出会い2
二軒目は真砂子の彼の兄が経営するお店だった。ロッジ風の造りは1970年代のマカロニウエスタンを彷彿させた。木の香りと温もりが佐知の緊張をほぐしてくれた。十数名の中で知り合いは真砂子と真砂子の彼の二人だけだった。いつものメンバーなのだろう銘銘がプライベートトークを始めた。
「今日も君たちはホテル?」
「まずいでしょう、彼女まだ高校生だろ」
「よしなさいよ、二人には余計なお世話よ 彼女はいつものジンジャエールね、さぁ飲んで飲んで」
隣の子は高校生、確かに肌の具合といい話し方が弾けていた。佐知は危険を察知した子羊のように逃げ場所を探し始めていた。そんなとき背後から声がかかった。
「ねぇ君、ちっとも楽しそうじゃないね」
「・・・・」
心が読まれたこの男はだれ・・
佐知は溢れ出る生唾を飲み込んでいた。
「帰りたいなら帰ってもいいんだよ。遠慮しないでいいからさ」
「お言葉に甘えてお先に失礼します」
店内に流れる音楽と回りの盛り上がりに佐知のさようならの声は揉み消されていた。
「ありがとうございました」
従業員に見送られひとりドアを開けた。外に出ると清清しい空気が胸の奥まで沁みていった。
「疲れた~」
夜空を見上げ目を閉じた。背中に気配を感じ振り向くと言葉を交わした男が立っていた。
「ごめん、ふらふらして倒れそうだったから」
「ただ空を見上げていただけ」
「夜の空って気持ちいいからね」
「えぇ」
「送って行くよ」
「大丈夫ですからお店に戻って」
「いいんだ・・俺も一人だし」
ひとりその言葉に佐知は妙な親近感を覚えた。