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WAKARE  作者: 佳穏
人生の機微
159/192

けじめと決心4

「聞きたいのは井川君のことかしら」



「いいえ彼の事じゃなくて昔ママが言った言葉の真意を聞きたくて」



「わたしが話した言葉?」



「ママは井川君と私に二人は生涯美香さんを背負い生きてゆくことになると言いました その意味を知りたくて、ママわたしに解るように教えて下さい」



「そうね、そんな事を言ったような でも正確に言えば二人はでなく二人でと そこには様々な意味合いも含まれているのだけどそれはいずれわかるわ 私の言葉が気になるってことはその兆候が出ている証拠ね これからの佐知さんいかんでその意味も人生もおのずと変わってくるわ」



「・・・・・  」



「私が言わずとも答えはもうあなたのそばにあるから必ず自分で見つけられるわよ」



「遠くない日に私自身がその意味を知る、分かるって事ですか」



「佐知さんは囚われていたものからやっと解放され抜け出せたわ これからはこれまで見えなかったものがはっきり見えるようになってくるはず 自分の心が鏡に写るかのようにはっきりとね だからあなたは自分と未来を信じて今まで通りおきばりなさい」



「このまま自分を信じ突き進みなさいって事ですね 背中を押して貰えて嬉しいです ありがとうママ」



「わたしが話すこと分かりにくいかもしれないけど聞いてくれる 佐知さん、色を重ね描いたキャンバスをもとの真っ白にまっさらには出来ないわよね でも諦めずその上に色を重ねていったらどうなるかしら、いつか必ず自分が思い描くものに近づけるんじゃないかなって私は思うの そんな人生のキャンバスにこれからも佐知さんでなければ出せない色を重ね続けあなたでなければ描けない絵を完成させて欲しいわ これが私からあなたへのエールよ」



「ママありがとう ママの言うキャンバスに自分だけの納得のいく作品をいつか必ず完成させてみせます」



「そう言ってもらうと嬉しい限りだわ 近くに専門学校ができてこの店にも若い子がくるようになったの だけど最近の子たちってハァ~とか、わかんな~い、なんすかそれ、そんな返答はかりで話かけても会話が成り立たないのよね さっきまでそんな若者たちにため息つく有様だったから佐知さんとこうして話せて嬉しいわ」



「確かにそんな子、最近多いですね」



「佐知さんだけはそうならないように子供をしっかり育てて頂戴ね」



「はい心しておきます」



店を出てアーケードを抜けると寒風が一段と身に応えた。見上げる空には墨枯れした幾重もの黒い筋が雲の切れ間に連なっていた。



「秀和今日は寒かったね ママは暖かい晴れた日が好きだけど人生と同じお天気も思うようにはいかない 秀和にはまだわからないわね 明日は晴れて暖かいといいね 秀和今日は寒いのに連れ出してごめんね バァバとジィジ心配して待ってるから早く帰ろうね」



佐知にはどうしても会いたい大切な人がいた。


それは秀行を生んでくれた実母勤務先の西條病院で上司だったハイミス部長だった


あとがき

物語も終盤に入り完結も目前に近づいてまいりました。引き続き最後まで宜しくお願い致します。


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