心の赴くままに12
「これ以上は・・ごめんなさい わたしまだ・・・」
「俺もそんなつもりじゃ・・ごめん」
「私は女に戻るのが怖いのかもしれない 愛という燃えたぎるあの情熱が喜びと共にどれほどの痛みや悲しみ苦しみを兼ね持っているかをあなたとの出逢いそして別れで知ってしまったから」
「それなら俺も同じ、 同じ痛みを知る者同士なら分かち合える 俺が佐知の痛み悲しみ苦しみを半分引き受けるそして喜びはふたり一緒なら倍にできる」
「目の前にいるあなたはもう昔の雅和じゃない わたし・・ますますあなたのことが・・いやだわ、どうしてこんなとき涙が・・話の途中なのにごめんね」
「我慢しないでいいから思い切り泣けばいい泣くだけ泣いてすっきりしたら俺と秀行先生が好きな君のとびきりの笑顔を見せてくれ」
「泣き顔は見せたくないから泣いている間、わたしを抱きしめていて」
「あぁこうして君の傍にいるから思い切り泣けばいい」
よみがえってくる昔年の思い出に涙するさちを抱きしめる雅和の目にも光るものが見えていた
あとがき
まもなく物語は最終章にはいっていきます。
このWAKAREは佐知と雅和の出会いと別れから物語が始まりました。後に雅和と再会し知り得なかった驚愕な事実を知る佐知。奇跡のような出会いの数々には意味がありました。互いに愛する人とめぐり逢い幸せを掴むものの二人は共に愛する人に先立たれてしまいます。おなじ痛みを持つ二人は互いを気遣い男女を越えた絆を育んでいきます。いつしかふたりの心にまだ残っていた過去の慕情がよみがえります。過酷な人生を乗り越えてきた二人がたどった道の先にみえたものは生きる糧となる本当に大切なかけがえのないもの。終わりがあるから新たな始まりがある。佐知と雅和の幸せ探しの物語は完結した後に始まっていくのだとそんな気持ちで終わりたいと思っています




