第三話・突然の出会い
「ふわぁ~~」
大きいあくびをしながら席につく。
「おいおい隼人....。随分ねむそうだな。」
「ああ、昨日よる遅くまでネトゲやってたんだ。」
「なるほど....お前らしいな」
こいつは、友達?......
まぁ友達とは思いたくないが...。悪友の塩崎遥斗。
気軽にリアルでも話しかけられる存在だ。
「まぁ、睡眠不足は体にワリぃから...。ほどほどにしとけよ~。」
まあ、意外と気のいいやつではあると思っている。
「あと、お前...。」
「ん?なんだ?」
「寝起きの顔...しょーもないA◯の汁◯優みたいだな」
前言撤退だ。しんでくれ
「はぁ~。」
ため息しかついてないな。俺
「なぁ、同じクラスの梅崎明香ちゃん。マジで可愛いよな」
「ああ、わかるわかる、ルックスがアイドル並みで、俺達には手の届きそうにないなぁ....。」
「まぁでも明香ちゃん、めっちゃかわいいけど、クールっていうか...。なんか冷たいよな」
「お前は馬鹿なのか? それがいいんだろうがよぉ。」
「ああいう冷たい瞳の奥には、真の温かみが眠ってるんだぜ」
「は?」
俺はそんな女よりネトゲのほうが好きだな。
俺はやはりネトゲ廃人か...。
「おいおい話をすれば来たぜ。」
俺と明香さんの席は五席くらい離れているので、遠くからそっと明香さんを見てみる。
ネトゲにしか興味のない俺でも、可愛いと思ってしまうくらいの美形だ。
「アイドル目指しても、成功できるんじゃないか?」
そんなこと、想像していると...
ピコン...
メールが来たらしい...
「今日の21時から、ネトゲしない?」
メイからのメールだ。
「いいね。今日はアイテム収集を、」
「貨物の売却ね!」
「いや、アイテム収集」
「貨物の売却ね!」
「はい....。」
半ば強引に誘われはしたが、悪い気はしない。
「今日も張り切ってやりますか。」
となれば、放課後まで睡眠学習といくか....。
やはり俺はネトゲ廃人だ。
「よし...。メイが来るまで、好きなだけアイテム収集してやるぜぇ」
そう小言を言いながらPTA5を起動する。
「チッ、21時までメンテかよ」
さて、どうしたものか。
「とりあえずメイに通話でもかけるか」
♪~
「もしもし?」
「もしもし、メイ...。今電話大丈夫か?」
「うん。全然大丈夫だよ! 珍しいね、そっちから電話かけるの」
「まあな、今日、PTA5が21時までメンテだろ?」
「あ~。そうだったね」
「で、暇だったから、かけたってだけだ。」
「ほんと..はやとってドライだよね~」
「こういう性格だから仕方ないだろう」
「それもそうだね。でもそんな性格じゃ、友達作れてるの?」
「別に友達なんかいなくても、家に帰ればお前とネトゲができるから満足だ」
「童貞め」
「うるさい」
こんな馬鹿な話をできるのも、もうこいつしかいないだろう。
少なくても、こうやって笑いながら話し合えるのは...。
「ところでさ、はやとのクラスに可愛い女の子とかいないの?」
「ん?どんな子?」
「梅崎明香っていう女の子だよ。 ルックスがアイドル並みで、いわゆる高嶺の花ってやつだな。」
まぁ実際...。俺みたいなネトゲ廃人が気軽に話しかけられる存在ではない。
「そういうメイこそ、イケメンなクラスメイトはいないのか?」
「・・・・・」
何分たったかな、一向にメイからメールが届かない。
もしかして、なにか地雷を踏んでしまったのだろうか?
「ごめん、なにか変なこと言っちゃったかな?」
「.....私」
やっとメールが返ってきたかと思うと、
「梅崎明香」
はやとに電流走る。
いきなり何を言い出すかと思えば、メイはあの梅崎明香だと言うのだ。驚くのも仕方ないだろう。
というかそもそも、メイのキャラと、梅崎明香のキャラが正反対すぎる。
メイと言えば、気軽に話しかけてきて元気いっぱいの女の子って感じだが。
梅崎明香と言えば必要最低限の会話しかせず、クールな雰囲気を醸し出しているイケメン美少女。
それがメイだとは思えない。
「おいおい、そんな冗談、面白みもないぜ」
「冗談じゃない...。梅崎明香、年齢16歳、黒板の眼の前の席で、基本的に机で本を読んでいる。
そのほかにもアレがこうで、、、、」
おいおい嘘だろ全部合ってる。
「はやとは誰なの?」
「俺は....」
「私も教えたんだから、あなたも教えてよ」
「俺は、窓際の席の6番目、」
「小日向隼人くんね」
まさかの...ほんとに梅崎明香なのか?
いやまさか、きっとクラスメイトの誰かが、俺は騙しているだけだ。
ピコン
「ん?これは、」
メイの自撮り写真か、......がちで梅崎明香なんだが
まあこれでも、加工や合成を使っているかもしれない。あぶない、騙されるところだった。
「明日、食堂にきてください。 私が梅崎明香なのを証明します。」
「おいおい、一体何がおきてるんだよ...。」
自分に起こっている事が全く理解できない。
「これも、なにかの手違いだろう...。きっと.....うん。きっとな。」