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衛生関連、薬、蒸留酒

 さて、甘味の投入で館の使用人、特に女性陣を懐柔しつつある現在。


 俺達にとって女性は鬼門だ。

 何しろ、セクハラしまくってきたからな。

 女性陣の俺達への嫌悪感はかなり強い。


 以前など、目も合わしてくれなかった。

 俺達への警戒心はマックス状態。


 俺も転生してこの館に戻ってきた時、最初の感想が『うわぁ』だった。


 しばらくは居心地が本当に悪かったよ。



 ゲレオンには甘味が俺発であることを内緒にしてくれ、とは言ってある。

 でも、自然な形で使用人にはバレてるみたいだ。


 そりゃ、毎日同じ館にいるんだ。

 俺が何かすれば使用人には伝わるよな。

 最近の女性陣の俺達への当たりが段々と柔らかくなっている。


 今は普通に会話してるし。


 でもね、前世の経験で俺は女性に警戒心がある。

 女性がどうこうじゃない。

 俺はずっとやらかしてきた、っていう反省がある。

 何をやらかしてきたか、までは感知できていない。

 それが残念なんだが、女性の癇に障ることをしまくってきた、

 そういうことは理解している。


 この世界でも同じだ。

 自分の何かが相手のイラつきを呼んでいる。

 

 だから、自戒を込めて女性を信用しないようにしている。

 女性が信用できないんじゃなくて、それだけ俺の行動を管理できないんだ。



 甘味に続いて、俺の作戦は衛生関連。

 清潔さを保つ製品を作る。

 これが作れるようになったのは、俺に薬師スキルが発現したからだ。


 現状で俺の作れるものは、

 石鹸(液体)、リンス。

 この二つはそんなに難しくない。


 それから、チャレンジが必要なのはスキンケア製品。

 薬師スキルが発現したお陰で、女神より授かった知識が役にたつ。


 

 では、まず液体石鹸。

 石鹸には大きく分けて固体石鹸と液体石鹸がある。

 そこには材料というか化学的な差異がある。


 固体石鹸はナトリウム石鹸。

 液体石鹸はカリウム石鹸。


 カリウム石鹸は固まらない。

 そういう性質を持っている。

 せいぜい、ゼリー状になるぐらいだ。

 洗浄力もナトリウム石鹸より落ちる。


 でも、肌に優しく、作るのが簡単である。


 ナトリウム石鹸は水酸化ナトリウムを扱う。

 塩を入れたりして固形石鹸にできる。 

 洗浄力は高いし、持ち運びが便利だ。


 しかし、NaOHは劇薬で警戒が必要だ。

 それに、水酸化ナトリウムは現状ではちょっと作るのが面倒だ。

 

 作れないわけじゃないから、そのうちトライする。

 でも、今はカリウム石鹸。


 まず、焚き火の灰を水につけて一晩置く。

 上澄みがアルカリ性の水溶液になっている。

 そこに油を投下して加熱する。


 油は動物性でもいいが、ニオイが酷い。

 だから、香りのいいオリーブオイルあたりを使用。

 肌にもいいしね。



 できれば、精油を石鹸に加えたい。

 今のままだと油臭い石鹸になる。


 でも、精油の香りで石鹸の使用がばれてしまう。

 それは現状では特に母親は見逃してくれない。

 それに精油は大量の草花が必要だ。

 現在、花畑は鋭意整備中なので精油は後回し。

 精油を搾り取るのも大変だし。

 


 リンスは単純。

 カリウム石鹸はアルカリ性。

 使用すると髪がアルカリ性に傾き、ゴワゴワになる。

 そこに酸性の液体をふりかければ髪がサラサラになる。


 使うのはレモンとかお酢とか。

 お酢はニオイの控えめなリンゴ酢など。

 それらをお湯に溶かし、パサパサの髪を洗う。

 洗い流せば、サラサラに。


 あと、ヘアケアとして蜂蜜やオリーブオイルなど。



「ゲレオンさんお勧めの液体石鹸って洗浄力高いわね」


 この世界で石鹸といえば、灰汁とサポニン。

 サポニンは植物に含まれている成分。

 日本で有名なのはムクロジの木。

 この世界でも石鹸として有名な木があるらしい。


「ほんと、油っぽいのがすぐに落ちるわね」


「でさ、凄いのがリンゴ酢水。これを髪にかけただけでサラサラ。魔法みたい。ほんのりとレモンの香りがするのもポイント高い」


「で、最後はオリーブオイルで保湿、しっとりサラサラね♪」


「でもさ、洗ったらちゃんと頭飾り忘れないようにね」


「ああ、サラサラヘアを奥様に見られたらやばいもんね」


 そのために、香り付けも最低限にしている。



【薬及び薬師ギルド】


 ありがたいことに、薬師スキルも発現した。

 自作の初級回復薬だがかなり性能が高い。

 薬師ギルドで販売しているものと比べて。


 そもそも、薬師ギルドのとはレシピ・素材が全然違う。


 まず、使用する薬草が薬師ギルドのものとはまるで違う。

 というよりも、考え方が全然違う。


 薬師ギルドの素材は指定の植物を使う。

 しかし、俺のは植物ならなんでもいい。

 植物の生育を司る部分を抽出するようだ。


 これには遠心分離機を使う。

 この器具、まだこの世界にはない。

 ゲレオンに頼んで作ってもらった。

 構造自体は難しいもんじゃない。


 さらに、抽出した物質と魔石を使用して栄養剤である水飴を混ぜる。

 最後は俺の魔力を浴びせる。

 こんな工程は薬師ギルドの薬にはないらしい。


 効果にしても、薬師ギルドのよりはずっと強い。


「(女神の加護のおかげなのかな?)」


 と思ったりする。



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