表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
51/117

女神教会と俺達の拠点づくり

 大荒野が豊穣なる大地に生まれ変わった。

 そこに女神教会が建立される。

 驚嘆すべきできごとだ。

 

 しかし、ここは人里から隔離された場所。

 これが広く知れ渡るまではまだ時間があるだろう。

 それでも、いつかはこの場所が人の目に触れる。

 そして、目ざとい権力者がやってくる。


 その前に体制を整えねば。


 ◇


「大荒野に女神教会を設立する。とんでもねえ話だな」


 俺が相談したのは父ちゃんズだ。


「で、ジャイニーの様子はどうだ?」


 水確保のためにジャイニーが山岳水路を作ってる。


「えらく気合を入れて作業してるよ」


「ふむ。ジャイニーにとっては生まれてこのかた、最も責任のある仕事だしな」


 ジャイニーは僅か13歳だ。

 前世なら中学1年か2年。

 この世界の人間は早熟の傾向がある。

 15歳で成人とみなされる。

 それを加味すると高校生といったところか。

 その年齢で一大事業をまかされる。

 ジャイニーも気合が入るというものだ。

 

「そもそもあの荒れ地を草原に変えたんだ。 シスターって何者なんだ? まさか、聖女様か?」


「ああ、巷では聖女様かもって言われ始めていて、驚くことが連続しておきてる。ひょっとしたら神様の関係者かもしれん」


「あの黒猫だって女神様の使徒だっていうしな」


「なんにしても儂の息子がえらく出世したもんだ」


「ジャイニーは土魔法の結構な使い手だぞ」


「めでたいねえ」



「あと、俺に薬師のスキルが発現してる。それで魔石と腐葉土とかを混ぜて肥料が作れるようになったんだ」


「ほう。坊っちゃん、魔法だけじゃなくて今度は薬師と来たか」


「ああ。女神様の覚えがめでたいらしい」


「ホントだな」


 現在、大荒野に咲き誇っている花はレンゲの一種で緑肥として活用できる。

 ただ、それだけでは心もとないので俺オリジナルの肥料を生産しているのだ。


「とにかくさ、兵士を二人ばかり貸してくれよ。必要な物資を色んなところから集めたいんだ」


「いいぜ」


 女神教会は回復薬で近隣の領でも評判が立ち始めている。

 そこにきて大荒野の花畑化だ。

 領内ではシスターが聖女では?

 との噂がたち始めている。


 とにかく、女神教会が目立ち過ぎているのだ。

 有象無象を引き寄せることが予想され、ちょっと心配である。


 さらに、俺はもっと目立つことを始めようとしている。

 女神教会を中心とした街作りを考えている。

 門前街だな。

 そのために人を集めようとしている。

 

 食と安全。

 

 この二つが保証されるのならば、人は集まる。

 そのためのスキルを俺は十分持ち合わせている。

 資金面に不安はない。

 あとは人手だけなんだ。


 さて、どう転んでいくのか。


 ◇


 街作り。いろいろな面から考える。

 まずはこの教会の安全だ。

 それについては、黒猫ズが万全の体制を

 とってくれるだろう。


 それにプラスして結界魔導具を作成した。


【結界魔道具】


 シスターに発現した魔法はレストレーションだけではない。

 大規模結界を使えるようになったのだ。

 大規模というのは、現状では街レベルの規模だ。

 レベルがあがると、領程度の面積もカバーできるらしい。

 

 しかし、結界はシスターを中心としたエリアに限定される。

 つまり、シスターは女神教会から動きがとれない。


 だから、シスターに負担のないように魔導具で結界をカバーすることにした。



 さらにシスターは転移魔法陣についでとんでもない古代魔導具を出してきた。


「これが魔素吸収装置ですか」


 空中の魔素を吸収し魔石を作る装置だ。

 今まででも魔素充填機構を魔導具につけることができた。

 しかし、充填速度は決して速いものではない。

 魔素が切れてすぐに再稼働させるには魔石を変更する必要がある。



「できればその魔法陣を解析したいですね。できるのならば、現状の魔素充填機構の速度を向上させるヒントを得たいものです」


 俺は解析に興味津々であるが、俺よりもスキニーが解析にチャレンジしたいようだ。

 スキニーは魔道具というよりも、魔法陣に才能を見せ始めている。

 というか、数学的な才能があるようだ。

 俺は前世でソフトウェアのプログラマーである。

 魔法陣にも馴染みがある。


 魔法陣は一種のプログラムだ。

 魔法陣に記述される言語はプログラミング言語なのである。

 俺はスキニーにプログラミング言語を教えてみた。

 あっという間に吸収して才能を見せた。

 だから、二人して魔法陣の勉強をしてきたのだ。


 ただ、解析は端緒に乗ったという段階である。



「なんにしても魔石の安定供給に目処がついたんだから、魔石を利用した魔道具をどんどん作りましょう」


 ということになった。

 この世界での魔石を利用した魔道具は多々ある。

 しかし、今ひとつ広がらない理由は主に2つある。


 一つには魔石魔導具の技術レベルが低いからだ。

 もう一つは魔石を利用するからだ。

 魔石は通常魔物・魔獣から採取する。

 簡単に集められるものじゃないし、高価になる。


 その魔石は通常は魔物を討伐して獲得する。

 だから、供給が不安定なんだ。


 しかし、この装置はその欠点を解消する。

 その魔石を湯水のように使える。

 まるで産業革命の前夜であった。



 魔導具スキルが発現したことでわかったことがある。

 俺達三人は魔導具なしで魔法が発動する。

 シスターとシスター助手の二人もそうだ。

 孤児たちも同様だ。

 俺は王国で使われている一般的な魔導具を作れる。

 それと俺達の魔法を比べて違いを見つけたのだ。


 通常の魔法は魔導具を介することになる。

  術者(王国語)→魔導具(魔法語)→魔法発動

 術者は王国語で魔法を発動させようとする。

 それでは魔法は発動しない。

 王国語を魔法語に翻訳する必要がある。

 その魔法語に変換する仕組みを魔導具に組み込んでいるのだ。

 

 ならば魔法語を直接唱えればいいだろうとなる。

 この魔法語なるもの非常に複雑で難しい。

 その部分を魔導具にやってもらっているわけだ。


 そして、俺達の魔法には魔導具機能が備わっている。

 ただ、その機能が解析できない。

 ブラックボックスになっているのだ。

 俺達は『女神の加護』のお陰だと推察している。

 俺達に共通するのが『女神の加護』だからだ。

 それ以外に理由が見当たらないのだ。


 ※俺とシスター、シスター助手以外は『女神の加護(小)』

 

 なお、俺達は魔導具に見せかけた装身具を付けている。

 魔法発動時にはその装身具が魔導具であるように見えるようになっている。

 魔導具なしでの魔法発動は魔法上級者でも可能だ。

 しかし、俺達が魔導具なしで魔法を発動させたら何らかの騒ぎが起こるだろう。

 それを回避したいからだ。



【量産予定の魔導具】


 武装魔導具

  四属性攻撃魔法の魔導具

  四属性守備魔法の魔導具

 生活魔導具

  エアコン魔導具

  上下水道魔導具

  不要物分解魔導具

  清浄魔導具

  灯り魔導具

  温冷水魔導具

 結界魔導具・街灯魔導具

 農機具魔導具

 普請魔導具

  道路普請用、治水普請用、清掃普請用

 


【俺達の拠点】


 教会の門前街を作るにあたり、俺達の拠点もそちらに移ることに決めた。


 あらかじめ、父親には許可を得ている。

 大荒野は誰の持ち物でもなく、こういう場合は最初に開発したものが所有者となる。


 つまり、女神教会や開発を進める俺達が所有者となる。


 父親的には嬉しい話だと思うが、意外なほど興味を示さなかった。

 許可は出たので、遠慮なく大荒野に拠点を移す。


 拠点を移した理由の一つは両親から離れたい、という思いがあった。

 彼らは相変わらず悪政を領にしいて領民からは嫌われ続けている。


 俺はその評判を少しでもかわしたいのだ。

 領主の息子というだけですごいダメージがくる。

 ただでさえ暴虐のエロガキとか言われていたんだ。

 

 転移魔法陣があるから、館との往来は一瞬だ。

 そのことは父ちゃんズには教えてある。

 それと、一部の有力領兵にも。 



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ