大荒野女神教会 拠点開発
女神教会の本拠地は大荒野となった。
だが、活動の主体はフェーブル街の女神教会になる。
日中は街の教会、夜間から早朝までが大荒野。
移動は転移魔法陣で。
これがシスターたちの日課となる。
では、俺達は。
朝方は領兵たちと領で訓練。
それ以外はずっと拠点で女神教会村にて村作りを進めていた。
まずは、女神教会本拠地。
懸案の一つは教会の建立。
いきなりケルン教会みたいな荘厳な建物はムリ。
大きめの民家、という外観にとどまる。
そして、住居。
シスターたち三人と俺達。
孤児院。
それから、新加盟の神官が三人増えた。
街の真実教会の一つから女神教会へ転向したのだ。
彼らは回復薬にいたく感激したのだ。
真実教会は独立した教会の集合体だ。
強固な組織体が作られているわけではない。
この世界の王族と領主の関係に似ている。
転向も上層部の意向に100%は縛られない。
教会は孤児院も経営していることが多い。
新たな仲間となった彼らも孤児院を経営している。
この機会に孤児たちも大荒野教会に転居させた。
孤児は二十人増えた。
全部で三十五人。
それから、信徒のうち大荒野への転居希望者。
こちらは随時転居してもらう。
【農作物】
当面は街の市場で食材を購入することになる。
しかし、最低でも自給自足は達成したい。
目標の一つとして、以下の農機具を開発予定だ。
いずれも魔導具化するつもりだ。
耕作 耕運機(手押し)
耕うん、畝立て、除草、整地など
播種 手押し型種まき機
収穫 バインダー(手押し収穫機)・コンバイン
脱穀 脱穀機
脱穀、唐箕掛け、籾摺り、
製粉 製粉機
農作物に関しては
さしあたって雑穀畑とジャガイモ畑。
そして、農機具魔導具は耕運機の開発を目指す。
雑穀、特にオーツ麦ははずせない。
栄養的にもほぼ完全食品だ。
若干の肉類や玉子・牛乳、野菜類全般が必要だが。
また、オーツ麦は貧乏人の食品とされる。
しかし、糖類をかけてグラノラ、そして乾燥フルーツを足してフルグラにすれば一気に高級食品の仲間入りである。
次にはずせないのは馬鈴薯。
救荒作物であり、飢饉などが起きても比較的収穫量が多い作物である。
地下に育つ作物に対する偏見が王国にはある。
だから、馬鈴薯の地位はかなり低い。
小麦>大麦・ライ麦>オーツ麦等雑穀>馬鈴薯
となる。
ところが油で揚げるとフライドポテトとして高級品になる。
あと、野菜畑も充実させたい。
馬鈴薯とオーツ麦では若干栄養素に偏りがある。
それを正すため。
初年度は上記の作物が主流になるが、
将来的には小麦畑、果樹園、花畑、養蜂、牧畜についても発展を望みたい。
【薬】
現在での女神教会の評判を支えるもの。
今後は薬の販売にも重きをおきたい。
現在の生産量は、一日、
B級回復薬
百ml 二百五十本 二十五リットル
A級回復薬
百ml 十本 一リットル
である。
俺としてはこれ以上の量産は難しい。
俺と同等の薬師がほしいところである。
せめて助手を増やして効率性を上げたい。
助手のあては孤児である。
現状三十五名の孤児が在籍している。
読み書き、算盤、魔法訓練を毎朝晩行っており、順調に成長している。
この世界は児童労働がどうこうはない。
農家なら六歳程度で家の手伝いを始める。
孤児も十歳以上で適正のあるものを選抜。
薬師見習いとして従事させようと思う。
【魔導具工房】
魔道具工房も活性化させたい。
生活魔導具、農機具魔導具の生産
道路・治水・清掃魔導具の生産
これらは待った無しだ。
あと、魔導自動車の開発を考えている。
ところが現状では俺とスキニーだけでやりくりしている。
どう考えても手が足りない。
そろそろドワーフにお願いしようか。
【ドワーフ村】
ガリソンさんに若手のドワーフを紹介してもらう。
ガリソンさんは料理人ゲレオンさんの知り合いの建築士だ。
ゲレオンさん本人が大荒野に行きたがっていたが。
ドワーフは技術者集団だ。
特に鍛冶ドワーフは有名だ。
他にゲレオンさんのような料理人。
それから主にエールを作る酒ドワーフも多い。
アナウンスはそれほど強くしたわけではない。
それでもドワーフの移住希望者が殺到している。
酒とあの先進的な魔導具を見せたら、みんな目の色を変えている。
もう一つある。
ドワーフでは徒弟制度が普通だ。
しかし、若者の中にはそれを嫌っている者も多い。
新しい職場を目指して移住を希望する者も多い。
この機会にドワーフの見習い制度も変えていこうか。




