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女神教会

 村での女神教会設立の申込みは急増している。

 順次、新たに女神教会を建立している。


 しかし、人、神官がいない。

 一応、村長を神官代理としている。


 神官の補充は第一に孤児たちの成長まち。

 孤児のうち神官向きの子供を教育している。

 

 第二に真実教会の神官をリクルートしている。

 場合によっては教会ごと転向することもある。


 教会も領と同じで独立性が強い。

 真実教会のトップは教皇でそれなりに力がある。

 だからといって、各教会にあまねく力が及んでいるわけじゃない。

 それぞれが独立して行動している面も大きい。


 だから、転向することもさほど大事ではない。

 単に今までは選択肢がなかったのだ。

 

 それが女神教会という魅力的な教会が現れた。

 こっそりと神官の家族が女神教会の信徒になってみたり、例の天国と地獄の動画を見たりしてどんどんと女神教会ファンが増えているのだ。


 女神教会は王国では由緒ある教会と知られている。

 ただ、現世利益が薄かった。

 何しろ、女神様に祈るだけ。

 基本はそれだけの教会だったのだ。

 確かに寄進を求められるということはなかった。

 逆にリターンもなかった。



【真実教会の強さ】


 真実教会は人のネットワークが凄い。

 王国の実力者はすべて真実教会の信徒と言って良い。

 人の紹介もスムーズだ。

 特にビジネスにおいてすぐに人を紹介してもらえる。

 これがどれだけ助かるかは理解してもらえよう。


 また、教会の企業力。

 ワインを始めとする製造力、運送力、金融力は王国最大の企業と言って良い。


 教会の運送力が強いのは、王国には関所が数多くあることと関係している。

 下手すると、村ごとに関所がある。

 その度に通行税をとられるのだ。

 村によっては、この通行税が主たる現金確保の手段となる。

 商品よりも通行税のほうが高くつくことも多い。


 ところが、貴族とか神官は通行税がかからない。

 単に関所側がビビって徴収しない。

 通行税なしで王国中に運送できるのだ。


 金融力は言うまでもない。

 実は王族・貴族というのは借金まみれだ。

 贅沢に金をつかっている面もある。

 が、主に戦争費用だ。

 兵士1人を雇うのも大変だ。

 だから、普段の王兵・領兵は意外と数少ない。

 いざとなれば領民を兵隊として徴用する。

 それでも、やはり戦争経費は莫大だ。


 王族・貴族たちは商人からも金を借りる。

 で、困ると徳政令を出して借金をチャラにしようとする。

 商人はその度に泣く羽目になる。

 潰れる商人も出てくる。

 どうしても高利貸しになる。


 ところが、教会はそこまで高利ではない。

 何しろ、教会は徳政令を許さない。

 徳政令を出した貴族にはあの手この手で報復する。

 だから、王族・貴族は教会にはちゃんと返済する。

 返せなくなると担保をとられる。

 教会は王国では一番の土地持ちである。

 王族よりも。

 

 さらに、回復薬と回復魔法を独占していた。

 回復薬は薬師ギルドを通じてではあるが。

 命を人質にされているようなものだ。

 確かに高価であり、庶民には手が届かない。

 しかし、真実教会は庶民を相手にしない。

 金持ちからぶんどればいいと考えている。



【真実教会に対抗する女神教会】


 そうした真実教会に対して、女神教会の競争力はどんどん上がっている。 


 まず、商品力。

 回復薬は真実教会よりも遥かに安価で優れた効能を持つ。

 すでにフェーブル領では回復薬の九割以上を占めている。


 各種魔道具。

 生活魔道具、武装魔道具は王国レベルを凌駕する。


 それから運送力。

 転移魔法陣があって、瞬時に行き来ができる。

 惜しむらくは現状ではフェーブル領のみだ。

 それでも領内であれば圧倒的に早く運送できる。

 承ってから十分程度で送り届けることも可能なのだ。


 金融力。

 さすがに教会には劣るが、それも時間の問題だろう。


 背後に控える俺の資金力が半端ない。

 だって、魔鋼は掘り放題。

 金鉱・銀鉱も掘り放題。

 内緒だが、他領の金銀鉱山に遠征してこっそりと掘り進めている。


 一般的な掘削レベルが低すぎる。

 表面を少しずつ掘り進めているだけなのだ。

 そのペースだと数百年たっても枯渇しない。


 だから、俺はより深い場所を掘り進めて、がっつり金銀等を採取する。

 俺には鉱脈レーダー。採掘スキル。金属回収スキルが発現している。

 しかも使用頻度が高く、レベルが上がりまくっている。


 今では壁の表面から奥三m程度までの金属を回収できる。

 数時間で数トンもの金属を回収できるのだ。


 俺は領で通貨を発行も始めた。

 これは多くの領でもやっている。


 ちなみに、通貨は使用時に金・銀の重さを測る。

 簡単な密度測定器があって、重さがわかるのだ。

 日本のように五百円玉だから五百円の価値、ということにはならない。

 何しろ、金銀とかの含有量がまちまちなんだ。


 その中で俺の通貨は含有量を一定に保つ。

 これが通貨の信用をあげる。

 密かに王国中の通貨を代替するつもりでいる。

 もちろん、為替操作もする予定だ。

 金銀通貨の供給量の管理。

 非常に大切だ。


 

 他にもある。

 聖女様と崇められるシスター。

 天界と交信すると言われる神聖魔法。

 普請工事。

 昔と違い現状の女神教会はリターンだらけなんだ。


 それに何よりも、この教会は清潔だ。

 いたずらに寄進を求めない。

 利権にまみれていない。

 いつでも領民のことを考えている。

 それが真面目な真実教会の神官を転向させたのだ。



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