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稽古再開 12

「形の稽古に入る前、いろいろ説明してくれたよね。でも昨日はやり方は教えてくれたけれど、それ以上の説明はなかった。だから今、自分がやっていることで良いのかどうかの疑問が出てきた。最初の頃はそういう思いばかりだった。もちろん、自分で考えても答えは出てこないけれど、そうなると今度は同じことの繰り返しばかりを何度も繰り返したので身体の疲れを感じるようになった。たぶん、そういう時の動きは悪くなっていたと思う」


「そうだな。ある時から動作がいい加減になってきた。気持ちが動作となって現れた時だ」


「外から見ていても分かるんだ。ごまかしは効かないね」


「うむ、武術は決まった動きをやっていれば良い、ということではない。感じることが大切だ。この感じるということも教わったらできるわけではない。天性の感性が必要になる。わしはこれまでお前の様子をつぶさに見てきたつもりだ。だから、その感性がどれほどのものかをただ立つだけ、あるいは形に入る前の初動作で様子を見た。立つことだけで実は大変なことだと感じただろう。だからその時のことについて少し説明した。そして初動作の場合、もっと意識しなければならないことがある。1日にたくさん話しても複雑になりすぎて混乱するだろうから、昨日はお前も何かを感じたのでは、と思ったところで終わりにした。今は説明しないが、これから教える形についてはそういう感性で感じたことを基にして自分で考えてみなさい。何度も同じ動きを行なうことで昨日と同じように何かを感じるはずだ。だから、今日からの稽古ではあまり細かなことは言わない。しかし、言わない分、実はたくさんのことを感じなければならない、ということを頭に入れて稽古しなさい」


 祖父はまだ颯玄に細かな話をしても理解できないことは分かっていたが、これまでの稽古を見ていて内に秘める感性という能力に期待しようと思っていた。


 この日から、きちんと形を学ぶことになるが、鍛錬や基本と合わせ、颯玄はますます空手家らしくなっていった。



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