顔を合わせている相手との組手ばかりなので、他で教わっている相手と組手ができるなら、という興味もあったのだ。


 颯玄は上原の言葉に気持ちが傾き、その話を自分に対する言い訳として申し出を受けることにした。


「じゃあ、近くに空き地があるから、そこで良いか?」


 上原はやる気満々で場所を指定した。颯玄もそれを承知した。


 そこは立ち話をしているところから10分ほどのところにある。草が茂っているが、颯玄は空手を武術として考えているので、どんな場所でも戦えなくてはと考えていたので、逆に上原にここで良いのかと確認した。誘った側なので上原はもちろん了承した。


 あくまでも喧嘩ではなく、稽古という趣旨なので、互いに負けたと思ったら素直に認める、ということを最初に約束した。本当は急所への攻撃などについても約束すべきなのだろうが、そこまでは頭が回らなかった。



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