表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
53/117

女神教会の建立とヒーリング

 大荒野の開発が少し落ち着いてきた頃。

 俺は女神教会の建立を始めた。

 

 すでに教会は建ててある。

 だが、女神教会の本部らしい荘厳さがない。

 間に合せのいわば仮の建物だからだ。


 新しい教会はシャルトル大聖堂を参考にした。

 シャルトル大聖堂は旅行で行ったことがある。

 写真でも散々見ている。

 記憶を呼び起こすのはたやすかった。


 それに、あそこまで装飾過多の教会を作るわけじゃない。

 フォルムのみ、参考にしているだけだ。



「坊っちゃん、実に立派な教会なんだな」


「ですね。荘厳って感じですね」


「だろ? この両側の空高く伸びた尖塔、これがいいんだ。天に祈りを捧げるモニュメントって感じで」


「だけどよ、高さ五十mなんだろ? できるのかよ」


「そこはコツコツとだな。俺達の魔法力を試す意味でもやりがいがあるだろ」


「ですね。普通の民家なら一時間ほどで作れますから、物足りないくらいですもんね」


 俺たちがわいわい話しているのは教会の模型だ。

 これだけ大きな建物だと一人ではムリだ。

 だから、土魔法の得意なものを集めイメージを共有したのだ。


 ◇


 建築には半年ほどかかった。

 これだけにかかりっきりになるわけにはいかない。

 暇な時間を見つけてコツコツと築き上げたのだ。


 それにしても土魔法様々だな。

 これだけ大きな建築物だ。

 まともに作ったら何年かかることだろう。

 何しろ、一番高いところで高さ五十mほどある。

 計算では二十km以上先からでも威容が見える。


 もっとも、本物のシャルトル大聖堂は高さ百mを越える。

 こうなると四十km離れていてもトップが見える。

 この惑星が地球と同じ大きさと仮定してだが。



「あとは開口部をどうするかだな」


 修正は簡単だ。

 まさしく魔法様々である。


「ステンドグラスじゃないんですか?」


「できれば、大きな板ガラスをはめたいんだが」


「大きな板ガラス?」


「ああ。縦横数mぐらいあるような」


「そんなものできるんですか? 今あるガラスってせいぜい縦横数十cm程度でしょ」


「うーん、まあ、将来の課題ということで」


 この教会は単なるモニュメントという意味合いが強い。

 祈りを捧げる空間は一階にある。

 そこだけを確保して上階はまだ手つかずだ。


 ◇


「ああ、なんて素晴らしい教会なんでしょう!」


 シスターたちは感嘆のため息をもらす。

 何しろ、王国ではここまで大きな建物はない。

 

 もっとも、将来的には高さ百mの教会を建てるつもりだが。



「この建物に祈りを捧げたいと思います」


 シスターはそういうとひざまずき祈りのポーズに入った。

 しばらくするとシスターから光が溢れ出して大聖堂が輝き始めた。


「この建物を通じて私の祈りが天に届きました。そして、いくつかの神聖魔法を授かりました」


 早速、ご利益があった。

 この建物のおかげかどうかは不明だが、

 シスターが触発されて新たな魔法が発現した。


 その授かった神聖魔法。

 そのうちの一つが『ヒーリング』。

 その名の通り、回復・治癒魔法である。

 怪我、病気、状態異常など体が不健全な状態に陥った場合に健康にする魔法。


 やはり、シスターならば是非とも欲しい魔法だ。



 聖魔法にも同様の魔法がある。

 ただ、習熟するには人体の構造を学ぶ必要がある。

 医者のように。

 つまり、解剖実習が必要。


 例のエレーヌはこれが嫌で回復魔法の訓練を怠った。

 だから、回復魔法は未熟のままだ。

 少なくとも、結婚破棄事件のときはそうだった。


 しかし、流石神から授かった神聖魔法。

 体の異常箇所が光って見えるという。

 解剖訓練をしなくても人体の構造が自然とわかるのだ。



「グルスキルでこれを皆さんに伝達しましょう」


 シスターはそういうと、シスター見習いの二人、孤児、そして俺達三人にもヒーリング魔法を芽生えさせてくれた。


「神聖魔法を伝えることのできるものは私と近しいもの。そして力を増すには適正と経験値」


 ヒーリングを育てると以下のようにランクアップするという。

 ヒーリングウォター 中級魔法

 ヒーリングレイン  範囲魔法

 セイントヒーリング 上級魔法


「この高い尖塔のおかげで神との距離が近づきました」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ