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WAKARE  作者: 佳穏
さよならの予感
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君を忘れはしない4

田鶴子は常連客で花屋のオーナーをしている商店街仲間に声をかけた。



「久美子さん急で悪いんだけど午後のお店をお願いしてもいいかしら」



「かまわないわよ 最近ママ落ち着かない様子だけど何かあった?お店をぬけて一体どこに・・あっ詮索はタブーよね」



「久美ちゃんへたな勘ぐりやお節介はママには御法度だよ」



「厳さんの言う通りそうでした もうなにも聞きません」



「久美子さんごめんね、そうしてもらえると嬉しいわ」



「昨日は万里ちゃんで今日は久美ちゃんか~ママの代わり本当に久美ちゃんで大丈夫なのかい」



「厳さん、わたし昔はフレンチの修行していたのよ、見くびらないでほしいなあ」



「おぉ~それなら楽しみだ フレンチとやらのランチでも作ってもらうとするか」



「久美ちゃん腕をふるってあげて それじゃ後はまかせたわ 宜しくね」




田鶴子は店内のボードから美香の写真を外し急いで自宅に戻っていった。自宅から兄と母の写真を持ち出して向った先は商店街にある昭和の匂いを残した馴染みの写真店。



「こんにちは~、茂ちゃんいないの、茂ちゃ~んお客様ですよ」



「はいよいらっしゃいおぉ誰かと思ったらママか」



「ママかぁ~はないでしょ わたし今日はお客なのよ」



「ママの注文はいつだって今すぐやってくれだけど今日もそうだろ」



「そうなんだけど今日はいつも以上に早く仕上げてほしいの、お願いしますこの通りです」



「仕方ないな~長い付き合いだもんな分かったやっとくよ 1時間位したらまた来てくれ」



「ありがとう茂ちゃん、宜しくお願いします」



「ところでママ今回の仕事も珈琲の無料券付きかい?」



「勿論よ、茂ちゃんがお店に来た時にお渡しします」



「それじゃ1時間といわず超特急で仕上げてやるよ」



「それでこそ職人、茂ちゃん宜しくお願いしますね」



雑貨店を廻りながら時間をつぶした田鶴子は出来上がった写真を手に病院に向った。意識は戻らぬものの美香は集中治療室から個室に移されていた。目の前の物言わぬ美香に田鶴子は真実を語らずには居られなかった。



田鶴子は悲痛な面もちで意識が戻らない美香に語りかけていた。



「美香さん、この世の中に陰のない光だけの人生を送る人なんて居ないわよね わたしは自分の人生にまた一つその陰を落してしまったわ 井川君に真実を隠し通すのも愛だと話したことがあるの でもその一言がひとりの善人を偽善者にしてしまった 井川君を苦しめ美香さんを悲しませる事になろうとは考えもしなかった 個々、人の生きざまは神のみぞ知るなのに私は神を冒涜したも同じ美香さんごめんなさい 井川君は何も悪くないわ 真実を伝えなかったのは私のせいなの許してね美香さん あなたが夢で見たお父さんはもうこの世にはいない、もういない気がすると言った美香さんの予感は当たっていたの私はあなたの叔母でお父さんの妹よ あなたを見舞ったあの時に話すべきだった後悔しているわ 許してね、叔母さんを許して美香ちゃん」



「うっ、うぅ・・・」



「美香さん・・聞こえているの 私がわかる?」










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