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再編 WAKARE  作者: 佳穏
人生の機微
152/165

我が子と歩む未来8

今日は雅和とひとつ屋根の下で過ごす最後の日、佐知は万感の思いで最後の夕べを迎えていた


「今夜は最後の晩でございますからお二人でゆっくりお話し下さいませ 秀和坊ちゃんには私がついておりますから」



「泉さんありがとう でもわたし今日は早く休みます」



「佐知は自宅に送る荷物を一人でまとめたんだから疲れたよね アメリカからの荷物が今じゃ倍くらいに増えていたし 明日は秀和を連れての実家移動だし今夜はもう休んだほうがいい 」



「雅和さんは本当にそれでよろしいのですか わたくしには今の言葉が本心とは思えませんが 佐知さんは明日ここを出て行かれるのでございますよ 雅和さんもアメリカに御発ちになります。お二人がお顔を合せお話しするのも今夜が最後これからはお会いする事もままならないのです 雅和さんは後悔なされぬようご自分の心にしかと向き合い下さいませ」



「俺には泉さんが何を云わんとしているのかわからないけど泉さんが言うとおり今日は最後の晩だ、佐知が平気だったらもう少し二人で話しをしようか」



「じゃ少しだけ、すみませんが泉さんに秀和をお願いしてもいいですか」



「はいお任せ下さい 今夜は私の部屋で寝かしつけましょう それではわたくしは残りの仕事を片付けて秀和ぼっちゃんと先に休ませて頂きます」



「泉さんすまないね、よろしく」



「お父様の柳木沢様とは大違い、いざという時の押しがきかない そこだけは惜しゅうございますねぇ」



「んっ・・それ俺のこと」



「そうでございますよ ではあとは佐知さんにお任せしてわたくしは退散いたします お休みなさいませ」



「雅和は泉さんには たじたじみたいね」



「いつもあんな調子さ ここに来る事務所の人たちはお決まりのように二人はまるで親子みたいだなって笑うんだ」



「わかるような気がするわ」



「こうしてゆっくり話すのは佐知がこの家に来て今夜が最初で最後だな」



「泉さんがいないとなんだか落ち着かないわね」



「あのさ、おれ佐知に聞きたいことがあるんだけどいいかな」



「えぇいいわよ」



「秀和のことだけど、両親のもとに帰るんだから心配ないと思うけど・・」



「秀和のこと心配してくれているのね ありがとう」



「余計なことかもしれないけれどこれから秀和を抱えての生活は大変だと思うんだ 実家に戻れば親と同居だから心強いし安心だろうけどだからこそ聞いておきたいんだ 佐知は秀和と生きて行く覚悟は出来ていると言ったけど・・実家の親がいないものと仮定して佐知はこれから一人で働いて秀和を育て上げる厳しい状況をどれだけ考えているのかを聞きたかったんだ」



「覚悟は産もうと決めた時にできていたわ 雅和は私と秀和のこれからの事を心配してくれているのよね でもこれから先のことは私もだれかに聞きたいくらいなの 今は何も考えていないし未来が見えてないけど実家に帰ったらしっかり考えるわ」



「だったら当分は秀和オンリーの生活だな」



「私は秀和がいるから悲しみをはねのけて気丈にしていられるの あの子といるとわたしはいつも笑っていられる 秀行さんが好きだと言ってくれた笑顔でいられるの これからのことは秀和を育てながら考えるわ しばらくは雅和の言うように秀和オンリーの人生になりそうね」



「佐知なら秀和をしっかり育てて行けると俺が太鼓判を押すよ でも子供を育てるのは並大抵じゃない いくら気丈にしていたって不安や心配はいやでも付きまとうと思うんだ」



「雅和は明日香ちゃんがいたからわかるのよね 本心を言えば一人で育ててゆくのは不安ばかりよ でもそれは親だったら誰もが感じることで私に限ったことじゃないでしょ それに私は一人じゃない雅和あなたがいる いつでも助けてくれる雅和という強い見方、助っ人のあなたがいるわ」 



「もしその俺が・・いなかったら佐知きみはどうする」



「秀行さんがいなくなった今どうしてそんなことわたしに・・嫌よそんな悲しい問いに答えられるわけないわ」



「いやでも考えるんだ 秀和としっかり生きてゆくと誓ったのなら俺が居ようが居まいがそんなことに動じるな」



「だったら雅和との絆

が切れないようにわたし神に祈り続けるわ 再び巡り会えたあなたとの絆だけは何があっても離したくない」



知らず知らず佐知の目から涙が溢れ出ていた


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